日本人を騙したトルコ人「宇宙飛行士」―東大博士号剥奪のセルカン・アヌルル
2010年05月03日付 Milliyet 紙
東京大学は「130年の歴史の中でこのような事は一度もなかった」と発表し、アヌルル氏を解雇し、彼の博士号も剥奪した。
ワタン紙のウウル・コチバシュ記者の報道によると、世界の大学トップ10に入り、日本で最も権威ある大学である東京大学で「トルコ人学歴詐称」問題のショックが続いている。
「宇宙エレベーター」というプロジェクトで日本や世界のメディアの話題となり、NASAで2年間宇宙飛行士の訓練を受けた「初のトルコ人宇宙飛行士」だと主張していたとしてセルカン・アヌルル氏は日本中を混乱させた。
2003年に東京大学に提出した博士論文の40%が「盗用」であったと分かると、すぐに日本の学界の厳しい非難の的となった。トルコ交通省が彼をNASAへ派遣したとする資料も偽造であることが判明したことから、アヌルル氏が助教授として勤務していた東京大学は37歳のこのトルコ人の博士論文を取り消し、解雇処分にした。濱田純一学長は読売新聞へのインタビューで、「驚いています。これは信じられない事態です。130年の歴史の中で博士論文を取り消したことも解雇処分にしたことも一度もありません」と語り、アヌルル氏の博士論文を受け付けた委員会についても調査を始めたことを明らかにした。アヌルル氏が自身のインターネットサイトに載せた宇宙飛行士の写真もモンタージュ写真であることが分かった。アヌルル氏はイリノイ大学とイスタンブル工科大学を卒業したとしていたが、これらの学校とも一切関係がないことが確認された。
■トルコに戻った
2001年にアヌルル氏と共に東京大学で学んだというあるトルコ人の学友は、「彼が嘘つきだということはみんな知っていた。だが私たちはその嘘をとても楽しんでいた。私たちは彼が部屋でNASAの身分証明書を偽造しているのさえ見たことがある。この嘘が結局彼の災難となることは明らかだった」と述べた。こうした事態をうけ、以前アヌルル氏をたたえた日本のメディアは謝罪文を発表した。日本宇宙開発機構はアヌルル氏のものではないと分かった4つの論文を年別業績記録から外した。アヌルル氏の本を出版した出版社も本の印刷を中止したことを明らかにした。
彼について文書偽造や盗用、悪質な詐称により、取り調べが始まった。彼が名誉大使を務めた和歌山県串本町は名誉大使の肩書きを剥奪した。アヌルル氏は自身に関する一連の騒動の後、日本を離れ、トルコに戻った。
■実は私は辞めるつもりだった
アヌルル氏は自身のインターネットサイトでの発表で、「私は実は仕事を辞めようと申請していた」との表現を用いた。「博士の学生として書いた最初の論文だった。だから引用した箇所に番号を振って出典を明らかにするなどという事は知らなかったのだ。私の初歩的なミスが原因だ。実は仕事を辞めようと申請していた。宇宙飛行士の写真もヒューストンで、遊びで作ったモンタージュ写真だった。経歴に載せたのは間違いだった」
■アヌルル氏の嘘の数々
私は宇宙飛行士であり、オリンピックのメダリストでもあり、作家でもある。
・トルコ初の正式な宇宙飛行士候補として交通省からNASAへ派遣された。2年間宇宙飛行士の訓練を受けた。(資料と写真は偽造だと分かった)。トルコ空軍の司令官が私をNASAに推薦した。
・トルコのスキーのナショナルチームの一員であった。オリンピックでメダルを獲得した。
・イリノイ大学とイスタンブル工科大学の卒業生である。(実際はユルドゥズ工科大学建築学部の卒業生である)
・2003年サパジェアン宇宙会議で発表をした。(参加さえしていなかった)
・日本宇宙物理学部局の局長である。(そんな機関は存在しない)。アメリカの名誉賞を持っている。(数千ドルで買える賞であると分かった)
・東京大学で最初の外国人助教である。(他にも多くの外国人助教が勤務している)
■トルコのメディアをも騙した
アヌルル氏はトルコで多くの学術会議に参加者として出席した。多くのテレビ局のインタビューをうけた。トルコメディアでこれまでにアヌルル氏に関して流れた情報のおもなものは次の通りだ。
・日本にいるトルコ人の天才
・トルコ人初の宇宙飛行士候補
・トルコ人学者の宇宙エレベーター:ATA
・国際的に活躍するトルコ人学者
・日本人のなかのいるトルコ人サムライ
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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:19024 )