ガザでハマース軍事部門幹部暗殺、ハマースは報復を宣言
2010年08月01日付 al-Hayat 紙


■ ガザ:治安施設を狙ったイスラエルの爆撃により「カッサーム部隊」幹部が殉教、葬儀に数千人が参加

2010年08月01日付アル=ハヤート紙(イギリス)HPアラブ世界面(東アラブ)

【ガザ:(本紙)】

ハマース軍事部門「カッサーム部隊」幹部の1人であるイーサー・アル=バトラーン氏の葬儀が行われ、ハマース支持者数百人が参加した 。「カッサーム部隊」はバトラーン氏のための復讐を警告した。バトラーン氏は昨日(7月31日)早朝、ガザ地区の民間の標的を狙ったイスラエル軍機による一連の攻撃により殉教し、子ども数人を含めた市民少なくとも8人が負傷した。

ガザ地区の保健省のムアーウィヤ・ハサナイン救急・非常事態対策局長は、「医療隊員はガザ地区中部のブライジュ難民キャンプの国家治安部隊施設を狙った攻撃で殉教したバトラーン氏の遺体を発見した」と述べ、「ガザ市西部の治安部隊アンサール駐屯所の飛行場にある(解任された[ハマース主導]政府の)内務省の治安機関に属する治安施設を標的とした別の攻撃で、子どもを含めた市民8人が重軽傷を負った。この攻撃は、治安部隊員数十人 が訓練中の食事を終えてから数分後のことであった」と付け加えた。

バトラーン氏は以前にも数回、暗殺未遂に遭っている。先の[2008年末~2009年初めにかけての]対ガザ戦争中に自宅に対して行われた攻撃では、妻マナール(35歳)と5人の子どもたち、イスラーム(14歳)、双子のイフサーンとイーマーン(11歳)、ビラール(8歳)、イッズッディーン(5歳)が殉教している。

イスラエル軍機は、ガザ地区の様々な民間施設を狙ってミサイルを発射した。まずラファハ通行所東部のトンネルが標的とされ、2回目にはガザ地区中部ヌサイラート難民キャンプのイーマーン製粉所近くの空き地が狙われたが、負傷者はなかった。これらに加えて、ブライジュとアンサールに対する攻撃がなされた。

この爆撃は、昨日の朝に正体不明の武装グループによってガザ地区から発射された「グラッド」型ロケット弾がマジュダル・アスカラーン(アシュケロン)市に着弾してから数時間後に行われた。また、攻撃の数時間前にはイスラエルのガブリエラ・シャレヴ国連大使が潘基文(パン・ギムン)国連事務総長に書簡を送り、「グラッド」型ロケット弾の着弾に抗議している。シャレヴ大使は書簡のなかで、「イスラエルは、今回のロケット弾攻撃はガザへの武器密輸の危険性を示す重大な挑発であり、イスラエル国民の平和と安全を脅かすものだと考えている」と述べ、「イスラエルは自国民を守る権利を持っており、国民の安全を守るために必要な措置を講じ続ける」と付け加えた。

■ カッサーム部隊は復讐を宣言

「カッサーム部隊」は、バトラーン氏の殉教に対する復讐を誓い、組織のウェブサイトで、「このような愚かな行為は、不問に付されることはないであろう。我々は殉教者たちに彼らの清き血の代償として復讐を行うことを誓う。我々は神の御許しに包まれた勝利が実現するまで、茨の道を進み続けるのだ」と述べた。

またハマースは、「イスラエルの行動の激化は、アラブ・フォローアップ委員会が去る木曜日(29日)、カイロのアラブ連盟本部での会合でイスラエルとの直接和平交渉を受け入れると決定したことの当然の結果である」との見解を示した。ハマースのサーミー・アブー・ズフリー広報担当は、「イスラエル占領軍の行動の激化は、交渉を受け入れるとしたアラブ諸国の決定の当然の結果である」との見解を述べ、「今回の行動の激化はタイミングの面で意図されたものであり、一方ではアラブ諸国の決定と結びついた反応であり、ガザ地区情勢の平穏と安定を乱し、動揺を生み出すことを目的としたものである」と付け加えた。

またアブー・ズフリー氏は、ガザ地区から「グラッド」型ロケット弾が発射されたとのイスラエルの主張に疑問を呈し、「イスラエルの行動の激化はパレスチナ人民の意志を打ち砕くという目的を達成することではないだろう」と強調した。そして、「我らが民衆はこの犯罪と強硬姿勢に不屈の忍耐と対決姿勢によって立ち向かっている。占領者との交渉の決定を下したアラブの閣僚たちは、アラブ諸国の決定による承認の下での行動の激化に対して責任を負うべきである」と述べ、国際社会に対しても「殉教者1人と市民数人の負傷という結果をもたらした攻撃に対して、責任を負う」ことを求めた。

「イスラーム聖戦」幹部であるハーリド・アル=バトゥシュ氏は、イスラエルの行動の激化は「占領者との直接交渉再開をアラブ諸国が承認したことについての、シオニストの真の解釈のありようである」との見解を述べた。バトゥシュ氏はガザのラジオ局「エルサレムの声」に対する昨日の談話で、「シオニストの攻撃は止むことなく、様々な形をとって、時には急激に、時には緩慢に行われる。今日起こったことは、直接交渉再開を謳った今般のアラブ諸国の決定に関するネタニヤフ(イスラエル首相)やリーベルマン(イスラエル外相)の真の理解のありようを説明するものだ」と述べた。

またバトゥシュ氏は「アラブ・フォローアップ委員会は占領者に対して、パレスチナ人民に対する攻撃を継続する完全な権限を与えた。つまり占領者は殺人行為やパレスチナの民間及び非民間の標的に対する攻撃を継続することなく直接和平交渉を再開することなど、理解しないのだ」と付け加え、今後「空爆であれ、ガザ地区各地における陸上掃討作戦であれ、或いはエルサレム占領地やネゲブ、その他の占領地におけるパレスチナの土地のユダヤ化計画のさらなる実行によって、シオニストの行動はますます激化するだろう」と警告した。

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( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:19892 )