バルダクオール宗務庁長官、罷免
2010年11月11日付 Milliyet 紙

宗務庁長官として7年のあいだ任務を行っていたアリ・バルダクオール教授が罷免された。ファールク・チェリキ国務相は、「宗務庁の構造は大きく変わります。この決定はその計画の一環として行われました」と語った。

アリ・バルダクオール宗務庁長官が、7年のあいだ務めた長官職から罷免された。バルダクオール氏の後任者として、同庁の副長官を務めていたメフメト・ギョルメズ教授が就任した。今回の人事異動は、本日11日に行われる記者会見によって公に告知される。ここ最近の「スカーフ(トゥルバン)」や「犠牲獣(クルバン)」問題に関する言動によって注意を引いていたバルダクオール元長官は、最も記憶に新しいものでいうと、「アタテュルクが示したような宗務庁への関心を、(私たちに対し)だれも示さなかった」という発言を行っていた。

2003年5月28日に宗務庁長官に任命されたバルダクオール氏は、昨日10日をもって任務を終えた。バルダクオールの罷免に関する閣議の決定は昨日、稟議をへて成立した。本来であれば、新法に則って、同元長官の任期は2011年1月13日まで継続される予定であった。ミッリイェト紙の質問に答えたファルク・チェリキ国務大臣は、罷免の決定に関し以下のように語った。「宗務庁組織法は、まだトルコ大国民議会を通過したばかりで、新しく法律化されたものです。数年ぶりに宗務庁組織の構造に大きな変化が起こります。その関係で何件か新規の任命が行われます。この決定はその計画の一環として行われました。」

また、記者の「バルダクオール氏がここ最近の発言によって批判を集め、巷では、なたと対立していたという噂されていますが、それは本当のことなのでしょうか?」という質問に対し、チェリキ国務相は「いいえ、そのことと罷免は全く関係がありません。氏は、任期中、ひとつも誤ったことはしませんでした。私自身も、氏に対し無礼なことをした覚えはありません。私たちの仲が上手くいっていなかったという噂は本当ではありません、そもそもこの辞職は本人から申し出があったのです」と返答した。

■後任はギョルメズ副長官

チェリキ大臣は、バルダクオール元長官の代わりに、同じく宗務庁での任務に精通するギョルメズ副長官が長官に就くことを発表し、「ギョルメズ氏も宗教知識に関し、名の通った人物です。国内外での功績により、よく知られています」と話した。

ミッリイェト紙に対し会見を行ったバルダクオール元長官は、新法によれば、2011年1月13日に任期満了となる予定だったとし、しかしながら、どのような職務も恒久的なものではないと語った。元長官は、就任式後にイスタンブルへ落ち着き、再び大学で教鞭を取るという。

■バルダクオール元長官の問題発言

「スカーフは信仰の条件ではない」
バルダクオールは、マルマラ大学に副学部長として務めていた2003年5月28日に、宗務庁長官に指名されて以来、「イスラムにおける改革」論や数々の問題発言で人々の注目を集めていた。同氏はミリエット紙のアンカラ報道局長セルピル・チェヴィクジャンに対し、スカーフに関する騒動を引き起こす原因となった発言を行い、「女性が頭を覆うか否かは、一度たりとも、ムスリムであることの条件として捉えられてはいませんでした。それはただ、自身の敬虔さを示すひとつの選択と理解されていました」と述べていた。
 
アルコールの飲料に関し、「宗務庁に聞くことではない」
バルダクオールが11月5日にジュムフリイェト紙に行った最近のルポルタージュでは、スカーフ解禁をはじめとする法改正に関連し、以下のような発言を行っていた。「何らかの問題に関して、法改正が行われる際に、宗務庁の意見は?と問うことは、政教分離の理念に反することです。私たちの任務は、宗教に関する正しい知識を説くことにあります。例えば、アルコール飲料を飲むことは(宗教上の)罪です、それが運転中だろうが、山の中だろうが、同じです。しかし、アルコールをどのような状況で飲むと(法律上の)罪となるかは政治が決める事柄です。」

また、アタテュルクが宗務庁に託した意義についての、過激な言動も知られている。「私は今までに一度も政府のレセプションに参加したことがありません。それには以下のような理由があります。それは、今は亡きアタテュルクが共和国を建国する際、宗務庁に示した重視と敬意と同等の重視と敬意を、今日に至るまで一度も目にすることができなかったためです。ごてごて着飾った人たちの間を列になって自分が歩くことは、この組織や私の地位に対して不当であると考え、私はこの種の政府によるプロトコールに参加しないのです。」

レジェプ・アクダー保健相が、ハイリュンニサ・ギュル大統領夫人と握手をしなかったことにより火が着いた「握手」議論に関しては、「私は個人的に、手を差し出してきた女性と握手することが悪いことだとは思いません。握手を宗教上の禁止行為とする規定はどこにもありません」と話していた。

■ギョルメズ新長官はハディース学者

1959年生まれのメフメト・ギョルメズ氏は、アンカラ大学大学院神学部ハディース学科で修士号を修得した。1988年に1年間カイロ大学にて研究を行った。1994年、「スンナとハディース理解と解釈における方法論的問題」という題目の博士論文で博士課程を修了した。加えて、氏の博士論文は、1996年にトルコ宗教財団のイスラム研究賞第1位を獲得した。1998年に講師、1999年に准教授、2006年に教授となった。2003年8月13日、宗務庁副長官に任命された。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:20663 )