Semih İdizコラム:不可避な中国との関係強化、ウイグル問題は棚上げ
2010年11月06日付 Milliyet 紙
トルコと中国の関係は大幅に前進してきた。ここ2年間、2国間を頻繁に要人が相互訪問したことも、その証拠である。ギュル大統領が2009年に行った公式訪問に続きシムシェキ財務相、チャーラヤン海外貿易担当相、ユルドゥルム運輸相、ギュネイ文化相、アクダー厚生相、ならびにアタライ内務省が次々と中国を訪れた。
この間に中国からは陳徳銘商務部長、大物政治家である李長春氏、楊潔篪外相、そして最後に温家宝首相がトルコを訪れ、トップレベルでの接触を持った。トルコのダウトオール外相は中国から帰国したばかりで、報道を見る限りでは現地での接触はかなり順調にいったようである。
つまり、トルコと中国の関係は着実なペースで前進しており、現時点ではこのことを歓迎すべきである。ただしトルコの「対中国融和策(中国進出)」を、一部の人々が思っているように、「ヨーロッパの代わりに」と見ていては現実にそぐわないものとなる。なぜなら、現在ではほとんど全世界の国々に、それぞれの「中国融和策(進出)」があるからだ。
■トルコにとって選択ではなく不可避
言い方を変えれば、この進出は、トルコにとって選択の問題であるというより、避けることのできないことなのである。その理由はといえば、フォーブス誌が最新号の「世界で最も影響力のある人々」ランキングで、中国の胡錦涛国家主席を1位にしたことに見出さなければならない。中国は現在、政治、経済、軍事における大国であり、全世界の注目の的となっている。
中国もこれに対し「世界に門戸を開きつつある」といえる。なぜならこの国もまた、10億を超える人口の生活水準向上といったなすべき課題に直面しているのだ。このため胡国家主席も、200億ドル規模のプロジェクトを携え、今週フランスへ重要な訪問をしている。
一方で、温家宝首相が先日、経済分野における「戦略的協定」を結んだギリシャに続いてトルコを訪れたことも忘れてはならない。よってここには、トルコ側からの「選択的模索」というより、徐々に「双方向的」な、またかなりの割合で中国によって「追及されている」世界経済の現状と調和しようとする努力がある。
「よくわかった、しかしウイグルの人々の利益はどうなる?」と疑問にお思いの読者の方に対する答えだが、進展する中国との関係、そして来年のエルドアン首相の北京訪問において頂点に達するであろうこの二国間関係の“解決すべき課題”の中に、これを見出すべきである。
実際にダウトオール外相は、中国を訪ねた際にTRTトゥルクに発表したコメントで、新疆ウイグル自治区に暮らす人々の置かれている状況を「残念だ」と表現し、この件に対する見解を中国側と「明確な言葉で共有した」と話した。さらに中国当局もこの問題を「理解をもって受け止めた」と付け加えたという。しかし、ダウトオール外相が北京で習近平国家副主席と行った会談の後に中国外務省が行った発表からは、少し異なる印象を受ける。
新華社通信によると習副主席は、ダウトオール外相との会談で、「中国の統一を脅かす東トルキスタンの武装テロリストとの戦いにおいて、支援していただいたことに関しトルコに感謝した」という。ダウトオール外相も、「トルコは中国の主権と領土保全を脅かす動きに対し、必要な措置を取る」と確約したという。中国政府の見解では「ウイグル人の母」と呼ばれるラビア・カーディルさんでさえ「東トルキスタンのテロリスト」となることから、先のダウトオール外相のコメントはトルコにいるウイグル系の人々をどれだけ失望させたかは想像に難くない。
結局は2国とも、東トルキスタン問題がトルコ・中国関係に暗い影を落とすことを望まないとの意思を表明している。エルドアン首相が新疆での事件を受け、中国を「虐殺のようなもの」と責めたことも、ニハト・エルギュン工業・貿易大臣が「中国製品ボイコット」のためにとった行動も、TOBB(トルコ会議所・商工取引所連合)のルファト・ヒサルオール会長がこれを支持したことも、今や過去のものとなったのだ。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:川原田喜子 )
( 記事ID:20661 )