大学スカーフ地図、解禁の大学・禁止の大学
2010年10月05日付 Radikal 紙

(スカーフ問題は)政界で議論されているが、各大学はスカーフ禁止をそれぞれに解決した。法律の規定にかかわらず、スカーフを着用した学生たちはキャンパスに入り授業を受けることができるようになった。

政治家らはスカーフ問題解決のため激しい議論を続けているが、一部の大学はこの問題を事実上解決し、法律は適用されなくなった。イスタンブル大学とマルマラ大学では、スカーフを着用の学生はスカーフを外さないまま登校し、授業を受けることができる。トルコにおける大学の大多数では、スカーフを着用したままキャンパスに入ることに問題はない。一部の大学では教室にもそのまま入ることができる。しかしスカーフ禁止が継続している大学もある。

イスタンブル大学からマルマラ大学に至るまで、多くの大学で今年初めて「スカーフ」着用の学生に門戸を開いた。昨年までは、スカーフを着用する学生は大学の入り口にあるブースでスカーフを外すか、もしくはかつらを着用することで登校が可能だった。2010-2011教育年度は、スカーフを着用する学生の多くはスカーフを着けた格好で登校し、授業を受けることができる。イスタンブルにあるユルドゥズ工科大学やイスタンブル工科大学、ボアジチ大学でも、スカーフを着用する学生がキャンパスに入ることが可能だが、授業を受けられるかどうかはさまざまだ。トルコ全土で見ると、概して西部の上記以外の都市ではスカーフ禁止が継続しており、東部ではスカーフに対する寛容さが見られる。

■学生たちは満足

かつては大学の構内にすら入れなかったスカーフ学生は、今や大学内を自由に歩き回ることができ、授業を受けることができる。学生たちは今回の変化が続くことにかなり満足している。しかし、多くの学生はこの問題について語るのは時期尚早だと述べている。そして名前を明かして話をすることに対して不安を覚えている。

イスタンブル大学歴史学科で2年間勉強しているある学生は、次のように語っている。
「スカーフ禁止は学科ごと、学部ごとに、さらには学長が変わるごとに対応が変わってきた問題です。この問題で最も厳しい学校はコジャエリ大学で、最も緩やかなのはボアジチ大学です。昨年私は帽子をかぶって授業を受けていました。今年は全ての授業にスカーフをかぶって出ています。この問題の解決は、法律の厳格な適用と、もう少し全員が互いに支えあうことによって実現するでしょう。」

またマルマラ大学会計学科2年生のベイザ・ギョクサルさんはこのように述べる。
「一瞬で何もかもが変わってしまいました。何があって変わったのでしょうか。去年は保護者を含め、スカーフ着用者は全員学校に入ることはできませんでした。今は入ることができます。今は平等の原則が適用されています。学内のスカーフをしていない学生たちのこの問題についての態度は、私が思っていたよりいいものでした。スカーフ問題は、これほど大袈裟に論じられたり、対立への道を開くほどのものではなかったということです。」

■今年は安心

イスタンブル大学分子生物学・遺伝子学科2年生(19歳、匿名)は、今年の状況を次のように語った。「去年は、スカーフを外さないとキャンパスや食堂に入ることはできませんでした。今年はというと、学校に気軽に入ることができます。寛容な措置がなされました。ウルダー大学やゾングルダク・カラエルマス大学でもこのような状況みたいです。」隣にいた友人も、身に着けるものについての規制があるとしたらこれは全ての人に向けたものでなくてはいけないと主張する。「人間は信条の自由を享受できると言うが、この状態では、私たちは安心して勉強することはできない。もしスカーフが近代性や世俗主義への離反であるならば、遺伝子学科のような学科をどうやって勉強できるのか。ある先生は去年、自分はスカーフを着けていないのに、なぜスカーフを着けるのか、こんなものを着けるのは村人だと言って私を呼び出して説教しました。しかしようやく、この問題についてほっとしました。」

同学科所属で、スカーフを着用しているある学生も、今年は安心だと強調する。「去年の年末、ある友人が大学内の広場でスカーフを着用していた理由で警備員に厳重警告を受けました。大学が始まってまだ2週間ですが、大学はとても穏やかです。私は人々に尊重してもらいたいだけです。」

イスタンブル大学数学科1年生の学生(18歳)はこのように述べた。
「私が入学登録に来た際、上級生は私たちに『私たちの母親は登録の際にスカーフを着けていたという理由でなかに入れてもらえなかった。あなたたちはとてもラッキーね』と言ってくれました。初めて来たときは、校門でスカーフを外さなきゃと思いました。みんながキャンパスの中を自由に(スカーフを着けて)歩き回っているのを見て、私もスカーフを着けたまま学内に入りました。」
その一方で、マルマラ大学大学院のチーデム・クルトゥさんは次のように説明した。
「以前は校門をスカーフを着用したまま通ることはできなかったが、今は通ることができ、全ての授業に出ることができます。今年は学長が変わったので、この状況は新学長のおかげです。」

■「授業に参加可能」

マルマラ大学技術教育科のある学生は、「一人の先生を除いた全ての先生の授業に出ることができます。その先生も2週間後にこの問題についての結論を出すと言っています。ついに民主主義が到来したと思っています」と述べた。
イズミルやマラトゥヤにある大学はまだ始まっていないため、スカーフ問題の適用についての情報は今のところない。

■スカーフ禁止が適用されている大学

スカーフ禁止の姿勢を厳格にしている大学の数は、寛容な措置を取る大学よりも多い。スカーフが禁止とされている大学は以下の通り。

ムーラ大学、ウシャク大学、チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学、アンタリヤ・アクデニズ大学、ゾングルダク・カラエルマス大学、カラビュク大学、デュズジェ大学、アクサライ大学、カラマン・カラマンオール・メフメト・ベイ大学、トラブゾン・カラデニズ工科大学、リゼ大学、アルトヴィン・チョルフ大学、ギレスン大学、ギュミュシュハーネ大学、バイブルト大学、エディルネ・トラキヤ大学、テキルダー・ナームク・ケマル大学、クルクラーレリ大学、サムスン・オンドクズ・マユス大学、スィノプ大学、アマスィヤ大学、オルドゥ大学、チョルム・ヒティト大学、ブルドゥル・メフメト・アキフ・エルソイ大学、アフィヨン・コジャテペ大学、コジャエリ大学、メルスィン大学、メルスィン・チャー大学、メルスィン・トロス大学、カフラマンマラシュ・スュトゥチュ大学

■ハッキャーリーでは完全に自由

次の大学では、スカーフは解禁された。ハッキャーリー大学、バルトゥン大学、スィイルト大学、ディヤルバクル・ディジュレ大学、ビンギョル大学、マルディン・アルトゥクル大学、ガーズィアンテプ・ズィルヴェ大学、ガーズィアンテプ・ガズィケント大学

■「教員が許可を出せば問題はない」

スカーフ着用がキャンパス内では自由であり、授業では原則、禁止とされている大学はまだかなり存在する。このような大学は以下の通り。(注:ただし、以下の大学でも教員が許可を出せば授業を受けられるとみられる。)

アダナ・チュクロヴァ大学、ウルダー大学、ヤロヴァ大学、スィヴァス・ジュムフリイェト大学、トカト・ガーズィ・オスマンパシャ大学、ビトゥリス・エレン大学、ヴァン・ユズュンジュ・ユル大学、ギュミュシュハーネ大学、バイブルト大学、バトマン大学、シュルナク大学、エラズー・フラト大学、トゥンジェリ大学、アイドゥン・アドナン・メンデレス大学、ウスパルタ・スレイマン・デミレル大学、サカリヤ大学、ハタイ・ムスタファ・ケマル大学、ニーデ大学、キリス・イェディ・マルト大学、オスマニイェ・コルクト・アタ大学、エルズルム・アタテュルク大学、アール・イブラヒム・チェチェン大学、アルダハン大学、エルズィンジャン大学、ウードゥル大学、カルス・カフカス大学、ムシュ・アルパルスラン大学、エスキシェヒル・アナドル大学、エスキシェヒル・オスマンガーズィ大学、キュタフヤ・ドゥムルプナル大学、ビレジク大学

■バス路線があるので、校内OK

コンヤ・セルチュク大学では、スカーフ着用者は学校に入ることができる。というのも、キャンパス内にはトラムやバスの路線があるからだ。しかし学部の入り口でスカーフを脱ぐことになる。
ボル・アバント・イッゼト・バイサル大学では、スカーフを着用する学生はキャンパスに入ることができる。教員が許可を出せばスカーフを着用して授業に出ることができる。
ガーズィアンテプ大学では、一部の学部ではスカーフを着用して授業に出る許可が与えられているが、一部では禁止されている。

イスタンブルにあるイスタンブル大学とマルマラ大学では、スカーフを着用して授業に出ることができる。イスタンブル工科大学(ITU)やユルドゥズ工科大学、ボアズィチ大学では、スカーフを着用してのキャンパス入校は自由である。アンカラの中東工科大学、ハジェテペ大学、アンカラ大学、ガーズィー大学でも状況は同じだ。ビルケント大学では入校は自由。教室に入れるかどうかは学部によって規則がことなるとされている。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:20320 )