エルドアン首相のゾングルダク炭坑事故現場訪問に抗議の声
2010年05月19日付 Radikal 紙

ゾングルダクで、30人の労働者が崩落で取り残されている炭鉱を訪問したエルドアン首相は被害者家族から抗議を受けた。

エルドアン首相は、トルコ炭鉱協会(TTK)カラドン支局管轄の炭鉱でメタンガスが原因で地下540メートルに取り残されている30名の炭鉱夫の家族を訪問し、救出作業担当者から進行状況を聞いた。その際、炭鉱入り口付近で首相に抗議した一名が逮捕された。

ヘリコプターでゾングルダク・キリムリ町のサッカーグラウンドに降り立った後、TTKカラドン支局に属するゲリク営業所を訪れたエルドアン首相は、タネル・ユルドゥズ天然資源相、オメル・ディンチェル労働社会保障相、そしてTTK担当者から説明をうけた。

エルドアン首相は、救出作業の行われている炭鉱付近に設けられたクズライ社(トルコの医療機構)のテントで、炭鉱内に取り残された家族の消息の知らせを待つ人々のそばへ、護衛と警察の厳重な警護のなか歩み寄った。このとき、エルドアン首相に罵声を浴びせた一名を、警察と護衛陣は乱暴にとりおさえた。抗議者は激しいもめあいの中バリケードの外へと連れだされた。

一瞬にして騒ぎが広まる中、ゲリク営業所の入り口ではゾングルダク・カラエルマス大学の学生グループ50名が座り込み抗議をしていた。警察側は座り込んでいる学生の前にバリケードを設け、学生らが中に入るのを許さなかった。その際、抗議者の中から女子学生1名を含む計4名の身柄が拘束された。

■警察が空に向け発砲

エルドアン首相はテントで待つ行方不明の炭鉱夫らの家族と面会を行った。おおよそ30分続いた面会が終わり首相が演台に向かった際、辺りは再び大混乱となった。被害者家族らは報道関係者を襲い、撮影を妨害しようとした。

被害者家族の一人が報道関係者を椅子で襲ったことで騒動がさらに広がる中、群集を散らそうと一人の警官が威嚇目的でに空に発砲した。銃声は一時的に周辺でパニックを引き起こした。

■抗議者の身元が判明

ゾングルダクでエルドアン首相に抗議し罵倒した人物の名前がアルプ・カーン・ポラットカンと判明。エルドアン氏は、トルコ炭鉱協会カラドン支局の炭鉱で行方不明者になっている人々の消息をつかもうと2日間現場で待機している家族と、テント内で面会を行った。その後、演説のため演台へあがろうとした際、アルプ・カーン・ポラットカン被告は首相に罵声を浴びせ、このため身柄を拘束された。ポラットカン被告はゾングルダク出身ではなく、首都アンカラから来ていたことが判明した。その取調は続いている。

■エルドアン首相:大いに悲しい

炭鉱付近に集まった人々に向かってスピーチをしたエルドアン首相は、哀悼の意を示し、「今、私たちの心は悲しみで一杯です。しかし、この地方の人々はこのような惨劇にはもう慣れています。ここでひとつ20年前へ遡ってみましょう。90年代から現代までゾングルダクではこのような惨劇をしょっちゅう目の当たりにしてきました」と述べた。

炭坑に自身も降りた経験があることを述べたエルドアン首相は、以下のように続けた。「2000メートルの深さで炭鉱夫がどのように働いているかをそこで見ました。また彼らと断食明けの夕飯もたべました。この仕事にはこのような宿命があるのです。この仕事に就く時も、この類の事故が起こりうることを知りながら、仕事に就き働いているのです。父親、叔父が崩落に飲み込まれて炭坑で亡くなっていても、気付くとその子供も炭鉱夫になっているのです。この種の事件を何度も見てきました。政府として、トルコ国内のからも海外からも支援をえて、救出活動を進めています。あなた達に誰が何と言おうと、たった一日でこの救出活動が終わっているなんていう情報を信じないでください。これは日数と関係あるものではないのです。しかし、一刻も早く、取り残されている人々に達するよう全力を尽くしています。そのあとに事故の理由を調査し、原因を究明することが私たちの目的です。」

挑発に応じないことが大切だと強調したエルドアン氏は、「聞いてください、ここで少し前に一人の者が暴力をふるいました。さらに、罵声を浴びせました。身元を調べましたが、彼はここ、ゾングルダクの人間ではありません。アンカラからやってきた者です。警察組織が取り調べを行ないましたが、彼の仕事はこの種の挑発行動を行うことなのです。しかし、いまは団結する時です。宿命と痛みを分かち合う時なのです。私たちは希望を持って救出活動を進めています」と語った。エルドアン首相はスピーチを、事故の後現場に駆けつけてくれたクズライ社に感謝して締めくくった。

首相のスピーチのあと拍手が沸き起こったが、市民の何人かは「ここは拍手する場ではない」と反発を示した。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:智原幸穂 )
( 記事ID:19174 )