アルメニア人社会で、新総主教選出騒動―5000人署名
2010年12月01日付 Zaman 紙
病気のアルメニア総主教メスロプ・ムタフィヤンの後任者が選出されないことに反発を示した信徒達は、5千人の署名と共に総主教選挙権の返却を求めた。
自らを「総主教選出を望むイニシアチブ」と名乗る団体は、「私たちの目標はアルメニア人社会が、(自分たちにより)選出された宗教指導者を獲得するために、様々な障害物を取り除くことである」と述べた。
「総主教選出を求めるイニシアチブ団体」は、総主教メスロプ・ムタフィヤンⅡ世が病に臥したのち、政府に新しい総主教選出を申し出た。しかし、総主教は死亡するまで職務に就く規則で、ムタフィヤン総主教は生存しているためこの要求は拒否された。この代わりとして総主教代行が総主教府メンバーにより選出されうると返答された。これをめぐり信徒は二つに分裂した。
総主教選出を求める団体は、ジェザイルレストランで集まり、記者会見を行った。団体を代表してハルト・オゼル、ディクラン・アルトゥン、マルカル・エサヤン、タトゥヨス・ベベク、ガロ・パイランとニシャン・カラ各氏が声明を発表した。ハルト・オゼル氏は総主教選挙権がはく奪されていることを批判した。オゼル氏は、世界中でアルメニア教会だけが唯一、宗教的指導者(総主教)を世俗市民が投票で選ぶ教会であることをのべた。またオゼル氏は、大主教アラム・アテシュヤン氏が、政府の返答書の後、アルメニア総主教府によって総主教代行として選ばれたのは、信徒らの投票権を奪うことと同じであると強調した。アテシュヤン氏は、総主教メスロプ・ムタフィヤンⅡ世が亡くなるまで選出を行わないと述べたことを指摘したオゼル氏は、「アルメニア人社会が何百年も間所有してきた、総主教を自分達の意思で選ぶ権利が奪われた」と述べた。
記者会見で、タトゥヨス・ベベク氏は「総主教選出を求めるイニシアチブ」としてアルメニア人5359人の署名を集めたことを明らかにした。ベベク氏は、「私達の目標は自らの信徒共同体内の力で、この問題を乗り越えることであった。しかしながらこれは成功できなかった」と述べた。この理由としてアラム・アテシュヤン氏が自分達との話し合いを望まなかったからだとしている。タラフ新聞記者のマルカル・エサヤン氏も、現在の総主教代行を政府が選んだということを、そしてこうした状況が、明らかに権利と法の侵害にあたると述べた。
「総主教選出を求めるイニシアチブ」はレジェプ・タイイプ・エルドアン首相に嘆願書を送り、アルメニア社会の不満を表明した。イニシアチブが5359人から集めた署名運動の文章において、以下のような選出権利返還要請が述べられた:「アルメニア教会は異例の『総主教代行』という称号を作り出し、我々が持つ選挙権を奪った。民主的な世俗国家において、アルメニア社会が昔から有してきた最も重要な権利の一つである総主教選出に、干渉がなされた。私達の選挙権を奪うこの事態は認められない」
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( 翻訳者:小幡あい )
( 記事ID:20830 )