米国の対イスラエル軍事協力にかんするレバノンの立場
2010年10月09日付 Al-Nahar 紙
■レバノン・イラン間の武器取引を警戒する声が各国から相次ぐ
2010年10月9日付『アル=ナハール』紙HP1面
【ハリール・フライハーン(本紙)】
政府情報筋は、米国製の最新型戦闘機「F35」20機がイスラエルに売却されたことについて驚きを示した。中東地域にはこのF35型戦闘機を保有している国はない。シリアのワリード・アル=ムアッリム外務大臣は、この取引について「中東地域の安全保障と安定において紛れもない不均衡を生み出すものだ」と批判した。この[政府情報筋が示した]驚きはイスラエルに対するアメリカの絶対的な支持に起因している。というのも、アメリカのバラク・オバマ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して交渉決裂回避を呼びかけ続けているにもかかわらず、イスラエルは2か月間の入植地建設凍結期間の延長を拒むことにより、パレスチナとの直接和平交渉を遅らせているからである。
「そうした武器取引を利用し、ユダヤ国家[イスラエル]に入植凍結延長の圧力をかけるという手段で、9月の初回以来3回しか協議が行われていない和平交渉を救済することはできないのだろうか?」と政府情報筋は問いかけた。また、「アメリカ連邦議会の中間選挙が近く、大統領はアメリカ国内のユダヤ・ロビーが反オバマで動くことを恐れているためそうした手段に訴えることはできないのか」と疑う姿勢も示した。
同筋は、イスラエル側はパレスチナ自治政府のアッバース大統領のみでなくオバマ大統領の要求までも拒絶しており、ネタニヤフ首相の思惑に屈服しているこうした状況の下では、イスラエルとの直接交渉は停止しなければならないとの見方を示した。交渉の場でも実地でもイスラエルの行動に左右されているという厄介な状況に反して、この交渉が目的とするパレスチナ国家建設の余地が残されることはないだろうからである。
また、アメリカがイスラエルに提供する各種サービスやイスラエルが米国政府から受けるあらゆる分野での待遇について、そのつけがレバノンに回ってきているということを示唆した。例えば、レバノンには、イスラエルの攻撃に備えイランと兵器を取引することが禁じられている。国防省が8億ドル規模で進めている軍備計画に沿って米国は、イスラエルおよび同国兵力に対する脅威を形成するとみなされるあらゆるミサイル軍備を抑制しており、もしレバノン軍がイラン製の兵器を入手した場合、その軍備計画がストップすることになるからだ。マフムード・アフマディー・ネジャード大統領のレバノン訪問期日が近付くにつれ、レバノン政府責任者らに対し、イランといかなる武器取引もしてはならないとの英米からの警告がエスカレートしている。その際、アメリカ、イギリス両政府と国連安保理が言及するのは、イラン政府に対する制裁を定めた国連安保理決議、特に2007年3月に採択され、イラン国内へ、また国外への兵器運搬禁止を課した決議1747である。
(後略)
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:片山満祐子 )
( 記事ID:20409 )