訪米中のギュル大統領、コロンビア大学で講演
2010年09月26日付 Milliyet 紙

ギュル大統領は、国連総会ののち、コロンビア大学を訪問し学生に講演した。また、ボストンでトルコ人研究者らと会合した。

マスメディア研究の先端をいくコロンビア大学で、ギュル大統領は、トルコにおける民主主義と人権の水準向上や、EU加盟にむけての改革について語り、また、メディアにおけるポピュリズム、多言語・多チャンネル、あらゆることが議論の対象とされる社会におけるインターネット革命の役割について言及した。そして、トルコ国営放送がクルド語放送を開始したことにふれた。ギュル大統領は、かつてのようにメディアをだれかが集約することは難しく、メディア王らによる独占も不可能になったとのべた。

一人のトルコ人学生が、大統領に対し、エルドアン首相の娘婿がCEOをつとめるサバフ新聞が、燃料分野でも国の入札を勝ち取っているチャルク・グループに売却された際、公的銀行からえた借し付けについて質問した。ギュル大統領は、サバフ紙に対する借し付けの利子は市場利率よりも高く、そのゆえ、公的銀行がこれによって被害をえることはないこと、また、首相の娘婿を地位を含め、非合法な点はみられないと述べた。学生たちは、質問のために、長い列をつくった。サバフ紙につづき、ドアン・グループに対する加重徴税裁判に関する質問があったのかどうかは不明であるが、大統領の講演後のあとの質問は、5,6人の学生に限られた。

■悲劇を傍観したわけではない

ギュル大統領が拍手をあびた言葉は、ガザ支援船団に対する襲撃と、トルコの南東部のクルド人に対し同様な形で支援の車列が向った場合、阻止するかどうかという点を結びつけて行われた質問に対した答えたときのものであった。ギュル大統領は、「この二つは、同じことではない。クルド人はトルコの平等な市民である。同じ民族の一部である。パレスチナは、イスラエルの土地でない。ガザは占領下にある。ガザでおきている人道的な悲劇は傍観できない」とのべ、大きな拍手をあびた。

ギュル大統領は、中東地域の核の装備に反対し、イランの核開発プログラムを、戦争ではなく外交手段により世界の脅威でなくすことを目的にトルコがおこなっている努力を説明し、コロンビア大の聴衆はこれに注意深く耳を傾けた。

イスラエルとイランの問題は、ギュル大統領のアメリカ訪問を通じ、新聞やテレビの報道でも、もっともデリケートな扱いをうけた。オバマ政権の将来、すなわち再選の可否は、中間選挙の結果、はっきりしてくる。経済の低迷、失業率といった問題に苦渋するアメリカ大統領は、議会におけるユダヤロビーと敵対することを恐れている。トルコが、国連で反対票を投じ、イスラエルとの関係を悪化させたことは、大統領就任後の最初の訪問先にトルコをえらんだオバマ大統領を失望させた。政権とメディアの意見が対立しているのは、イラン問題である。こうした中でのギュル大統領の訪米は、両国間の信頼回復のために、効果をあげたといえるだろう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:20256 )