BDPの新学期登校ボイコット運動、ハッキャーリなどで効果
2010年09月20日付 Radikal 紙

クルド言語・教育運動(TZP-クルディ)協会が、母語による教育を求め始めた「学校ボイコット」の呼びかけに、南東部の諸都市はさまざまな反応を見せた。

クルド言語・教育運動(TZP-クルディ)協会が呼び掛けた一週間の学校ボイコット運動は、東部及び南東部の多くの主要な都市では受け入れられなかったが、ハッキャーリとシュルナクでは成果を挙げた。

■ハッキャーリの公務員の子どもたち
ハッキャーリ市及び郡部では家庭が子どもを登校させなかったため新学期の賑わいは見られず、ごく僅かな公務員の子どもたちのみが登校した。ハッキャーリのダヴト・シナンオール副知事は、生徒が新学期最初の週に登校しないのは「ボイコット」のためではなく、ここ数年でも同じようなことが起きていたと主張した。

ハッキャーリ市及び郡部の初等教育、高校、寄宿制初等教育地域学校(YIBO)、下宿制初等教育学校(PIYO)では、この2010-2011教育年度において新学期の賑わいが見られることはなかった。登校した生徒がごく僅かであったハッキャーリ市及び郡部の一部の学校では、教師も独立行進曲の斉唱に加わり、始業式が始まった。ハッキャーリ市及び郡部では先週の日曜日に行なわれた国民投票でも同様の状況が見られた。登校した生徒の数がごく僅かだったため学校の前や教室はがらんとしていた。

■生徒は新学期初日に登校せず
ハッキャーリ市にある高校13校と初等教育学校20校には22,229名の学生が在籍している。ダヴト・シナンオール副知事は、今日生徒が登校しなかったのは「ボイコット」のためではなく新学期最初の週であるせいだと述べた。またシナンオール副知事は「我々が調べたところでは、昨年も学期の第一週には生徒の95%が登校しませんでした。ここではボイコットを行なう人はごく少数です。私は第一週だから生徒が来ないのだと思います」と話した。

一方、「ハッキャーリ・クルディ-デル・ハッキャーリ」のエユプ・ボル代表は、ハッキャーリの学生の95%は母語による教育を要求して登校せずボイコットを行なったのだと述べた。他方、軍人と警察官の子どもたちも在籍し、1700人を定員とするハッキャーリ・ジュムフーリイェト初等教育学校では、授業を受け始めた生徒はたった50人ほどだった。ハッキャーリのユクセコヴァ、シェムディンリ、チュクルジャ郡でも同様の状況が見られた。

■ボイコットはシュルナクで活発
学校ボイコット運動はシュルナク市及び郡部で成果を上げたが、この地域の他の諸都市では期待されたほどではなかった。シュルナク市でボイコットを行なったのは60%であった一方、平和民主党(BDP)のハスィプ・カプラン議員の出身地であるイディル郡では90%に届いた。シュルナクの初等教育学校周辺では、衝突に備え警察が厳重な警備を行なった。ボイコットが活発に行なわれたシュルナクの一部の学校では、生徒が登校したにも関わらず授業を行なう教師がいないという状況が見られた。

ベイチュッシェバプ郡の約500人の生徒が在籍するジュムフリイェト初等教育学校には、今朝たった30人が登校した。7時20分に始まるはずの授業が開始したのは8時5分であった。学校責任者は12人の生徒を学校の入口の階段に連れ出して、大きな声で「国民の宣誓」を読ませた。ベイチュッシェバプ郡でも90%以上の生徒の保護者がボイコットに同意した。

ジズレ郡においてはボイコットの割合は70%であった。学校に行った生徒の一部は、初日に配布される教科書をもらい自分のクラスを確認するために登校したという。従ってボイコットは明日さらに広がると予想される。登校した生徒の一部は、新聞記者が自分を撮影するのを見ると不愉快になった。写真や映像を撮られるのを嫌がった。
ジズレ郡国民教育局のイフサン・ギョレン局長は、全ての学校をまわり、校長らから生徒に関する情報を集めた。ギョレン局長は、ボイコットは意味のない行為であるとし、子どもを学校にやるよう家庭に呼びかけた。

■ディヤルバクルでの状況
ボイコットの呼びかけは、ディヤルバクルでは関心を引かなかった。初等教育学校や高校で学ぶ何千人もの学生たちは、朝始業のチャイムが鳴ると教室を埋めつくした。学校に勤務する教師たちは、学校の初日であるのに生徒が多いことを指摘した。

ディヤルバクルで違法デモが頻繁に行われるバーラルでも、ボイコットへの参加は形だけに留まった。バーラル郡のヤフヤ・ケマル初等教育学校やヒュッリイェト初等教育学校、ナムク・ケマル高校では、大部分の生徒が学校に行くことを選んだ。ディヤルバクル県警所属の諸班は、朝方から学校の周囲で警備を強化した。学生ではなく挙動不審者が警戒対象とされた。

■4郡で参加多数
ディヤルバクルの郡部でも学校ボイコットへの参加者は予想を下回った。ボイコットが最も多く行なわれた郡はスィルヴァンであった。スィルヴァンで登校した全ての生徒は、ヴァタン初等教育学校の校庭に集められ、始業式が行なわれた。一方チュナル郡では、大多数の生徒が登校しなかったため授業が行えなかった。登校しなかった生徒たちは、平和民主党(BDP)郡支部の前で行なわれた記者会見に加わった。リジェ郡とビスミル郡で生徒の70%がボイコットを行なった一方、チェルミク、チュンギュシュ、ハニ、ハズロ、コジャキョイ、エイル、ディジュレ、カルプ各郡では生徒の大部分がボイコットに参加しなかった。

ディヤルバクルのムスタファ・トプラク県知事は、学校をボイコットさせることで、子どもを政治に巻き込むことは間違っていると主張し、次のように述べた。「我々は市民に、各家庭に、訴えました。この件で子どもを政治に巻き込むことは間違いであり、このようなことを認めたら、それを促す者たちではなく若者や子どもや家庭が悪影響を受けると言いました。(ボイコットが)目立つ地域でも登校した児童の割合は昨年を上回りました。一定の時間を考慮しつつ昨年に従って検討しました。市民はボイコットに意味を見出さず、それに反対することを決めました。市民は自覚しているのです。ディヤルバクル県全体で、登校した生徒の割合は去年を上回りました。ディヤルバクル県の牧畜と農業が営まれる地域では、新学期第一週にさまざまな問題が生じ得ます、これは第一週のせいです。今のところボイコットに耳を貸し実行する者はいません。問題はありません。大規模なボイコットはなく、登校する者は昨年を上回っているのです。家庭は子どもや若者や未来のことを考えたのです」

トプラク県知事はディヤルバクルの市民の意識を高めるために警告を出したことを明らかにし、次のように話した。
「我々は市民に『子どものことを考えて下さい。一日でも教育から遠ざかることは子どもたちの未来を暗くします。子どもたちをゲームの駒にしないで下さい』と言いました。憲法、法、民法が悪用された場合、初等教育法に一連の対抗措置があります。ここで家庭に対しどんな罰則があるのか細々と説明するのは相応しくないでしょう。この不利益な呼びかけをし、教育の妨害になるようなプロパガンダを行なう者たちには、治安組織も警戒しています。市民が自覚することは重要です、我々は彼らの中に居ながら警告を出しました。未来が暗くなるのはボイコットに加わる若者や家庭なのです。

■バトマン:ボイコットは30%
バトマン市には145,000人の初等教育学生がいるが、その70%がボイコットを行なわずに学校へ行った。県警に所属する児童担当局と私服警官は、衝突に備え学校の周囲で厳重な警備を行なった。平和民主党が支援したボイコット運動は、町の郊外にある一部の学校でより多く実施された。19マユス、チャイ、ヒュッリイェト、イプラガズ地区では住民の一部が子どもを登校させなかった。一方、バトマン市にある学校では多くの保護者が子どもと共に朝早く学校にやってきた。

■ヴァン:一部の学校でボイコットが活発に
ヴァン県では、特に移住してきた家族が多く住む地区で学校が空っぽの状態であった。一方、諸郡ではこれまで問題は起きていない。ヴァンでは3,000人を定員とするダムルプナル初等教育学校で、たった30人の生徒が授業を始めた。移住した家族が住むこの地区の学校の前では、装甲車を用いた大規模な警備が行なわれた。

クルディ-デルのヴァン支部は学校の前で記者会見を開いた。記者会見にはガリプ・ヤヴィチ代表や、エイティム-セン(教育者組合連合)のレズギン・ボタン支部長、平和民主党のジュネイト・ジャニシュ県支部長が出席した。登校しなかった約50人の制服を着ていない子どもたちもこの記者会見を見守った。クルディ-デルのガリプ・ヤヴィチ代表は、クルド語で会見を行い、母語による教育は一つの権利であり、国民教育省もこの問題に解決策を施すべきだと述べた。

■警察から呼びかけ「子どもを登校させなさい」
ヴァンの移住した家族の暮らす地区では、警察が装甲車でひっきりなしに行き来し、家庭に「子どもを登校させなさい」との呼びかけを行なった。この間、警察の装甲車の近くに集まった数人の子どもはⅤサインをして「Biji serok Apo」(オジャラン万歳)というスローガンを叫んだ。しかし警察は静観していた。

■メルスィンでの状況
一方違法デモが行なわれ、子どもたちが警察車両に投石したメルスィンでは、ボイコットの呼びかけにはこれといった反応が見られなかった。エイティム-センのアダナ支部のギュヴェン・ボア支部長は、新学期初日の出席率の低さを初日の混乱のせいだと解釈すべきとし、次のように述べた。「初日は多くの学校で点呼さえとっていません。新入生たちでごたごたしてしまうのです。このため初日に欠席する人がいるのは自然なことです。しかし、明日や水曜日、その他の曜日の出席状況をみて、教育がボイコットされたのか否か判ると思います」

■ビトリス:ボイコットは無し
国民投票の賛成票が70%であったビトリスでは、母語教育要求のための学校ボイコットの呼びかけにも反応がなかった。朝方から家族は子どもに服を着させ学校に送り、生徒たちも嬉しそうに登校して授業を始めた。

■アール県:生徒は教室に
平和民主党の学校ボイコットの呼びかけにもかかわらず、アール市では多くの生徒が朝早くから学校に向かった。アールでは2010-2011教育年度を168,192人の生徒が2,848人の新入生と共にスタートした。平和民主党のボイコット運動は一部の村と一部の学校で支持されたが、アール市では多くの生徒が登校し授業を始めた。生徒は独立行進曲を歌い「国民の宣誓」を唱え、最初の授業のチャイムが鳴ると教室に走った。多くの保護者が生徒たちの最初の授業を見守り、教師たちは生徒に教科書を配って教育と指導をスタートした。

■ボイコットには参加せず
トゥンジェリ、ビンギョル、エラズーではボイコットは行なわれなかった。マルディン市では90%以上がボイコットに参加しなかったが、郡部では状況が正反対であった。平和民主党の影響力が強いマルディンのヌサイビン、クズルテペ、デリキ、マズダーウ郡では80%がボイコットを行なったと発表された。

■スィイルト:新学期は太鼓と笛で始まった
スィイルトでボイコットは10%に留まった。 平和民主党県執行部の職員1名を含む3名が、スィイルト市で数日前から家々を回ってボイコットをするよう家族を脅迫したとして逮捕された。

スィイルトのムサ・チョラク県知事は、サンジャクラル初等教育学校で鼓笛の演奏の中始業式を行い、2010-2011教育年度をスタートさせた。式にはチョラク知事、第三旅団司令官のアリ・シャーヒン・イシュレイェン准将、スィイルトのムスタファ・カラムク共和国県首席検事、フェトヒ・エテケル国民教育局長と、生徒及び保護者らが出席した。チョラク知事はそこでボイコットがスィイルト市では受け入れられまいとし、次のように述べた。「今日、教育のため学校は新学期を迎えている、登校しないといったボイコットのような状況にも直面している。こうしたことを認めないでください、これは犯罪です、これは学業と教育に対する妨害です。教育のボイコットはあってはなりません、我々の信仰は、揺りかごから墓場まで、我々に学ぶように命じています。ですから絶対にお子さんを学校に行かせて下さい、我々はお子さんを最善の形で育てます。我々は学校を作りました、あなた方にとって国家は最も素晴らしい形で学校を用意しました。我々の子どもたちも最善の形で、我が国の国民に育ててくれるでしょう」

■国民投票のボイコットは受け入れられたが・・・
平和民主党が支援した、一週間の学校ボイコット運動は、エルズルム、エルズィンジャン、カルス、アール、ムシュ、ウードゥル、アルダハンでは効果を上げなかった。県、郡、市の諸教育機関(学校)では、生徒が朝早くから学校へ向かった。全ての学校で新教育年度が始業式によって始まった。国民投票を80%がボイコットしたカルスのディゴル郡では、生徒たちは集団で手を繋ぎながら登校した。一部の生徒たちは保護者が学校に連れてきた。最初の授業のチャイムが鳴ると、生徒たちは独立行進曲を歌い「国民の宣誓」を唱えた後、教室に入っていった。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:20209 )