中東の気候変動に関する基本的な事実
2010年11月15日付 al-Quds al-Arabi 紙

■中東の気候変動に関する基本的な事実

2010年11月15日付『クドゥス・アラビー』紙(イギリス)HP1面    
【本紙】 

 中東地域における温室効果ガスの割合は、世界全体の排出量の5%以下である。しかし、中東地域と北アフリカの温室効果ガスの放出は1990年から2004年までに88%増加しており、これは世界で3番目に大きい増加率であり、かつ世界の平均上昇値より3倍大きい数値である。

 一人当たりの温室効果ガスの放出量は、同地域内の国によって大きく異なり、石油および天然ガスを生産する国々ではその平均値は高い。国連の統計によれば、カタールは一人当たりの温室効果ガス排出平均値が世界最大である。カタールは2006年には、一人当たりの二酸化炭素排出量が56.2トンに達しているが、一方エジプトでは、一人当たりの排出量は2.25トンである。

 各種シミュレーションは、天候の温暖化・乾燥化が進み、天候の予測が困難になると示しており、それにより、2050年までに20-30%の間の割合で中東地域における流水量の減少が引き起こされると示している。

 アラブ世界には世界の人口の5%に相当する人口が存在するが、世界の再生可能な真水の総量のわずか1%しか存在しない。1970年には1億2,800万人だったアラブの人口は、今日3億5,900万人に増加しており、2050年までにはおよそ6億人に達するであろうと予測されている。

 早くとも2015年までに、アラブ人は1人あたり年平均で500立方メートル以下の水に依存することになるであろう。その平均値は、水が非常に稀少な状態であることを意味し、一人あたり6,000立方メートルを超える世界の平均値よりもかなり少ないものである。世界で最も水が不足している国19カ国の中には、13のアラブ諸国が含まれている。そして、実際に8つのアラブ諸国の住民は、一人当たり年間の水使用量が200立方メートル以下である。

 気候変動に関する国際会議(ICCC)は、今世紀中に地中海の海面が30cmから1m程度上昇すると予測している。海水面が1m上昇すると、アラブ地域の4万2,000平方キロメートルに影響が及ぶとされ、それはレバノンの面積の4倍以上に相当するものである。世界の様々な地域の人口の1.28%に影響が及ぶといわれている一方で、アラブ地域では人口の3.2%に影響が及ぶとされる。海面上昇に伴う危険に最も晒されている国は、エジプト、バハレーン、カタールである。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:20807 )