アンカラ大学で共和人民党(CHP)のバトゥム氏は、話をさせてもらうことができなかった。公正発展党(AKP)のクズ氏は、卵を次々と投げつけられた。ボディガードが傘を開き、クズ氏を守ったが、クズ氏は学生に対し、「残念だ。この国にとって残念なことだよ。投げつけた卵は食べればいいのに、そうすれば頭がよくなるさ、たぶん」と憤慨し、バトゥム氏は、これはファシズムであると述べた。
共和人民党事務局長兼スポークスマンでもあるスヘイル・バトゥム氏と、公正発展党に属していてトルコ大国民議会憲法委員会の委員長も務めているブルハン・クズ氏は、アンカラ大学政治学部で、「トルコにおける憲法問題」というシンポジウムに参加したが、学生の抗議を受けることになった。共和人民党のバトゥム氏は、一部学生による抗議の結果、話をさせてもらえず、ホールから出ていかざるをえなくなった。その一方で、その後同じホールに現れた公正発展党のクズ氏には次々と卵が投げつけられた。
政治学部で最初の講演者として、共和人民党のスヘイル・バトゥム氏が学生の前に現れた。司会はアンカラ大学教授のイルケル・エルトゥールル氏が担当した。このシンポジウムで講演を始めたスヘイル・バトゥム氏は、イスタンブルの学生に対して警察が暴力をふるったことを認めないと語ったため、抗議の標的になった。一部の学生は、「共和人民党も公正発展党のようなファシストの党だ。ここで公正発展党がしたことを説明して、私たちを騙すことは出来ない。共和人民党もファシストのような振る舞いをしている。あなた達にこのホールで、この大学で講演なんかさせない」と語った。その後、机から立ち上がって、演壇で話し始めたバトゥム氏は、学生に「今君たちがやっている行為は対象が私であれブルハン・クズ氏であれ、ファシズムと言う。もし、この場に首相やエゲメン・バウシュ氏がいらっしゃったら、君たちはとっくに制裁を受けていただろうに。500人中20,30人の勝手なファシスト行為によって、ほかのみんなの話をきく権利を奪うなどあってはならない」と憤慨した。
学生たちが、「お前は警察や機動隊を連れて来た」と抗議を続けると、バトゥム氏はホールにいる学生たちに、「あなた達が言うことに対して、リアクションをするつもりはない。私の話を聞きなさい、その間に抗議を続けたらいい。しかし、私は警察とも機動隊とも来てはいない」と答えた。バトゥム氏は抗議する学生に、「君達は、ここで話したい者、シンポジウムを聞きたい者全ての人の権利を妨害している」と話そうとしたが、その言葉は学生によってしばしば掻き消された。
■公正発展党の要人がいれば、とっくに制裁を受けていただろう
バトゥム氏は、「幸福を絵にしろといったら描けますか?おそらくできないでしょう。しかし、君たちはファシズムの絵となれば描けるのです。つまり、ここにいる10人の少数派がファシズム的行為を行っているのです」と言って学生を批判し、以下のように述べた。
「君達が言ったことは正しい。学生に対しなされた振る舞いについては私も反対だ。私たちの人生において、一度も学生を殴らせはしなかった。30年の実績もある。しかし、こうしたことを私に対しても行い、ブルハン・クズ氏にも行なえば、これはファシズムである。もし、ここで首相やエゲメン・バウシュ氏が講演していたのなら、とっくに叩きのめされていただろう。メディアの90%もブラボーと言ったはずだ。私たちは民主主義者だ。バフチェシェヒル大学、ボアジチ大学、イスタンブル工科大学で学生に話をする権利を与えない者たちと私たちを、同じ天秤の皿に置くことは出来ないはずだ、良心を期待する」
トルコ大国民議会を訪れた被害学生に、共和人民党が法的援助を申し出たことにも言及したバトゥム氏に、学生は「嘘をついている」と抗議した。バトゥム氏は学生を「嘘だと?嘘だとどうして言うのか」という言葉で返答し、自分の話を聞いてくれた人、また聞くことを望まなかった人全員に感謝の言葉を述べ、ホールでの講演を断念した。
司会のエルトゥールル氏とホールにいた共和人民党の党員たちとたくさんの学生も、騒いでいた学生に抗議した。
■クズ氏に卵の雨
バトゥム氏に続いて、20分後に憲法委員会委員長ブルハン・クズ氏がホールに現れた。
クズ氏はホールに来ると、「ようこそ、卵祭りに」というプラカードを掲げる学生らが、「大学は私たちのものだ」というスローガンを叫び卵を投げつけてクズ氏を迎えた。学生がクズ氏に卵を投げようとしたが、サロンにいるボディガードが傘を開き、これを防ごうとした。学生の抗議が終わるのを、長い間演壇で待っていたクズ氏は、「手をたたいて」学生らに抗議した。クズ氏は「この大学の学長、学部長、学科長は辞職すべきだ」と抗議を続けた。クズ氏は、学生が抗議を続け、卵投げを続行したため、警察が非常線を張った中、それに守られながらでホールから外に避難させられた。
キャンパスを後に、車に乗ろうとしているときに、新聞記者の問いに答えたクズ氏は、「残念だ。この国にとって残念なことだよ。あの卵を食べたらいいのに、そうすれば頭がよくなるだろうに」と述べ、憤慨した。
■クルチダルオール党首:卵投げは不愉快
共和人民党のケマル・クルチダルオール党首は、アンカラ大学政治学部で学生の卵を投げつけられたブルハン・クズ氏のために、「卵が投げるということは、実際、紳士的ではない。しかし学生は民主主義的な方法で抗議することはできる。そうしたなら敬意を表して抗議をうけとめるべきだ。どんな暴力もあってはならない、そうでしょう?でなければ解決はない」と述べた。
クルチダルオール党首は、ブルハン・クズ氏が学長と学校関係者の辞職を求めていることについても、「それならば、ブルハン・クズ氏も“学生として”どうだったか議論する」という言葉で締めくくった。(後略)
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:智原幸穂 )
( 記事ID:20899 )