ユネスコ、パレスチナの文化財保護を求めるアラブ諸国提出の決議を採択、米とイスラエルは反発
2010年10月19日付 al-Hayat 紙

■ユネスコ、パレスチナ文化財の保護を決定

2010年10月19日付『アル=ハヤート』紙(イギリス)HP1面

【パリ:タラール・アール・アル=シャイフ】

国連教育科学文化機関(UNESCO)は昨日、次の5点に関する決議を採択した。占領下エルサレムの文化財保護、世界遺産リストへのビラール・ブン・ラバーフ・モスクとイブラヒーム・モスクの追加、アル=アクサー・モスクのマグリブ門周辺での発掘作業、シリアからの占領地であるゴラン高原を含む占領地での教育機関の状況、ガザ地区の人権状況。[訳注:ベツレヘムのビラール・ブン・ラバーフ・モスクとヘブロンのイブラヒーム・モスクについては今年3月にイスラエル政府がユダヤ教の史跡として登録すると決定、同様にユダヤ教の伝承では「神殿の丘」とされるエルサレムのアル・アクサー・モスク周辺ではイスラエル政府による遺跡発掘作業が続けられており、占領地での教育・人権状況への憂慮と併せて、アラブ諸国からこれらに対抗する決議案が提出されていた]

採択への手順がアラブ諸国の狙い通りに進められたため、UNESCOの活動を政治化するものだと非難する必要に迫られたデビット・キリオン米UNESCO大使は、「我々はいつも協調を目指して来たのに、今回の採択は米国の意向に反する」と述べた。イスラエル大使は米大使よりも立場を明確に打ち出して、この日の会合を「最低の日」と評し、「アラブ諸国のグループは子供じみた圧力と脅しをかけてきた」と主張した。また、自身は譲歩を示したと打ち明けたが、その詳細には触れなかった。

一方、サウジアラビアUNESCO大使のズィヤード・アル=ダリース氏はこう述べた。「抑圧されたパレスチナの弱者にとってはこれでUNESCOが勝利したとは言えない。なぜならパレスチナ人の苦しみはより大きいからだ。しかし、世界の良心とUNESCO自身の威信にとっては、これはUNESCOの勝利だと言えるだろう」。

ちなみに今回の採択で、マグリブ門周辺の遺跡発掘に関しては、米国を含む5カ国が反対したものの、残りの決議に関しては米国だけが反対を表明した。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:中島希 )
( 記事ID:20438 )