イギリスとアメリカの新聞各紙は、アクダマル教会での儀式の象徴的重要性を強調したが、その一方で十字架が設置されなかったことへの反発も見られた。アクダマル教会で5千人が参加して行われた宗教儀式に世界の関心が集まった。
英国のファイナンシャルタイムズは、「アクダマル教会での儀式は「寛容」のサイン」と評し、次のように伝えた。
「100年近くのブランクをへて、トルコの東部にあるアルメニア教会で、民族的宗教的少数派に関する歴史的問題を克服するためのトルコ共和国の努力のひとつの象徴として、教会の鐘がなり、儀式が執り行われた。」
■ウォールストリートジャ-ナル「象徴的」
アメリカのウォールストリートジャ-ナル誌は、「トルコはオスマン帝国の崩壊以来初めて、この日曜日に、アルメニア人に対し、象徴的、かつ政治的な問題をはらむ教会で祈祷することを許した。」と述べた。
報道によると、「全世界のアルメニア人にとって、1915年に放棄され、2007年に150万ドルをかけた修理の後、博物館として新たにオープンしたスルプ聖十字架教会は、オスマン帝国の力による強制送還と大量殺人のシンボルとなっている。教会の十字架の関する議論では、(地域での)隣人間の安全問題が理由とされている」という。
■ロサンジェルス・タイムス「障害を強調」
アルメニア人口の多いカルフォルニア州で高い発行部数を誇るロサンジェルス・タイムスは、「この儀式は、一方では、トルコ人とアルメニア人の間で高まっている和解ではの希望を、一方では、アルメニア人が残酷に殺されてから100年近い時間が流れたにもかかわらず今なお残る障害を、示している」と述べた。
■ワシントンポスト紙「十字架問題」
「儀式での十字架の不在は、トルコ・アルメニア関係にとって不幸なこと」とのタイトルを用いたワシントンポスト紙は、「多くの人が、トルコとアルメニアの間の関係正常化のための転換点となることを期待したこの儀式は、トルコ上層部が、新装なった教会に、待ちに待たれたこの儀式に間に合う形で十字架を備え付けなかったことで、議論の種を残した」と述べた。
■エル・パス紙(スペイン)、十字架問題を報じる
スペイン最大の新聞エル・パス紙は、「トルコ政府が教会の屋根に十字架をつけることを許可しなかったことは、多くの信者の反発を招いた」と報じた。
■アルメニア人はヴァンから上機嫌で帰郷
ヴァン湖にあるアクダマル島にあるスルプ十字架教会で、95年ぶりにとりおこなわれた儀式は、アルメニア人に好感をもって迎えられた。とても幸せな気分でヴァンを去りますとのべるアルメニア人らは、ヴァンの人々が自分たちにとてもよくしてくれたと語った。アルメニア共和国から訪れた新聞記者のDzovinar Lokmagozyan氏は、アルメニアのセヴァン湖で詰めてきた一瓶の水をヴァン湖に流したと述べ、この二つの湖は一体となった、と述べた。イランからきたアルメニア人の Vahik Ratevostan博士も、「この地の人が我々の敵ではないことがよくわかった」と述べた。
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( 翻訳者:田中優美 )
( 記事ID:20212 )