ミッチェル特使が来週中東地域再訪、一部パレスチナ側に直接交渉への反発
2010年07月11日付 al-Hayat 紙

■ ミッチェル特使、直接交渉開始の条件を協議するため来週中東地域再訪

2010年07月11日付『アル=ハヤート』(イギリス)HPアラブ世界面(東アラブ)

【ラーマッラー:ムハンマド・ユーニス(本紙)】

 来週、アメリカの中東和平担当ジョージ・ミッチェル(George Mitchell)特使が中東地域を再訪し、直接交渉へと移行する条件を巡ってパレスチナおよびイスラエル双方と協議を行う。これは、本年5月から行われている現在の間接交渉が進展に行き詰まっていることを受けてのものである。

 西側外交消息筋は本紙に対し、「ミッチェル氏は両当事者間で行われている間接交渉を中断し、直接交渉へ移行する条件にかんし双方と対話を始めた」ことを明らかにした。また同消息筋は以下を述べた。「パレスチナ側は、アメリカとイスラエルに対してこの交渉の目的を明確にする誓約書簡を求めた。この目的とは、1967年6月4日時点での境界地域におけるパレスチナ国家の建設であり、これには若干の国境線の変更を交えつつも東エルサレムが含まれるというものである。またこの交渉の権限が、「ロード・マップ」や「アラブ平和イニシアティブ」等の重要な国際決定に基づいたものであるということを明確化することも求めた。」

 ミッチェル特使の新たな訪問にさきがけ、バラク・オバマ大統領は、金曜から土曜の夜にかけマフムード・アッバース大統領と電話会談を行った。この訪問はミッチェル氏が1年半前に中東和平特使に任命されてから21回目のものである。パレスチナのナビール・アブー・ラディーナ大統領報道官によれば、オバマ大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と自らの会談の成果についてアッバース大統領と討論した。またアッバース大統領は、1967年境界内におけるイスラエル占領の終結およびパレスチナ独立国家建設に向かう和平交渉に対し自らが真剣にかつ継続的にコミットしている旨を確認した。同報道官は、「イスラエルと安全かつ平和裡に隣接したパレスチナ独立国家の建設に向け、最大限の努力を行うことをオバマ大統領は約束した」と述べた。

 一方で、パレスチナの複数の当局者は、「アメリカ側が、今こそ何も進展を見せない間接交渉から直接交渉へと移行する時だと捉えている」と述べた。しかし、アッバース大統領は、直接交渉への移行より前にこの交渉の目的や枠組み、権限を明確にすることを求めている。

 前回の訪問のなかでミッチェル特使はアッバース大統領に、ネタニヤフ首相が国境の件については直接交渉に移る前に協議することを拒否している旨を伝えた。この件についての細かな協議は非常に微妙な事柄であり、パレスチナとイスラエル双方の代表団が交渉のテーブルに着いていることが求められるとのことである。しかし、パレスチナ側はこのイスラエルの要求が、もはや馴染みのイスラエル式交渉スタイルへ戻ることを目的とした戦術であるとの見解を持っている。[そのスタイルで行われた]これまでの交渉では何ら結果は出ず、その間に入植地拡大の活動が継続されていたのである。

 パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のヤースィル・アブドラッボ事務局長は、「イスラエルは終わりのない交渉を求めている。アジェンダを定める枠組みや時間的な制限もなく、また明確な権限のもとで合意に至った事柄の順守を保証することもなしに、だらだらと進むことを望んでいる」との見解を述べた。同事務局長は、「イスラエルが入植活動停止を真に順守することなしに、つまり、この交渉の成功に向けた真の前提条件が満たされることなしには、直接交渉に乗り出さないとする確固たる立場をパレスチナ指導部はアメリカ政府に通達した」と表明した。そして、「我々は、どこへ向かうかもわからない交渉に臨むつもりはない。この交渉の明確な権限を設定すべきであり、そこで議論される問題の本質を明示した議事項目、ならびに時間制限を設けるべきである」と言葉を付け加えた。彼は、パレスチナ人が交渉に乗り出すことのないまま「あと10年が経つかもしれない」と述べた。

 アブドラッボ事務局長は、「パレスチナ解放機構が適切な決定を下すため、あらゆる詳細と明確な回答を検討する中央委員会の開催準備を行っている」旨明らかにし、「交渉という選択肢が失敗すれば、パレスチナばかりが敗者では済まないだろう。むしろ多くの当事者たちが敗者となる。そのなかにはイスラエルも入っているはずだ」と述べる。そして、「[イスラエルの]人種差別主義体制に従って地方行政区や離れ小島の寄せ集め的国家となることを、パレスチナ人たちは拒否する」と語気を強めた。

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( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:19689 )