スイス訪問のギュル大統領、「モスクのミナレ(塔)を恐れることはない」
2010年11月25日付 Radikal 紙
アブドゥッラー・ギュル大統領は、スイスの国民投票でミナレの建設が禁止されたことに関し、「スイスでは誰しも好きなスタイルで礼拝をすることが出来るはずだ。礼拝所についてももっと自由があってもいいと思う。ミナレになにを恐れるというのか?」と述べた。
ギュル大統領とスイスのドリス・ロイトハルト大統領との共同記者会見が行われ、新聞記者らの質問に答えた。
ロイハルト大統領はスイスにて国民投票によってミナレの建設が禁止となったことを振り返り、「スイスでは多文化主義はどの程度、成功を収めているのか。また、これをどれくらい進めていくことができるのか」との質問に、スイスは多文化主義を受け入れる国家であり、国民の22%は外国人で構成されている、と述べた。
スイスが開かれた国家であると述べるロイハルト大統領は、開かれていることがスイスの抱える問題や対立を取り除いてくれるとは思っていないと語った。そして様々な文化や宗教に帰属する人々が共存するためには、統合のための努力が必要であると述べ、「これは我々が直面している終わりのないプロセスなのである。今後も開かれた国家でありたいと思っているし、それが可能であるとも信じている。しかしながら、全員が守らなければならないルールもあり、絶えずこのルールに沿うよう努めることも必要だ」と話した。
■「これは単なる建設禁止」
ミナレの建設禁止についても見解を述べたロイハルト大統領は、「ミナレの禁止とは単なるその部分の建設禁止であり、モスクへ行くことを止めている訳でも、宗教の信仰を妨害している訳でもない。これは国民投票であり、その結果は尊重されるべきである。このことは、我々が社会の基礎に置く多文化主義に対し開かれているということに、何ら変更をもたらすものでもなかった」と述べた。
ギュル大統領もスイスの新聞記者の、「私の記憶が正しければ、ギュル大統領は本件について『スイスという国の恥』と批判していたとおもいますが。今、本件について何かコメントはありますか?」という質問に、スイスは充分に自由主義が行きわたっている国だ、と述べた。
スイスでは多様なるエスニック集団、多文化、そして多言語がそれぞれ自立しながら共存していると話すギュル大統領は、スイスには4つの公用語があることが、自立している印であると述べた。同大統領は、「こうした観点から、私はこれを揺るがしたり、傷つけたりしないために、あの時点でこの問題に関し、前述のようにコメントをしたのです」と述べた。そして、スイスに存在するこうした多文化主義の豊かさ、あるいは自信はどこの国にもあることではないと強調した。
ロイハルト大統領が述べたように、宗教の自由さという点については何ら問題はおきていないと述べるギュル大統領は、「誰しも自分が望む形で礼拝をおこなうことができる。そうであるのだから礼拝所についても、もう少し自由があってもいいと思う。最終的に国民投票が行われ、そこで出された結論について議論がされている。この問題には恐れることなど本当に何もない。教会もあるし、モスクもある、シナゴーグもあるのだ、それだけだ。その宗教の信者がいれば、当然それらの宗教施設の建築スタイルは、街の景観に合うような形で形作られるものだ。ミナレには何ら恐れるものなどない」と述べた。
■このポスターが反発を生んだ
スイスで11月に行われた国民投票では、モスクにミナレ建設の是非が問われ、国民の57%がミナレの禁止に賛成した。
国民投票の宣伝活動のなかで、極右の民族主義者が用意した反イスラム的なポスターが反発を生んだ。反民族差別連邦委員会は、「ミナレ反対のキャンペーンのなかで作成されたこのポスターは、スイスで、平和に暮らしているムスリム少数派の人々への侮辱を意図し、社会に敵意と対立を生みだそうとしている」とし、非難していた。
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( 翻訳者:永井ひとみ )
( 記事ID:20787 )