「アヤソフィアを教会へ」運動の米国籍ギリシャ人グループがやってくる?
2010年09月16日付 Zaman 紙
米国籍のギリシャ人グループが、アヤソフィアで典礼を行うためにトルコに来ることが伝えられた。フェネル・ギリシャ正教総主教座は、この運動に反対する立場を表明した。
ワシントンで「国際アヤソフィア連合」を名乗る市民団体の設立者、クリス・スピロウ氏が、「アヤソフィアで典礼を行う」ために明日(金曜)、40人のグループと共に、バスでデデアーチを出発してトルコへ入国し、アヤソフィアへと向かう。ミッリエト紙アスル・アイドゥンタシュバシュ記者の記事によると、昨日アンカラ-ワシントン-アテネの外交ルートでの調整の結果、スピロウ氏は「要注意人物ではない」こと、ただし、この挑発的な活動が、トルコ在住のギリシャ正教徒に対するナショナリストたちによる反発の原因になり得ると評価された。
内務省及び外務省は、昨夜、個別に、(アヤソフィアでの)典礼に反対するギリシャ正教総主教座と連絡を取っていた。トルコ政府にとって、「アヤソフィアで典礼を行う」ということは、トルコのイメージに影響を与え、またナショナリストたちが長年にわたり主張し続けている「アヤソフィアをモスクへ」というキャンペーンのきっかけとなり得るため、政治的にデリケートな問題である。ビザンツ時代(360年)に建てられたアヤソフィアは、1453年のイスタンブル征服以後、オスマン帝国時代にはモスクとして使用された。現在は、文化観光省の管轄下にある博物館という位置付けである。
■ミロシェビッチの補佐官
過去にセルビアの指導者であったミロシェビッチの補佐官を務めたスピロウ氏は、米国、ギリシャ両国にとって、要何かと物議をかもす人物である。以前にエルドアン首相宛に手紙を書いたスピロウ氏は、先週にも、アテネのトルコ大使館宛にアヤソフィアで典礼を行う旨を手紙で知らせた。
スピロウ氏がワシントンで設立した市民団体である国際アヤソフィア連合は、米国にあるギリシャ人組織の中ではあまり目立たない組織である。しかし、団体の設立者の中には、ビル・クリントンの弁護士を務めた経験のあるラニー・ディビス氏がいることで、政界でこの組織の影響力をより高めている。エルドアン首相への手紙も、ラニー・ディビス氏の法律事務所から送られたものだった。
トルコ政府の別の懸念は、アヤソフィアでの典礼を防ぐための警官による介入が世界に与える否定的な映像である。スメラ修道院やアクダマル教会を礼拝に開放し、とりわけEUから賞賛を受けたトルコ政府は、この努力を一枚の映像で壊したくはない。
■総主教座も反対
おそらく、共和国建国以来、トルコ政府との関係において、最も輝いた時代を過ごしている正教会も、スピロウ氏に対し反対の意を示した。正教会に近い人物によると、この(典礼を行うという)動きを、トルコとギリシャ在住のイスタンブル生まれのギリシャ人たちは不快に思っていると述べ、「この活動が、正教会に対する攻撃の原因になることを恐れている。典礼をどの聖職者と実施するのかは不明である。しかし、我々の仲間ではない。そもそも、イスタンブルでは、フェネル・ギリシャ正教総主教座のみが、正教会の典礼の許可を与えることができる。」と話した。正教会の典礼は、聖職者の先導で行うことができる。スピロウ氏のグループに属する聖職者は、米国の教会と関係を持っている可能性があると述べている。
■ギュナイ文化観光相:許可していない
本件についてNTVの質問に答えたエルトゥールル・ギュナイ文化観光相は、「特別な意図を以って平穏を壊そうとするものがいれば、国はこれへの対策を講じる。」と述べた。ギュナイ大臣は、以下のように続けた:「残念ながら、狂信的なグループによる、国外から生じた動きがある。我々は、象徴的な典礼の機会を通して、同胞愛や、友愛に貢献するよう努力してきた。ムスリムの国民の中にも、アヤソフィアでバイラムの礼拝を望む人たちがいた。我々は、アヤソフィアが900年以上教会として、500年近くモスクとして機能していたこと、そして一般の典礼などにおいて、特別な奉仕をしてはいけないことを説明した。彼らは、理解ある行動をとった。バイラムの礼拝は、周辺のスルタンアフメトのような宗教施設で対応された。
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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:20180 )