イラン人投資家のドバイからの撤退が加速:銀行融資の停止でイラン人実業家に打撃
2010年05月01日付 Jam-e Jam 紙
「ドバイ在住イラン人実業家評議会」の会長は、「現在、一部のイラン企業やイラン人実業家たちはドバイにあるオフィスを閉鎖し、新たな活動の拠点を求めて、この街を去ろうとしている」と述べた。
ハーディー・モッタマニー氏は昨日午後、ジャーメ・ジャム紙記者とのインタビューの中で、さらに「ドバイに対する世界的な金融・経済危機の影響が続いている。そのため、多くのイラン人実業家たちの収支にも悪影響が及んでおり、彼らの収入は減少してしまっている。こうしたことから、彼らは徐々にドバイから撤退し、マレーシアをはじめとする新たな商業地に拠点を移すことを選択するようになっている」と指摘した。同氏によると、この問題の根幹には、銀行による融資の停止があるという。
モッタマニー氏は、「国際的な商業活動というものは、銀行による中・短期融資によって成り立っている部分が大きい。しかし、現在ドバイにある大部分の銀行は資金の貸し出しを極端に減らしている」と述べ、〔‥‥〕さらに「現在、ドバイのイラン系企業や実業家たちには、このような状況が生じている。つまり、商業活動の原動力ともいえる銀行の融資が行われないために、彼らは減収を余儀なくされているのだ。そのため一部の実業家たちは、ドバイにこれ以上とどまり続けても、利益は上がらないと考えているのである」と指摘した。
同氏はまた、この問題の今後の展望に関しても、「まだどうなるかは、わからない。銀行の動きを窺うしかない。今のところ、マレーシアに拠点を移すことを決めた者もいれば、イランに戻り、自国に投資を行おうと考えている者もいる」と語った。
〔中略〕
400社がドバイから撤退
こうしたなかパキスタン紙は、ドバイでの金融・経済危機の発生を理由に昨年一年間で同国から撤退したイラン系企業は、400社にのぼると報じている。
ファールス通信がパキスタンの「The News」紙を引用して伝えたところによると、ドバイで活動するイラン人実業家のマアスームザーデ氏はこのことについて、昨年400社ものイラン系企業がドバイでの事業を停止したと強調したという。
同氏は、「最近の世界的な経済・金融危機の発生やドバイの負債問題は、ドバイ、さらにはアラブ首長国連邦全体におけるイラン系企業の活動停止に大きな影響を与えている。もちろん、制裁もイラン系企業やイラン人実業家たちの活動に制約を与えている」と述べている。〔※〕
〔後略〕
※訳注:本記事は、世界的な経済危機によるドバイ経済の悪化がイラン企業のドバイ撤退の主要な原因であると指摘することで、ドバイの凋落を印象づけようとしている。しかし本記事で引用されている
The Newsの報道を読むと、マアスームザーデ氏は、400社とも推定されるイラン企業がドバイから撤退した理由として、「部分的にはドバイの資産価値の下落と世界的な景気悪化による」としつつ、制裁によって信用取引に制約が生じていることを挙げ、「金融部門への制裁は、イランと取引しているドバイの貿易業者〔の活動〕に悪影響を与えている」と語っており、本記事の論調とThe Newsの報道とでは、かなりニュアンスが異なる。
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( 翻訳者:加藤祐大 )
( 記事ID:19063 )