ギョクハン・アヒー弁護士は「現行法のアクセス制限を定めた条項は全て廃止されるべきである」と語る。一方で、フィクレト・イルキズ弁護士は「インターネット世界に特化した新しい法は不可欠だ」を強調した。T24のドーアン・アクン総編集長によると「どちらの側にも責任がある」という。
インターネット上のアクセス禁止に対する反発が続いている現在、法関係者達は新法制定と基礎的な整備が行われないままでは現在のカオスは解消されないという考えを示している。イスタンブル弁護士会情報法専門の弁護士の一人るメテ・テヴェトオール弁護士は、アクセス制限サイト・リストに新たに他のサイトが追加されることに反対している。そムスタファ・ギョクハン・アヒ弁護士は「現行法のアクセス制限を定めた条項は完全に廃止されるべきだ」と述べた。フィクレト・イルキズ弁護士は「新しい法律が出されなければ、このシステムは何度も問題を生む」という。www.t24.com.trのドーアン・アクン総編集長はインターネット上の禁止について、どちらの側にも責任があると語った。それぞれの評価は次のとおりである。
■イスタンブル弁護士会情報法専門メテ・テヴェトオール弁護士
YouTubeのアクセス禁止は第5651条第8項の最後のパラグラムに基づき行われている。法の適応範囲には8つの種類の罪状がある。それに依拠してアクセスが制限されている。一部からはこの適応範囲の拡大が提案されている。例えば、テロを扱うサイトもこの法で閉鎖できるようにするという提案である。我々はこの拡大に賛成ではない。この法は実際は子供を守る目的で出された法律である。新聞やテレビでニ、三週間にわたり児童ポルノに関する報道が続いたときに、その対処として出された法で、残念ながらアタテュルクの精神的価値にたいする侮辱も最後の段階でこの法律のなかに含められることになった。アクセス制限は通常、ポルノ配信やアタテュルクの精神的価値に対する侮辱に対して行われている。サイトへのアクセス制限の60-70%は猥褻なものやポルノの配信に対して行われている。アクセス制限の決定を受けたサイト管理者たちは制限の原因となった内容をサイトから取り除き、決定を下した裁判所に報告すると、アクセス制限が解除される。YouTubeの事件でも削除が求められた四つの動画があり、これらが削除されない限り、アクセス禁止も解除されないと言われている。アクセス禁止の解除のためには、当該ページを削除しその旨を申告しなければならない。もしくは上級裁判所に控訴し、裁判所がサイト権利者の主張を認めれば、この決定が無効になる。」
■イスタンブル弁護士会情報法専門ムスタファ・ギョクハン・アヒ弁護士
実際には、Googleのサービスに対してアクセス禁止は行われていない。このような裁判所の決定もない。Googleは、YouTubeやその他数多くのサービスを、違うIPから発信するサーバーではなく、同じIPから発信するタイプのサーバーをつかっている。YouTubeが他のサービスと共有するIP番号を情報技術・通信機構が妨害した結果、同じIPから配信されている他の事業にもアクセスが出来ない状態になった。情報技術・通信機構は以前の裁判所の決定を、運用面でも法律的にも違反する形で、拡大解釈した。この状況は当然ながら、認められる状況ではなく、密室での検閲ということが出来る。情報技術・通信機構は直ちにこの類のIPブロックを解除する必要があり、実際、裁判所による決定のないまま行われたこの措置は利用者の通信と思想、言論の自由のような憲法上の、そして基本的な人権を侵害している。Googleのサービスを使っている多くの商業ビジネスは実質的に損害を受けた。既現行の、アクセス制限を規定した法律の条項を完全に廃止しなければならない。なぜならここで想定されている方法は一方的であり、事前にサイト管理者に弁護の権利を与えていない。アクセス制限によってサイトではなく利用者を罰している。これの代わりに「警告と削除のシステム」を採用するべきだ。
■フィクレト・イルキズ弁護士
2001年11月23日に調印されたサイバー犯罪協定にトルコも調印し承認するべきである。これを行えば、法律の再検討が議論の対象となるだろう。何故ならトルコの既存の法律はインターネット環境で犯された犯罪に対する法律である。つまり、インターネット環境そのものに関して整えられた法律ではない。この分野に特化した新しい法律が作られることが条件である。それが行われないかぎり、このシステムは繰り返し問題を生む。技術的な問題や、法環境の問題が常にでてくるので、このシステムのままでは問題を解決することは不可能である。この作業の中では基礎的な哲学が必要である。拙速な法は放棄されるべきであり、自由が基礎となるべきである。これは、インターネット環境でのインターネットで配信されたものの自由の基本原則を認める新しい法の整備も同時に行われなければならない。これらが行われない状況で出される禁止は求められているか否かにかかわらず検閲といえる。「公正な情報」はトルコが独自に作る必要のあるシステムである。この件で新しい法律や基礎を作らない限り解決は不可能である。トルコで国際関係の点から犯罪の警察と検察を再び組織する必要がある。集中化は不可欠である。インターネットでの自由をしっかりと守る必要がある。そのために、個人情報保護が直ちに法制化される必要があり、そのための、議論されなければならない。
■www.t24.com.trドーアン・アクン総編集長
インターネットの禁止に至ったプロセスを我々が調査したところ、どちらの側にも責任があると思われる。結果において、以下のことが求められる。まずは、法律の完全な修正。インターネット上における、支持され得ない、禁止に基づいた公開停止・閉鎖基準が、慎重に再定義されることが必要だ。インターネットの性質にそぐわない、さらにトルコを困難な状況に陥れる司法の過度な深読みから距離をおくこと。そのために、首相がインターネット関係者との会議でも口にした、「情報裁判所」のような専門の裁判所を作ること。…そしてGoogleやYoutubeが重要な経済的利益をえているトルコで「税金を払わないで利益を得る」という主張を諦めることが必要がある。
■ドアン・ジャーナリズム・プロジェクト監督セラハティン・イマームオール氏
Googleに関するIP制限はトルコのウェブサイトの所有者と配信者に非常に大きな影響を与えた。特にGoogleのウェブ統計と分析サービスであるAnalyticsはトルコのほとんどのサイトで使われている。GoogleのIPが制限されたあと、これらのすべてのサイトのアクセスに問題が生じ始めた。何年も変わらなかったソフトウェアのコードがいじられ、削除された。小さなサイトの所有者は残念ながら運がよくはなく、彼らのサイトにはアクセスできなくなった。このほかに、Analyticsの利用者であるメディアプランナー、宣伝業者、サイト管理者はデータの分析が出来なかった。インターネットの利用者は、よく訪れていたサイトのうち、そこが適切なコード変更をおこなわなったところには、アクセスできなくなった。国外のサイトにアクセスがむつかしくなったため、障害を超えるための様々な手段がとられた。もちろんGoogleのDocsやカレンダーなどのサービスの点で影響を受けた利用者の数は少なくない。
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( 翻訳者:清川智美 )
( 記事ID:19404 )