アクセス禁止だらけのトルコインターネット事情、Facebookも閉鎖の危機
2010年10月20日付 Radikal 紙

トルコでは合計1600ものサイトが閲覧禁止になっている。TİB(テレコミュニケーション通信庁)のフェトヒ・シムシェキ長官は、Facebookも今日までに4100回も閉鎖の危機にあっており、いまだに閉鎖の恐れがあることを説明している。

インターネットの加入数が800万に達し、約3000万人の人がインターネットを利用しているトルコでは、サイバー犯罪も深刻な増加を遂げている。テレコミュニケーション通信庁(TİB)は、世間からは電話の盗聴の件で良くないイメージを持たれており、インターネットの監視についても同様である。トルコではYoutubeやプレイ・ボーイといった有名なサイトを含む1600のサイトが閉鎖されているが、さらにFacebookも閉鎖の恐れがある。

■8つの不法行為

犯罪カタログと名付けられたリストには、「自殺の手引き」、「児童の性虐待」、「麻薬及び覚せい剤の使用ほう助」、「有毒物質の入手」、「猥褻物」、「売春」、「賭博場及びその機会の提供」、「アタテュルク侮辱罪」が載っている。インターネットサイトがこれらの犯罪を犯している場合は、サイトのサーバーが国外のものであったとしても、TİBはその権限においてアクセスを禁じることができる。トルコのサーバーの場合は、TİBは猥褻物と児童の性虐待時でのみ、サイト閉鎖という手段を持ちいることができる。動画共有サイトYoutubeは2年ほど閲覧が禁止されている。これは、アタテュルクを冒涜する動画が広まったためにアクセス禁止に至ったものである。

■YouTubeはまた開かれるか

TİB長官フェトヒ・シムシェキ氏によれば、この問題を解決する方法が2通りあるそうだ。1つ目は、Youtubeにあるアタテュルク侮辱動画を削除すること。2つ目は、アクセス禁止に関する判決が撤回されることである。Youtubeの運営側は、トルコでサイトへのアクセスが禁止された後も、該当コンテンツを削除するつもりはない。以前はYoutubeに対し、しばしばコンテンツの削除を依頼しては、常に前向きの回答を得ていたTİBだが、アクセス禁止により、もはやYoutubeに「これを削除してほしい」とは言えなくなってしまった。

トルコは問題解決のために関連する法の「犯罪カタログ」を新たに作成しなおし、サイト閉鎖の理由となるものを減らすことが出来る。実際、独自の法によって、犯罪として数えられているアタテュルク侮辱罪も、このリストから外されることが可能である。もしくは、確定してしまった裁判判決を撤回するために、法務省は「法律の無効」という措置を取ることが出来る。法務省は令状に則って、裁判判決を無効化することを最高裁判所に要請することができるのだ。TİBはFacebookに対し、4100回もコンテンツの削除を申し入れていたという。つまり、コンテンツの削除がきちんと行われていなければ、Facebookも4100回、閉鎖される可能性があったということになるのだ。

■CHP(共和人民党)の検閲があった

CHP党首ケマル・クルチダルオール氏は、自身の正当性を主張するあまり、検閲官のようなことを行っていた。Facebookに、「クルチダルオールはPKK党員だ」という名前のグループが開かれると、クルチダルオール氏はこれに対して訴訟を起こし、勝訴した。TİBは、Facebook内のグループの閉鎖要求を、サイト内の部分的な閉鎖は行えないという理由で、「合法的には不可能」として拒否した。それに対しクルチダルオール氏の弁護団は、裁判所の判決に従わなかったという理由で、TİB上層部を訴えた。しかし、TİBの上層部が判決に従っていたら、グループのみを閉鎖することは技術的に不可能であるためfacebook.com全体を閉鎖しなければならなかったのだ。だが、TİBは現実的に問題を解決した。Facebook Türkiyeの代表に依頼して、コンテンツを削除したのだ。こうしなければ、クルチダルオール氏の弁護団はすぐにでも近くの簡易裁判所に申し立てを行なっていただろう。

■もしシムシェキ氏が有罪となれば

裁判所の「コンテンツ削除」の判決に従うためには、Facebookにコンテンツの削除を依頼しなければならなかった。もしこの依頼が拒絶されれば、その時は、裁判所からの新しい判決を受けて、サイトへのアクセスを完全に禁止することが望まれる可能性もあった。クルチダルオール氏、もしくは彼の弁護団は、裁判所に対し、グループを作成し、それを広めた個人(或いは集団)を特定するために申し立てを行う可能性もあった。TİBのシムシェキ長官について、判決に従わなかったという理由による裁判は続いている。シムシェキ長官が有罪となれば、今後全ての(閉鎖や削除の)判決が適用され、それにより問題が、実際的には解決できなくなることが明らかである。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:智原幸穂 )
( 記事ID:20452 )