アタテュルクゆかりのサヴァロナ号で売春マフィア強制調査
2010年09月28日付 Hurriyet 紙

サヴァロナ号で行われた売春摘発の詳細が明らかになり始めた。少し前にも売春のために使用されたことが判明したサヴァロナ号において、年齢が18歳に満たない娘たちが、著名な実業家たちに、とても高い値段で取引されていたことが明らかとなった。

■ スキャンダルに衝撃が広がる

7ヶ月前、届いた密告の上に始められた捜査により、昨日、ムーラ県のフェトヒェ郡に属するギョジェックの街沖合を遊覧中、沿岸警備司令部、アンタリヤ及びムーラ県の軍警察と一緒に国際移住機関の代表団が加わって実行された摘発後、若干の詳細が明らかになり始めた。

■ 少し前にも売春のために使用されていた

アンタリヤ県のセリク郡に属するべレック地区にある超高級ホテルにおいて、年齢が18歳未満の者を若干名含んだ外国籍の女性達が、著名な実業家たちに、とても高い値段で売春取引されている、との密告があった。当局は、それに基づいて捜査活動を開始し、またこの捜査過程において科学技術と物理的な追跡を併せ、何ヶ月も証拠集めの努力を行ったとした。その捜査の中でサヴァロナ号が少し前にも売春組織に使用されていたことが明らかになったと発表した。

当局は、サヴァロナ号にて昨日行われた摘発の後、売春組織を運営していたとして逮捕された組織の構成員8人および16歳から17歳の2名を含む10名の女性を夜アンタリヤに連行し、容疑者達の取調べを始めたと発表した。また売春グループがウクライナとロシアにあるモデル斡旋業者に連れてこさせた女性達を「プレゼント」とした外国国籍の実業家や官僚達にたいし供述をとった後、釈放したと発表した。

一部18歳未満の少女たちと一晩3千ドルから1万ドルを報酬として支払い、釈放された者達の中に、興味深い人物達もいたことが明らかとなった。

■ カザフスタンの首相のコンサルタントもした

釈放された者たちの中には、カザフスタン出身で、またハイレベルの国家の要人に与えられる特別なパスポート(緑色のパスポート)を所持するP.S.がおり、その供述によると、カザフスタンの首相のコンサルタントをしていると述べたことが明らかとなった。

釈放され、女性たちと一緒に見つかったとされる者たちの中には、実業家であることが知られているロシア人のM.B.とA.G、キルギス人のA.M.、カザフスタン人であるA. İ.もいたと発表された。

カザフスタンの国民で、そして国の外交任務を帯びた人物に与えられる公務パスポート(灰色のパスポート)を所持するA.T.はその供述で、カザフスタンの首相のコンサルタントのP.S.のアシスタントをしているとしたことが明らかとなった。

売春組織のリーダーである人物は、組織の資金を確保し、イスタンブルの海峡沿岸に家を持ち、アメリカに幾つかの不動産を持つ、トルコでも知られたあるホテル・チェーンの非公式な共同経営者であるとされる著名なカザフ人実業家T.A.であることが明らかとなった。ロシア、キルギス、そしてカザフスタンの実業家たちの身辺警護を行う者たちとされる8名も、取調べ後に、この実業家たちと一緒に釈放されたことが明らかとなった。

T.A.も含めた、売春組織を運営していたとされる計8名の容疑者が、犯罪発生場所として伝えられるセリク郡に属するべレック地区にある軍警察司令部で留置されていたこと、また供述をここで取られたことが分かった。

T.A.の指導下にある犯罪組織中、トルコ国籍の構成員であるG.A、M.C、E.A、K.T、H.A.という名前の女性、カザフスタン国籍のE.M.という名前の女性、カザフスタン国籍のM.B.と身元が判明した。またこの人物たちと一緒に、元の形からから変形した9mm口径の拳銃、パソコン、キャッシュカード、多額の預金残高のある銀行の通帳、多数の電話、そしてSIMカード(携帯電話に挿入するICカード)、パソコン、メモ帳、商売に関する様々なメモ、郵便局(PTT)の郵便為替、資金振替に関わる銀行明細を押収した。取調べが、組織的売春の他、国際的なマネーロンダリングの側面からも深く追求しているこが分かった。売春をさせられていた女性たちが、国外でも事業展開するホテル・チェーンがアンタリヤとボドルムにもつホテルに宿泊していたかに関し、調査中という。

■ 軍警察による書面発表

アンタリヤ県の軍警察司令部は、サヴァロナ号が使用された人身売買と売春の摘発について書面による発表をおこなった。捜査は2009年の終り頃にアンタリヤのセリク郡に付属するボアーズケント自治体である人物の逮捕がきっかけとなったと明らかにされた。

この人物が、ウクライナとロシアでモデル斡旋業者から確保してきた18歳未満の少女を含めた女性達を、アンタリヤにある正規の観光施設で裕福な人物たちに高額で売っていたとの情報を得て、以下の発表をおこなった。

「捜査の結果、個人各々は単独行動をしていなかったこと、アンタリヤ県から4名、イスタンブル県から2名が組織内部に加わっていたこと、この組織に特定できた一人の人物が融資していたことが明らかになりました。2010年9月28日、件のグループがサヴァロナという名前の船を賃借した事実、国外から連れてきた女性たちに売春行わせようとした者たちを特定し、また司法関係者達から必要な決定を得て、イスタンブル、アンカラ、そしてムーラ県で同時刻に一斉摘発を行いました」と述べた。

発表では、同時刻にイスタンブル、アンカラ、ムーラで行われた強制捜査で人身売買を組織した8名が逮捕されたこと、人身売買の被害を受けた15名の女性と少女が確認されたことが明らかにされた。

発表では、摘発が行われたサヴァロナ号に宿泊していた者たちの中に、6名の外国国籍の実業家がいることを明らかにした。「容疑者達と一緒に、犯罪に使用された書類と電子機器を押収した。摘発は、アンタリヤ県の軍警察司令部、ムーラ県の軍警察司令部、沿岸警備司令部、国際移住機関の代表団達が協力して行った。」とされた。また発表では容疑者達が取調べの後、アンタリヤの司法当局に移送する予定とした。

■ トルコ商工会議所連合(TOBB):国有化の権利が生じた

この間、サヴァロナ号を49年間借りている実業家のカフラマン・サドゥクオール氏はNTVのジャン・デュンダルのインタビューを受けた。彼は、サヴァロナ号がドルマバフチェ宮殿の前に浮かぶ博物館の形で使用するために、文化観光省とTOBBとの間で協議が行われたこと、しかしながら、この協議で結論はでなかった、と主張した。

事業の関係ためイラクにいることを明らとしたサドゥクオール氏は「サヴァロナ号を博物館とするために話し合いを行いました。 TOBBはこの仕事を引き受けられるだろうと述べました。しかしながら、その後連絡はきませんでした」と語った。

TOBBの運営委員であるイルハン・パルセケル氏は、間違ったことが行われたとし、またこの事件にたいする責任の追求を主張して「敬愛するサドゥクオール氏が、この事件の責任から免れるため、問題を誤った場所に向けようとしています。サヴァロナ号の民営化が話題になった際、氏はロシア人たちにサヴァロナ号を売るための合意を行っていました。私たちがサヴァロナ号を外国人に売ってはならない、と働きかけなかったら、この入札が行われていたでしょう。しかし、売却規約書において、「第三者に売る権利は国庫の承認を必要とする」との条項があるので、この売却は断念されました」と語った。

サヴァロナ号が規約外に運用されているとするパルセケル委員は、「規約書によれば、返還の事由が生じました。文化観光省が所有すべきだ」。またTOBBとして常に適宜行動するとし、「再売却するならTOBBの運営委員と席をともにしながら、話し合い、必要なことをおこないます」と語った。

■ サドゥクオール氏:お金を払ったんだから

今朝もハベルテュルク・テレビの生放送に出演したカフラマン・サドゥクオール氏は以下のように話した。
「借りた人物が何をしたのかどうやって知ることができましょう。お金を支払った使用者は本人の好きなように使います。私はいまイラクにいて、サヴァロナ号のためにイスタンブルに戻ります。戻った際に、詳細な発表をおこないます。」

■ ギュネイ文化観光相:財務博物館にするよう譲渡できる

エルトゥールル・ギュナイ文化観光相は「財務省がサヴァロナ号の博物館への転用を考慮した際、我が省への移管が考慮の対象となりましょう」と語った。

■ サヴァロナ号

アメリカ人のウィリアム・フランシス・ギブスによって設計されたサヴァロナ号は、1931年に400万ドルで建造された。7年間大西洋と地中海を航行した後、1938年にトルコ政府によって買い取られ、そしてトルコ共和国の建国者ムスタファ・ケマル・アタテュルクに贈られた。

アタテュルクはサヴァロナ号で閣議を行ったり、世界のリーダー達をもてなした。アタテュルクの死後、サヴァロナ号はトルコ船舶機構会社に譲渡された。1989 年にカフラマン・サドゥクオール氏に対して49年間貸し出された。

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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:20269 )