英国のガーディアン紙は、メッカ巡礼の経済的な側面に関する記事の中で、サウジアラビアに巡礼目的で訪れるムスリムの数が2025年には1700万人に増加するだろうと報じた。
同紙は、メッカ巡礼の経済的な側面を取り上げた記事の中で、約250万人のムスリムがメッカ巡礼に訪れており、メッカとメディナを訪れる観光客の総数は、2025年までに1200万から1700万人に増加することが予想されると報じた。ガーディアン紙は、「メッカの変容:メッカ巡礼はいかにしてサウジアラビアの大規模ビジネスになったのか」と題する記事の中で、メッカにある高さ485メートルの新時計台が、金の三日月とアラビア語のカリグラフィー装飾を除けばビッグ・ベンに極めて似ていると紹介し、「その時計台は、斬新なビジョンとサウジアラビアにおける宗教ツーリズム産業を象徴するもので、メッカの新たな時代の幕開けを告げている」と評した。
■30億ドルのプロジェクト
同記事によれば、時計台は高級ホテル、ショッピングモールや住居から成り、30億ドル(約2500億円)が投じられたアブラジュ・アル・バイト・プロジェクトの一部であり、建設地の面積は140万平方メートルである。15000戸の住居と70000平方メートルの商業スペースもある。
アブラジュ・アル・バイト・プロジェクトのマーケティング担当を務めているハディ・ヘラル氏はプロジェクトに関して、様々な国から訪れる巡礼者が様々な宿泊のスタイルを求めているとガーディアン紙に語った。その上で、「モロッコ、チュニジア、トルコ、イギリス、アルジェリアや南アフリカの方々は、快適で豪華なものを好まれます。このホテルをご利用して下さる方々は、どちらかといえば裕福な方でいらっしゃいます。パキスタンの方々は、高級ホテルは好まれません。ニーズに答えれば、それだけ支払ってもらえます」と語った。
同記事によれば、「わがまま」に応えてくれる度合いはホテルごとに異なるそうだ。24時間のバトラーサービス、270ドル(約22500円)のチョコレート・セレクションは、巡礼の質素さや犠牲、謙虚さといった精神とはそぐわないかもしれないが、一晩5880ドル(約49万円)のスイートルームに泊まったり、ジェラートを食べたり、あるいは巡礼の格好をしてピカピカの大理石製の格納庫のようなロビーを歩き回るような宿泊客は、それを矛盾であるとは感じていない。
■パンもしくはロブスター
同記事では、「巡礼に関する宗教的義務を実践している限りは、パンを食べるのかロブスターを食べるのかとか、ベッドで寝るのか床で寝るのかといったことは重要ではありません。お客様がホテルで滞在される際にどうやって過ごすべきかということは、私が申し上げることではございません」というマーケティング担当のヘラル氏の発言が載っていた。
■宗教ツーリズムは経済危機にも強い
同記事は、サウジの観光、とりわけ宗教ツーリズムは景気後退にも強いとし、「政府は今年(2010年)、観光で176億ドル(1兆4676億円)の収入を見込んでいると発表し、この額が2015年までに2倍になると予測している」と報じ、次のように続く。
「以下の点は、同国が観光産業や経済の多様化の可能性をいかに重大に受け止めているかを示している。
60億ドル(約5000億円)を投じて敷設された全長276マイル(約444キロメートル)の鉄道によって、2つの聖地の間の移動時間が縮まる。24億ドル(約2000万円)が投じられる改修によって、メディナ空港のキャパシティは年間300万人から1200万人に増大する。ジッダのキング・アブドゥルアジーズ国際空港のキャパシティも3000万人から2012年には8000万人に増大する。」
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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:20703 )