シリア、900年に1度の経済的好機を活かせるか
2010年10月29日付 al-Hayat 紙

■シリア人の人口が29年ごとに倍増。「うまく対処すれば成長の機会となる」

2010年10月29日『アル=ハヤート』紙(イギリス)HP経済面

【ダマスカス:サマル・アズマシュリー】

 シリアの人口増加のペースが高水準にあり続ける現状に加え、80年代に発生した「人口爆発」の影響もあり、シリアは現在人口ボーナス期に入ろうとしている。専門家によると、この現象は900年に1度しか訪れない機会であり、人口の多くが労働年齢に達する事を意味する。現在の成長ペースが続けば、以前は20年ごとに倍増していたシリアの人口が29年半毎に倍増する事が、数字によって示されている。「シリア家族問題委員会」は、この窓の開放場所・時間や、これの取り扱いを誤って「苦難」にするのではなく、うまく「成長の機会」へと転換する方法を数字やデータによって説明する報告書を作成している。

 同機構のインサーフ・ハマド所長は、人口ボーナス期への突入が「大きな成長の機会であり、全ての開発計画の手段となり、牽引役となると考えられる。」との見解を示し、「開発計画を担うことが可能な能力のある人的資源を揃えるために、雇用機会の創出と、教育と訓練による労働人口の質的特徴の開発が必要不可欠である」事を強調した。

 所長は本紙のインタビューで、「この人口動態統計窓を開放するための計画と、その成果から利益を得る事の必要性」を強調した。そしてそれは、人口動態統計窓を「失業率の増加や元々高い出生率の更なる増加をもたらす本当の苦難へと転換」させないためであり、「失業率、出生率の増加は貧困や犯罪などの大きな社会的諸問題を引き起こす可能性がある」と述べた。

 昨年発行された報告書の第1号が成功を収めた事を受け、同機構は現在11月発行予定の報告書第2号の準備に注力している。報告書第1号は、国家が介入した場合及びしなかった場合の複数のシナリオに含まれる、人口増加にかかる経済的コストに関する予想図を提示したことにより、シリアの人口問題について率直かつ透明性をもって警鐘を鳴らした。同報告書では、シリアが世界でも最高レベルの人口成長率を有し、これを上回るのはサブサハラ・アフリカ諸国のみである事が述べられている。また、世界の人口成長率が年間2.45%に上り、一方(シリアの)東部の県の一部では、女性1人に対して8.1人の出産率を記録した点も指摘した。

 ハマド所長は、「報告書で人口分布の偏りが指摘されている通り、人口が非常に過密な地域がある一方で、人口流出に悩む地域もある。そのため、これらの数字は開発計画の責任者らの手に渡り、該当地域のニーズに応じてプロジェクトを計画し、その地域内での働き手の分配を考える際に活用される。また報告書では、教育や保健に関連するいくつかの指標等のような、住民の質的特徴の低下が示されている。」と語った。

 さらにハマド所長は、報告書は人口増加に関する3つの型を明らかにしたと付け加えた。第1の型は人口増加率が高水準にある型で、北部や東部の県(アレッポ、イドリブ、ラッカ、デイル・ゾール)や南部の県の一部(ダルアー)が該当する。また、この型はシリア人口の4分の3を占める。第2の型は中水準で、人口の15%を占める。第3の型は低水準で、沿岸部の県(タルトゥース、ラタキア)や南部(スウェイダー)に見られ、全人口中の割合はわずか10%である。

 ハマド所長は、「人口増加問題はその概要がはっきりした問題であり、高い人口増加率はシリアの人口の4分の3における支配的な増加の型である」事を明らかにし、またそれがこれらのデータや高い人口増加率から導き出された結論であると述べた。また、人口の多数が労働や結婚の年齢に到達した事を受けて、同機構が「人口動態統計窓」に関する報告書第2号の作成へ関心を寄せたことを指摘した。

(後略)

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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:20553 )