区当局提供のイフタール(断食明けの食事)、今年は街頭で
2010年08月18日付 Hurriyet 紙


イスタンブルの区自治体は、今年の猛暑とイフタールの時間が遅くなることを理由に、(イフタールのための)テントを設置せず街頭に食卓を移した。イスタンブルでは毎日街頭に用意されるイフタールの食卓で、9万人に食事が振舞われ、その総費用は1500万リラにもなる。

昨年、経済危機の影響でスポンサーが見つからず、イスタンブルの区自治体はイフタールのテントの数を減らした。今年は猛暑とイフタールの時間が遅くなることを理由に、テントを設置せずに街頭に食卓を移した。ラマザンが始まる前にテントを建てないことを発表したあと、イスタンブルではイフタールのテントがエミノニュ、バージュラル、ウスキュダルに建てられた。他の区自治体は毎晩空き地や街頭に用意したイフタールの食卓で2000~6000人に食事の提供を始めた。イスタンブルでは毎日約9万人がイフタールの食卓で断食明けを迎える。このサービスの日々の費用は50万リラを越えている。断食の間中、イフタールで振舞われる食事にかかる総費用は1500万リラにもなる。

■テントの代わりに街頭の食卓

イスタンブルでは、今年エミノニュ、バージュラル、ウスキュダルにイフタールのテントが立てられたと発表され、いくつかの区自治体はテントの伝統を続けている。シシュリ区は、アヤズアー、メジディエキョイでテントを設け、アタシェヒル区、バフチェリエヴレル区、サルイェル区でもテントで食事が振舞われている。他の区自治体もイフタールの食卓を準備し始めた。このような形で区自治体は、区内の毎日違う街頭で人々が皆で一緒に断食明けを迎えられるようにし、同時に貧しい人々に食料品の入った援助パケットを届けている。この援助パケットの数は3万個を越えている。

■パック入りの食事は7リラ

ウムラニエ区とキュチュクチェクメジェ区が組織した街頭イフタールでサービスを提供しているドルク・イェメキ社のビュレント・エジェヴィト社長は、地区で設けられるイフタールの食卓の費用について、次のように話した。「イフタールの費用は、相手の要望によって決まる。価格がはっきりすることでメニューが決定し、人件費は、技術的なインフラに影響される。フルマ(ナツメヤシの実)やオリーブのような断食が明ける際に最初に口にする食べ物、フルーツジュース、水、肉料理、スープ、ピラフあるいはパスタ、そしてデザートなどがパックに入れられて配られている。4人分のパックの価格は最も低くても7リラで、12リラまで上がることもある。」

■大なべで振舞われる食事の価格は4リラまで下がった

パックされていない、大なべで調理された食事の提供に関しては価格が下がったと話したエジェヴィト氏は、「ここでは価格は4リラまで下げられる。スタッフや、配送、食事がいたんだり乾燥したりしないよう保つのに必要なインフラが重要となる。パックで配られる食事の準備に、300人のスタッフが従事するのに対し、大なべで振舞われる食事の準備をするスタッフの数はさらに少なくてすむ。」と話した。
ビュレント・エジェヴィト氏は、去年、ラマザン月に建てられたイフタールのテント、断食明けに最初に食されるナツメヤシの実やオリーブ、食料品などの援助物資で重大な値下げが起こったことを指摘し、次のように話した。「今年のラマザンはより変動的である。去年は予算で問題があった。今年はより多くのイフタールが振舞われている。人口が、一番少ない区から一番多い区まで全ての区で催しが行なわれている。これも軽食や総菜を販売する飲食店にラマザン中、利益ををもたらしている。インフラが整備された飲食会社はこの動向から利益を得ることが可能である。

■エセンレルは4万人と共にギネス記録に挑む

エセンレル区は、約3000人が利用するイフタールパケットの宅配サービスを行う一方で、さらに働いている人々やイフタールの食事に間に合わない人々のためにも「もしもし、イフタール」のサービスを提供している。エセンレル区の人々はこのサービスを、ラマザン月のあいだに2度利用できるチャンスがある。今年は一度だけイフタールの食卓を用意する区当局は、ここでもギネスブックへの挑戦を試みる。8月21日に3キロに渡るテーブルで4万人に食事を振舞うことを目標にしているエセンレル区は、10地区でも「隣近所のイフタール」という名で食事を配っている。

■肉の価格が費用増大の原因

エセンレル区やバージュラル区のイフタールの食卓を提供しているデルヤ・イェメキ社の関係者は次のように話した。「区当局は普通、イフタールに肉料理を出したいと望んでいる。私たちは全ての食事でより牛肉を使います。しかし、肉の価格高騰とともに、一人当たりの食事にかかる費用も上がっています。私たちは自分たちの利益を無視して肉料理を提供するために努力しています。昨年に比べて値上げをしなかったため、15%の水準であった利益が7%にまで落ちました。」

■アナトリアでテントの伝統は続いている…

イスタンブル区当局がイフタールの食卓を街頭に移行させている中で、アナトリアではテントの伝統が続いている。ゲンチリキ公園でラマザンのプログラムが催されているアンカラでは26ヶ所にイフタールのテントがあり、エスキシェヒルの7つのテントには人々が集っている。
ガズィアンテプでは、ラマザンのあいだ9万人に対してイフタールのサービスを行なう4つのテントがあり、マニサでは5つのテントがある。エラズーでは13のテントで毎日5000人にイフタールを振舞うことを目標にしており、ヴァンでは一つのテントで1000人に、マラティアでは1500人に食事が配られている。クルッカレは今年、イフタールのテントを設けず、貧しい人々に援助を行うことを選択した。

■姉妹市当局はドイツでもイフタールを行なう

トルコで一番大きく、クーラーのついたイフタールのテントを建てたバージュラル区当局は、トルコだけでなく、海外でもイフタールを振舞うことを計画している。ドイツのハム市と「姉妹都市」であるバージュラルは、これからハム市でも食事を配る。またバージュラル区はカザフスタンでも同様の計画を立てており、8月21日にはチャナッカレで戦死者追悼のためのイフタールの食卓を準備する。

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( 翻訳者:小川玲奈 )
( 記事ID:19978 )