米政府、パレスチナ自治政府の直接和平交渉受け入れ説得に困難
2010年07月25日付 al-Hayat 紙

■ アメリカ政府、パレスチナ側の直接交渉移行説得で大きな困難に直面

2010年07月25日付『アル=ハヤート』紙(イギリス)HPアラブ世界面(東アラブ)

【ラーマッラー:ムハンマド・ユーニス(本紙)】

 パレスチナ側の直接和平交渉移行の説得工作で、アメリカ政府が大きな困難に直面している。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に入植活動を凍結させるか、今年の5月に開始された間接交渉で国境問題に進展をもたらすべく、1年半前から続いているアメリカの努力は失敗に終わっている。

 パレスチナ解放機構(PLO)とファタハの諸機関は、アメリカ側の要求を検討する一連の会合の閉幕にあたって、提案されている直接和平交渉に移行する前に、入植活動を停止させ、直接交渉の前提となる原則や期限、パレスチナの国土のあり方を明確にすることをあくまで求める立場を表明しており、アメリカ政府の努力は非常に困難になっている。

 ファタハの革命評議会および中央委員会は金曜日から土曜日の夜に終了した会合の閉幕にあたって、直接交渉への移行には、入植活動の完全な停止、交渉においてエルサレムも含めた1967年6月4日の停戦ラインに基づくパレスチナ独立国家の樹立について取り上げることをアメリカおよびイスラエルが保証すること、交渉が依拠すべき明確な前提と期限を設定することが条件であるとの立場を表明した。

 PLO執行委員会はラーマッラーでの会合の閉幕にあたって、「暫定的国境や一時的な国境をもった国家などといった主張は問題外として、大枠の(間接的)協議から国際的な支援と明確な期限を持った直接協議に移行するため、国境と安全保障の問題で進展が実現されること、1967年のラインに基づく2国家共存案の受け入れを筆頭とする前提原則の承認、聖地エルサレムを含めた入植活動の停止をあくまで要求する」と発表し、「聖地エルサレムを含めた入植活動の完全な停止は、イスラエル政府の履行すべき義務なのであって、パレスチナ側の求める条件ではない」との見解を述べた。

 また同委員会は、パレスチナ側が国際法および関連する国際的決定事項、アラブ和平提案を「東エルサレムを首都とし1967年6月4日国境に従い、最終的地位に関する全ての諸問題(エルサレム、国境、入植地、難民、水、安全保障、収監者の釈放)が関連の国際的な正式決定に則って解決した上でのパレスチナ独立国家樹立を保証する」ための原則として順守していることを強調した。

 パレスチナのアッバース大統領は、交渉再開に向けたアメリカの圧力を前にして、ファタハとPLOの公式な立場をもって自らの立場を武装しようとしているようだ。アッバース氏はファタハとPLOの会合に際して「これからの日々は困難なものとなるであろう。厳しい圧力に直面することになるだろう」としつつ、「我々は平和的に対抗するだろう」と付け加えている。

 パレスチナ自治政府高官らは、「アメリカ政府はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に入植活動を停止するよう説得することに失敗し、今年5月に始まった間接交渉において国境問題について議論させることにも失敗したことを受けて、我々を直接交渉に移行させようとしているのだ」と述べている。間接交渉は今年9月まで続けられる予定だったが、ネタニヤフ首相は交渉で提示された国境と治安の問題について協議を開始することを拒否したため、アメリカ側は間接交渉を中止し、直接交渉に入るための条件を検討することになった。

 ミッチェル米中東和平担当特使はパレスチナ側に対して、ネタニヤフ首相が国境問題についての協議を「[イスラエル・パレスチナの]両者が1つの席につくことが必要な細かい事柄が含まれている」との理由で拒否していることを伝えた。しかし、パレスチナ側はアメリカの立場に対して抵抗を示しており、サーイブ・ウライカート交渉局長は昨日(7月24日)、直接交渉に移行するためのパレスチナ側の条件は「イスラエル政府が1967年6月4日のラインに基づく2国家共存の原則の受け入れに(合意に基づく領土の交換を含めて)合意することと、東エルサレムを含めて入植活動を完全に停止すること」であると明確にした。

(後略)

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:19837 )