国内最大の塩湖、3年以内に消滅か:取り返しのつかない悲劇の可能性も
2010年07月21日付 Jam-e Jam 紙

【イラン部:プーネ・シーラーズィー】ウルミエ湖はつい最近まで、「国内最大の塩湖」としてだけでなく、渡り鳥たちがヨーロッパから南へ渡る途中の「避難所」としても知られてきた。ところが最近、こうした鳥たちは避難所の確保にさまよう日々を過ごしている。というのも、「アルテミア」〔塩水に生息するエビの一種。渡り鳥の餌になる〕で世界的に有名な塩湖の水が、今や消滅しつつあるからだ。

 専門家らは、「この湖の水位が減り続け、水位をコントロールするための方策がとられなかった場合には、アルテミア(塩水に生きる甲殻類の生き物)の利用や塩資源の存在、そして観光資源の活用によって数十億ドルもの価値を有するこの湖は、今後2〜3年で塩沼と化してしまうだろう」と警告している。

 西アゼルバイジャン州環境保護局のハサン・アッバースネジャード総局長は2日前、ウルミエ湖の水位は今年に入りさらに約20センチメートル減少した、と発表した。暑さによって水分の蒸発が増加したことと、水源である川からの水の流入が減少したことが要因であるという。

 同総局長はまた、「ウルミエ湖の水位の減少傾向は84年〔西暦2005年〕から目に見えるかたちで始まった。これまでに約6メートル減少しており、この傾向は今も続いている」と付け加えている。

ウルミエ湖は干上がってしまうのか?

 アルテミア研究所生態・生物・資源管理局の局長を務めるナーセル・アーグ博士は、ジャーメ・ジャム紙のインタビューに答えて、次のように述べている。
現在、湖の塩分量は1リットル当たり350グラムに達しており、塩分の増加傾向は続いている。湖の下層は塩で完全に覆われており、その厚さは増すばかりである。

最近10年間のイランの旱魃、特に77年ぶりという2年前の大旱魃で、われわれは関係者に警告を発したにもかかわらず、残念ながらこのこと〔=湖の水位〕について、いかなる真剣な対策も講じられなかった。

州では今年、降雨に恵まれたが、にもかかわらず、湖の水位は20センチも減ってしまった。すでに湖の南部では水位は50センチほどになっており、このような状況では、2〜3年以内に湖が完全に干上がってしまうことも、ありえない話ではない。

〔後略〕

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( 翻訳者:柳田絵莉子 )
( 記事ID:19778 )