我が国で再び地震が発生し、国民、特にテヘランの市民たちを恐怖に陥れている。テヘラン市民らは、起こるべき首都地震が起きないまま、すでに数年が経っていると不安を口にしている。
〔テヘランの東に位置する〕セムナーン州の一部の村で金曜日に起きた地震(これにより、村人らが住む土壁の住居の屋根が崩落する被害がでた)は、テヘランでも揺れが発生した。もしテヘランで地震が発生したら、どうなるだろう?恐らく何ものにもましてテヘラン市民らを不安に陥れたのは、こうした懸念だった。
〔※訳註:約6年前、イラン北西部で地震が発生し、テヘランが比較的大きく揺れたことがあった。当時家を飛び出し、公園で一夜を明かしたテヘラン市民もいた〕
今年のファルヴァルディーン月〔4月〕、アフマディーネジャード大統領はテヘランでの地震発生は確実だと明言し、予想される被害を軽減させるためには、テヘランからの人口移動が必要だと訴えた。大統領のこうした発言は、事実関係を検討する方向へと発展するよりも、むしろ政治的色彩を帯びてしまった。また一時期、ラジオやテレビはテヘランでの地震発生の可能性について特集、〔人々の不安を煽るような〕さまざまなレポートが報告された。しかし率直なところ、予想される首都地震に対しては、これといった対策は存在せず、関係者らも防災訓練を行うくらいのことしかできていないのも事実だ。
地震学の専門家であるバフラーム・アッカーシェ博士は、最後にテヘランで大地震が発生したのは172年前であり、首都地震の発生は確実だと指摘している。
同氏によると、歴史的に見ればテヘランでは158年ごとにマグニチュード7クラスの大地震が発生しているという。こうした地震がテヘランで最後に発生したのは172年前であり、〔本来大地震が起こるべき時期から〕すでに14年が経っているというのだ。
アッカーシェ教授は、〔地震波の〕横波と縦波の発生には数秒の時間的ズレが存在しており、地震を予知するためには、このズレを計算するしかないと指摘する。実際、日本はこれを利用して地震の被害を軽減することに成功している。
イラン地震学の父と言われるアッカーシェ教授は、イランには地震帯が広範に存在し、「中央イラン」と「中央アルボルズ」の二つに大別されると指摘、テヘランは後者に属し、いずれもマグニチュード7クラスの地震が発生する確率がきわめて高く、イラン各地で地震対策を行うことが重要だと強調する。
同氏はISNAとのインタビューのなかで、セムナーン州での先の地震について、次のような見方を示す。「イランでの地震発生地帯は、中央アルボルズと中央イランの二つに分けることができ、中央アルボルズ地震帯はさらに、中央、東部、西部の三つからなる。言うまでもなく、中央イラン地震帯はアルボルズ山脈〔の地層〕とはまったく別であり、実際ヤズドやゴム、エスファハーンでの地震は、中央イラン地震帯で発生する地震である」。
イスラーム自由大学基礎科学部の学部長を務める同氏はさらに、「恐らく、今回の〔セムナーン州での〕地震では、東北=西南方向に走っているテヘラン=ダームガーン断層の一つが活性化したものと考えられる」と指摘している。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:20051 )