オバマ米国大統領は、EUがトルコの加盟交渉を加速させなければ、トルコは欧州以外との同盟を模索する可能性があると述べた。トルコのEU加盟への支持を新たにしたオバマ大統領は、EUをトルコ問題について警告すると同時に、「賢明に」対応する必要があるとのメッセージを伝えた。
ロバート・ゲーツ国務長官に続き、オバマ大統領も、トルコとの加盟交渉と真剣に向き合わないEUを批判した。
イタリアのコリエーラ・デラ・セーラ紙の独占インタビューでオバマ大統領は、EUにとって、トルコの加盟を受け入れることが賢明であると述べ、EUのトルコの加盟に対する意欲のなさが、トルコの伝統的な親EU外交政策にいくらかの影響を与えていると話した。
オバマ大統領は、「トルコの加盟がEUで強く反対されていることはわかっている。加盟交渉の停滞やEUの意欲のなさが、トルコの最近の方向転換の根本的な原因だとは思っていないが、これが、必然的にトルコ国民のEUの見方になんらかの影響を及ぼしていると考えている」と話した。
同大統領は、「自分たちが欧州の一部ではないと感じて、同盟や親交関係を築くために方向転換するのは自然なことである」と述べた。
■トルコはモデル国
オバマ大統領はインタビューで、トルコのイスラエルとの間での緊張関係およびイランへの追加的制裁について、国連で「反対」票を投じるといった動きの後、西欧で「トルコを失う」ことが話題になったことを受け、以下のように述べた。
「トルコは、NATOの同盟国であり、著しい経済発展を遂げている国である。国民の大部分がムスリムであり、民主的国家となっているトルコは、周辺地域のイスラム諸国家にとってのモデル国となっている。このため、我々はトルコ政府との関係強化を重視している」
オバマ大統領は、イランの核開発に対する米国とトルコの方針の違いについては、「核開発問題でイランとの合意のために仲介役を果たすといったような好ましくない動きがあったが、これらは、トルコがイランとの間に長い国境線を有しており、その地域で衝突を起こしたくないと思っていることが原因と考えている。これには、力を強めているブラジルとの競争心も影響した可能性がある」と話した。
オバマ大統領は、「我々がトルコ政府とともにできる唯一のことは、彼らを支援し、トルコを西欧と一体化することの利点を表明し続けることである。これを、偉大なるムスリムの民主主義という彼らの特徴に敬意を示しながら、恐れずに実行しなければならない。もし彼らが、普遍的な権利や国家の政教分離を尊重するイスラム理解を具体化することができれば、これは、我々にとってもプラスになるように、おそらく、イスラム世界にもよい影響を与えるであろう」と述べた。
■バロッソ委員長:そもそもイラク占領から始まった
ゲーツ米国国務長官は、数週間前に行った声明で、トルコ-イスラエル関係が悪化することへの不安感を表明し、ヨーロッパがトルコとの関係を強化することに意欲的ではないことが、トルコ政府の関心を東方に押しやったと述べた。この発言は、ホセ・マヌエル・バロッソ欧州委員会委員長を始めとする欧州関係者の反感を買った。
バロッソ委員長は、「トルコは、米国のイラク占領を契機に西欧から離れ始めた」と反論した。
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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:19640 )