3つの分断されたトルコ―国民投票結果再検討
2010年09月16日付 Radikal 紙
赤:反対多数、青:反対多数、黄:ボイコット多数
赤:反対多数、青:反対多数、黄:ボイコット多数

「国民投票によってトルコ共和国は2つに分断される」と言われていたが、結果58%が賛成票を投じた。この結果、スイカの比喩(スイカのように真っ二つ)は、忘れ去られた。しかし、「賛成」と「反対」の間に実際に50-50で分断されたところがあるのだ。そして「賛成」が特に多かった地方、「反対」が特に多かった地方もあった・・・

国民投票の結果についてを議論しているし、議論を続けよう。もちろん、結果がでた今となっては、政治的な分析に重点が置かれる。公正発展党(AKP)の投票結果における勝利、平和民主党(BDP)がボイコットによって獲得した力、民族主義者行動党(MHP)は本当に解体に向かっているのか、そして、9月13日以降始まった「新憲法」、さらに「大統領制度」に関する議論などなど。

この議論の深い「海」に乗り出す前に、今一度、9月12日の投票結果の数字の「池」を漕いでみよう。

国民投票の期間の(宣伝合戦の)激しさや分極化のため、多くの人々が「国は2つに分裂している」と考えるようになった。さらにこの状況は「スイカのようだ」とも言われた。

その後、「58パーセントが賛成」という(大差の)結果が出、また、平和民主党(BDP)のボイコットの決定が南東部の一部の県では信じがたいほど影響力をもったことが判明すると、この「スイカ」の比喩は忘れられた。そして今日、国は「西海岸、中央アナトリア、南東」という3つに分けられると述べる人々が大多数である。

しかし選挙マップをもう少し細かく、つまり郡や市のレベルでみてみると、投票者が本当に「スイカのように真っ二つに」真ん中で分かれている市があるのを見ることが出来る。51パーセントの「賛成」票が投じられた市から51パーセントの「反対」票が投じられた市まで、トルコ政治議論の中心にある23の郡市が表1にある。

では「賛成」地域の状況はどうだろうか。ここでの状況はいささか複雑だ。というのもボイコットを行った南東部においては、投票に行かなかった人々がバランスをぐっと賛成有利に動かしたからだ。このため「賛成」地域では若干の調整を行った。つまりトルコ全土平均より著しく投票率が低くなった数県は除外した。(表2)

95パーセント以上の、極端な「賛成」票がみられたリストには、ただちに目につく(あるいは、目にうつらない)いくつかの特徴がある。それは、これらの郡市が、いずれもトルコ東部あるいは南東部にあることだ。同様にこれらの郡はいずれも小さく、また、低開発の地域だ。

「賛成」地域において、(同じような極端な結果を)トルコ西部で見つけるためには91パーセントのレベルまで下がる必要がある(ボル県ゲレデ郡)。また、よりおおきく、発達した県庁所在市を見つけるためには、獲得率を80%まで下げる必要がある。

最後に「反対」地域(表3)を見てみよう。ここでは、トゥンジェリ県での94パーセントの「反対」を筆頭に始まった「反対」の波は、南部ハタイ県サマンダク市へ到達し、そこから西部へ、そこから「政治的俗語」に定着した言い方でいえば、「海岸地帯」の境界をこえ、そして「沿岸地域」の市郡が続く。

ところで、このリストには注意しなければならないポイントがいくつかある。まず最初に「賛成」リストにおいて、一番上から26番目まで降りても、得票率は99パーセントから95パーセントにしか落ちない。一方、「反対」リストにおいて一番上から21番目になると、得票率は94パーセントから急に75パーセントに落ちている。すなわち「反対」票の方が、「賛成」票ほど、ある市郡内で集中していない。
イスタンブルのベシクタシュ、バクルキョイ、カドゥキョイの諸区とイズミルの大部分を除くと、大都市においてはひとつにまとまった「反対」票はない。数字はこう示している。もちろんこの得票率の背景には人々と彼らの事情がある。
ハッラーンに住んでいて、人々が、憲法改正国民投票でどうして「反対」票を投じるのかを理解するのは難しい。同様にイズミルでカルシュヤカに住んでいて、セゼン・アクスを「自分達の地元出身者である」と思うのも難しい。

ひとつの“集団”の中では、“集団”に従ったやり方で生活した方が、たやすいと言うことができるだろう。しかし、(賛成反対が拮抗した)ブルサ県ゲムリッキ市、イスタンブル県アタシェヒル市あるいはアルトゥビン県アルハビ市で生活していると想像してみてもらいたい。通りで遭遇した人の2人に1人は大変重要な分かれ道で、あなたと反対の道を歩いていったのである。そしてあなたは、この人がだれであるのか決して知ることは出来ないのだ。

■変わらない選挙マップ

国民投票で明らかになったトルコ地図を、郡市区のレベルで塗りなおしても結果は同じだった。平和民主党(BDP)によるボイコット呼びかけに従ったため、東部アナトリアで賛成票率は非常に高い。また反対票を投じた人は沿岸地域一帯にかたまっている一方で、賛成票と反対票の両票の差があまりなかった郡市区も、西海岸だ。

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( 翻訳者:加藤江美 )
( 記事ID:20183 )