トルコからイスラエルへのユダヤ人移住は増えているか?
2010年08月31日付 Milliyet 紙
トルコとイスラエルの2国間における緊張が、トルコからイスラエルへの移住増加を加速させている。一方で、イスラエル当局は、「移住について特筆すべきことはない」と話した。
イスラエルで発行された報告書によると、トルコからイスラエルに移住する人たちの数は11%近く増加した。イスラエルで発行されているイディオト・アハロノト紙の取材に答えた「トルコ移民協会」ジャック・アブルスィ事務局長は、トルコにいる1万7000人のユダヤ教徒のうち、85人がイスラエルに居を移したことを明らかにした。トルコからイスラエルに移住するユダヤ教徒の数は昨年末の時点で153人であった。アブルスィ事務局長は、イスラエルへの移住の理由として、トルコで次第に高まっているユダヤ人への反感を挙げた。イスラエル政府関係者は、最近のトルコ、イスラエル2国間の外交関係の亀裂を重視している。
家族とともに先週金曜(27日)にイスラエルへ引っ越した、織物業を営むネスィム・ヨハイさん(54)は、「トルコ人はもうユダヤ人が経営する商店では買い物をしなくなった。この先5年以内で、トルコにはユダヤ人は1人もいなくなると思う」と話した。一方、イスタンブルで暮らす、匿名希望のあるユダヤ人は、「路上でも政治的な空気が感じられる。私たちユダヤ人が生活するのは難しい。私たちはトルコをとても愛しているが、ここで恐怖を感じながら長く生活することはできない」と語った。また、中国の通信社である新華社の取材に答えた、匿名希望のあるイスラエル当局関係者も、トルコ系ユダヤ人が「必要になるだろう」とイスラエルで家を買い始めたことに注意を促した。
イスラエルには、今年上半期で18ヶ国から8565人が移住した。最も多かったのは1927人が移住してきたロシアで、2番目には1497人が移住してきたアメリカが続いた。最も少なかったのは42人が移住してきたチリだった。
■マーヴィ・マルマラ号事件とは関係ない
イスラエルにおいて世界のユダヤ人の状況を追い、イスラエルに移住してきたユダヤ人を支援している政府機関「ユダヤ人協会」の広報担当者ミヒャエル・ヤンケロウィッツ氏は、ミリイェット紙のインタビューに対し、次のように述べた。
「ユダヤ人の間ではトルコからイスラエルへの移住はごく一般的なことだ。(ガザに関する討議でエルドアン首相とイスラエルのペレス首相の間で緊張が走った)ダボス会議も、(トルコ人が多く乗船していたガザ支援船が拿捕された)マーヴィ・マルマラ号事件も、トルコから移住するユダヤ人の人数には影響していない。これらの政治的出来事の後、移住者の数は増えていない。イスラエルに来ることを希望した人たちは、この地でユダヤ人としての生活スタイルを送りたいと望んだ人たちだ。トルコから逃げてきた、という状況ではない。トルコで迫害されたためにイスラエルに来ているといった状況ではない。私たちはイスラエルに来た人たちにその理由を聞いてはいない。しかし、言えるのは、昨年と今年を比べて、トルコからイスラエルに移住してきた人たちの数に著しい増加は見られない」
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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:20065 )