「軍が敗北」-世界は国民投票結果をどう伝えたか?
2010年09月13日付 Radikal 紙


トルコの9月12日の国民投票の結果は、世界中のメディアで様々な形で伝えられている。国民の同意をえたのはエルドアン派であるが、ではだれが敗北したかということについては意見の一致をみていない。

これはBBCトルコがイギリスのメディア報道をまとめたものである。

ガーディアン紙は、「有権者は憲法改正を支持、軍と司法が敗北」という見出しを付けた。
同紙は、国民投票が、公正発展党(AKP)にとって予測しなかったほど簡単に勝利に終わったとし、トルコの大きな政治的変革の始まりであり、憲法改正は世俗勢力を服従させる狙いがあるとしている。
またガーディアン紙は、投票の結果が同時に、共和民主党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首の敗北であると報じ、クルチダルオール氏は投票できず、さらに弱い立場に追い込まれたと伝えている。

フィナンシャル・タイムズ紙もまた、この結果は共和人民党の新しい党首ケマル・クルチダルオール氏にクーデター級の衝撃を与えたと報じている。
同紙は、多くの世論調査に反して、投票結果に明確な差がついたと指摘し、今回の選挙は、来年行われる選挙において3期連続での単独政権を狙うレジェプ・タイイプ・エルドアン首相に、圧倒的な支持を保証することになると強調している。
またフィナンシャル・タイムズ紙は、多くの有権者が憲法改正の内容を知らずに、好きな政党に投票したとし、このことが、今回の国民投票が2011年の選挙の前哨戦であるということを確信させていると伝えている。
インディペンデント紙は、昨日(12日)、改正をめざし国民投票にかけられた憲法が、1980年クーデターにより作られたものであると報じた。
同紙は、現行の憲法は民主主義を制限し、軍と司法の権限を拡大させるものであったとし、今回の投票結果は政府の勝利であると伝えた。
しかし、インディペンデント紙は、賛成票と反対票の差にあまり開きがないとし、「1923年以来権力を保持してきた世俗主義者や権威主義的エリート支持者と、公正発展党政府との間の権力争いはこれからも続くだろう」と伝えている。

タイムズ紙の記事の見出しは、「有権者は新憲法を支持、軍は戦いに負けた」であった。
投票の結果は、トルコの軍人主義的伝統への大きなクーデターであり、エルドアン首相に対する信任投票であるとみなされていると報じている。
同紙は、憲法改正は1980年クーデターのリーダーたちを裁判にかけるに際し、その障害を取り除いたと指摘している。ケナン・エヴレン(当時の参謀総長で、クーデター実行者)がこのために裁判にかけられるとは誰も信じてはいないが、しかし今後軍にクーデターを起こすのを思いとどまらせることになると述べている。同紙はアブドゥッラー・ギュルの大統領就任に反対する軍が、2007年に政治に干渉しようとしたことにも言及している。

デイリー・テレグラフ紙は、投票結果によって、トルコのEU加盟への流れは加速する一方で、イスラム主義者の首相に巨大な権力が集まるという不安も同時に生じると報じている。
同紙はファルク・ローオウル元大使の見解を紹介している。ローオウル氏は、野党がこの国民投票を信任投票に変えてしまったことで、その結果が社会をさらに二極化させることになるとし、次のように述べた:

「与党は野党に対しあまり敏感にならなくなる。野党は政府の力を切り崩そうと、もっときつい表現やアプローチを駆使しだすであろう。どれほど否定しようが、公正発展党はこの投票を信任投票だとみなして、次の国政選挙には余裕を持って臨むだろう」

デイリー・テレグラフ紙は、国民投票の結果、外交に変化が現れるかもしれないと予想する。トルコが西側寄りの態度を捨て、イランのような周辺の国々に接近するのかどうかという問題において、エルドアン首相はさらなるフリーハンドを手にしたと記事は伝えている。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:20159 )