ムーラ県ボドルム市で亡くなったカナダ人元外交官ハンス・ヒンメルバッハさんの埋葬から1週間後、近隣の墓の所有者らが「(ハンスさんが)キリスト教徒だ」という苦情を申し立てたため、墓を別の場所へと移した。このことが大きな反響を招いた。ボドルム市のトルバに住む元外交官の妻、イルクヌール・ヒンメルバッハさんに対し、今日(10日)エルトゥールル・ギュナイ文化観光相を含めた多くの人々からお悔やみの電話がかけられた。大勢の人が訪れて哀悼の意を述べ、ハンス・ヒンメルバッハさんの墓に花を手向けた。
この反響について、民主党でボドルム市長のメフメト・コジャドン氏は説明を行い、「外国人の市民がキリスト教徒であったことにより周囲に与えた不快感など問題になってはいない。(ヒンメルバッハさんが墓を移動させた人の)家族の墓の近くに埋葬されたことが問題となったのだ。私たちは埋葬された外国人の奥さんには事情を説明し、承諾を得た。私たちはトラブルがあったとは認識していない」と述べた。そして状況が誇張されていると主張し、「この報道はボドルムに対するいやがらせだと思う」と語った。
■外交官夫人、語る
メフメト・コジャドン市長のこの説明は“墓移転はでっちあげ”としているように感じられたので、事件の当事者双方から話を聞いた。それによると、イルクヌール・ヒンメルバッハさんは、10月23日にトルバの墓地で神父とイマームが立ち会った葬儀を行い、夫のハンス・ヒンメルバッハさんを埋葬したと述べ、その1週間後に、まだ埋葬されていない他の場所へ埋葬地を移すよう求められてショックを受けたと語った。夫と30年の海外生活を経て、トルバに移り住んだが、夫はトルコ語をとてもよく理解していたと話すイルクヌール・ヒンメルバッハさんは、初めは(移転に)抵抗したが、最終的には墓が移されてしまったと述べた。そして次のように語った:
「この出来事に対して強いショックを受けた。なぜならボドルムは世界の最も近代的都市の1つだと認識していたからだ。でも、(夫が)亡くなった時、市に申請したところ、私たちが希望した場所に埋葬できるといわれた。葬儀の最初に、イズミルから来た神父と共にイマームがお祈りをした。両国の慣習にならって埋葬した。ボドルムにおいてもトルコにおいても、こんなことが起こるなんて、たとえ30年前に同じことをいわれたとしても、信じられなかったでしょう。これは時代遅れの考えと対応であると信じている。」
■埋葬地を移させた側は何と言っている?
もう一方の当事者である、ビジネスマンのケナン・ダユオールさんは、母と甥の墓のすぐ近くにハンス・ヒンメルバッハさんが埋葬されたため、他の場所にヒンメルバッハさんの墓を移させたが、そのことに対する思わぬ反響に胸を痛めていると述べた。ダユオールさんは、「外交官のご家族には本当に申し訳ない。彼らを悲しませたくはなかった。しかし墓地が移された時、市長からも宗務庁からも許可を得ていた。すべての人の信仰や宗教を私たちは尊重している。彼らにも我々の信仰への敬意を示して欲しい。私たちは狂信的な一族ではない」と述べた。
ケナン・ダユオールさんとしては、今日まで外国人墓地が作られなかったためにこの問題が生じたとの見解を述べ、「市長はトルバの墓地の、身元不明者や、海で溺れた者が埋葬される場所に(ハンスさんを)埋葬するよう指示を与えたと聞いている。しかし、彼らは私の母が埋葬されている場所の側に(ハンスさんの)遺体を運んできて埋葬してしまった。私は十字架のもとでお祈りをしたくはない。」
■ギュナイ大臣が電話をかけた
エルトゥールル・ギュナイ文化観光相は、夜にイルクヌール・ヒンメルバッハさんに電話をかけ、彼女の夫の墓が移転されてしまったことについて尋ね、お悔やみを述べた。トルバにある自宅でドアン通信社(DHA)の記者らに対し、イルクヌール・ヒンメルバッハさんは次のように語った:
「夫とのとても幸せな日々の中で、彼を失った悲しみにくれているとき、娘と私が望んだ以外の場所に墓が移転されたというショックからいまだに立ち直ることができない。私は市長や副市長らに、墓の場所を移しかえないように話した。夜、ギュナイ大臣は電話で、今回の出来事を残念に思っており、全ての宗教と文化は兄弟であると考えていると述べて深く深く謝罪してくれた。
このようなことが起こって悲しく思っていると述べていた。そしてギュナイ大臣はこの問題について、今後コジャドン市長と話し合うことにすると付け足した。トルコの様々な場所から共感や慰めの電話をもらった。この出来事がここまで大きく騒がれ、重要視されることは予想だにしていなかったが、受け取った電話や反応はとても励ましになった。誰かが誰かを守るという名目でなされた過ちは、私たちや、私たちが深く愛するトルコを精神的に傷つけた。夫に対してなされたことが重要な教訓になることを望んでいる。」
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( 翻訳者:猪股玲香 )
( 記事ID:20927 )