Fikret Bila コラム:予算審議で試される各政党党首たち
2010年12月14日付 Milliyet 紙

指導者たちにとって、予算審議はある種の試験である。特に、首相と野党第一党党首のパフォーマンスには大きな注目が集まる。これまで指導者たちが何時間も続けてきた予算演説は、ある種与党と野党の直接対決の形をとってきた。
昨日(13日)行われた2011年予算審議も、指導者らのパフォーマンスの観点から重要であった。指導者らの演説は1時間に限られていたものの、やはり与党と野党の対決という様相を呈した。
党首となって初めて予算演説を行うことから、共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール新党首に注目が集まった。クルチダルオール党首が議場の演壇で重大な汚職文書を発表する予定であることが一昨日(12日)わかったことで、関心はさらに高まった。

■クルチダルオール党首のパフォーマンス

クルチダルオール党首は、昨日の演説で実務家としての側面をより発揮させた。世俗主義、スカーフ、国民統合といった共和国の原則に関する問題に踏み込む代わりに、経済、収入の不平等、社会問題に重点を置いた演説を行った。クルチダルオール党首はいつもの穏やかな口調で演説を行い、気取った発言も、攻撃的な発言もしなかった。スローガンの代わりに数字を用いて比較を行った。経済問題、就業者の収入、成長分析、税負担問題に詳しいところを示した。主要な指標を見る限り、トルコの世界での地位は、与党が主張しているほど良好ではないことの証明を試みた。
クルチダルオール党首は、証拠に基づいて与党に切り込むという手法で知られるようになった。事件の裏をとるという手法で、与党の一部の役職者を辞任に追んだこともある。CHP党首への選出において、こうした成功が大きな役割を果たしたこともまた事実である。
クルチダルオール党首は昨日も、かかる手法を用いた。議場の演壇で大規模な汚職の手がかりとして、カイセリ広域市長を含む事件を取り上げた。クルチダルオール党首は、ハジュ・アリ・ハムルジュという人物に関する賄賂についてのファイルを取り上げた上で、このファイルの内容はカイセリ広域市のメフメト・オズハセキ市長にまで及んでいるが、その部分はファイルから削除されており、そのファイルは内務省のオスマン・ギュネシュ事務次官によって隠蔽されたと主張した。オスマン・ギュネシュ事務次官がカイセリ県知事時代に署名した文書を、しばらく前に任命された内務省事務次官に就任した後、今度は事務次官として処理し、事件を隠蔽したと主張した。
クルチダルオール党首の予算演説での最も有効な武器は、この主張であったと思われる。クルチダルオール党首はこのファイルに基づいてエルドアン首相に質問を投げかけた。

■エルドアン首相の答弁

タイイプ・エルドアン首相は、演壇での強さと巧みな話術を昨日も見せつけた。クルチダルオール党首が示した数値に一つ一つ言及するのではなく、トルコが最近到達した生産能力や技術能力を強調し、国産の軍事製品の例を挙げた。いつものように道路や大学への投資について取り上げた。
エルドアン首相は、クルチダルオール党首のカイセリ広域市長に関する汚職の指摘に対しても答えた。カイセリ広域市長から受けた報告を演壇で読み上げた。ハジュ・アリ・ハムルジュは、オズハセキ広域市長の訴えにより検察が捜査に乗り出し、6年間の刑を受け、現在も刑務所にいると述べ、クルチダルオール党首のカイセリ・ファイルは何の意味もないと強調した。首相の答弁を受け、クルチダルオール党首もファイルの別の部分を発表するものと予想される。クルチダルオール党首の主張は、広域市長が(与党によって)守られているというものであった。

■バフチェリMHP党首が強調したこと

民族主義者行動党(MHP)のデヴレト・バフチェリ党首は、いつものように穏やかな口調で演壇に立っていた。バフチェリ党首は、経済的、財政的アプローチよりもむしろ政治に重点をおいた演説を行った。
バフチェリ党首は「分離主義勢力は甘やかされる一方で、トルコ国軍は締め付けられ、クーデターの首謀者にされようとしている」と述べた。
バフチェリ党首はさらに、名前は出さなかったがアフメト・ダヴトオール外務大臣の「オスマン諸国家共同体」発言を批判した。トルコは1923年10月29日にオスマンとは決別(共和国を宣言)したと強調した。ダヴトオール外相の説に暗に触れ、トルコは大冒険に乗り出してはいけないし、オスマンを復興させようとして外国人に騙されてはならないとのメッセージを発した。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:20966 )