「民主自治制」か「自治クルディスタン」か
2010年12月23日付 Milliyet 紙


平和民主党(BDP)と民主市民会議(DTK)は新憲法の草案の準備を開始した。平和民主党は「民主自治制」という概念を導入する一方、民主市民会議は「自治クルディスタン」を強調している。

ディヤルバクルで行われた民主市民会議(DTK)のワークショップでは、「自治クルディスタン」、独自の旗、シンボル、そして自衛力を強調する話し合いが続く一方、平和民主党も民主市民会議も総選挙の後に発表するため新憲法の草案の準備を始めた。平和民主党の憲法草案は、トルコという国家の枠組みの中での「民主自治制」を強調する一方、民主市民会議の草案では「民主自治クルディスタン」が強調されている。平和民主党ハッキャーリ選出の国会議員ハミット ・ゲイラニ氏は、まだ準備段階である憲法の草案で、トルコ人であることの定義を再検討し、現憲法で変更不可とされる3つの条項の変更を提案すると述べた。

■民主市民会議はクルド人の代表か?

800もの組織や協会が参加し、民主市民会議主導のもとディヤルバクルで始まったワークショップでは、クルド問題解決に向けた提言がだされ、それらが新憲法草案の条文にもりこまれている。委員会は、「民主自治クルディスタン」の枠組み実現への努力を続けている。一方平和民主党は、民主市民会議の草案を注視しながら、トルコ全体が関心を寄せる憲法問題において、より包括的な努力を続けている。平和民主党の権利委員会にはトルコの有名な法学者や憲法専門家が参加しているが、その委員会によって続けられている憲法草案作成において、現憲法の中で変更不可となっている条項と民主的自治権の問題も扱われている。平和民主党が検討を続けている憲法草案では、トルコがいくつかの自治州に分けられ、それぞれの州が自身の議会とシンボルを有することが予定されている。

■トルコ人であることの定義が問われている

平和民主党・権利委員会のメンバーであるゲイラニ議員は、準備している草案で、憲法における「トルコ人であること」の定義を検討し、改正されるべき条項を並べ、憲法があらゆる人々の心に訴えかけることができるよう、憲法序文の変更を要求していると語った。ゲイラニ議員は、以下のように述べた。

「憲法ではまず序文の原則(精神)を変更する必要がある。我々が譲れないのはこの点である。序文の原則を変えないで全ての条項を変更するなら、序文の原則に抵触してしまうものもでてくる。憲法の第三条には『全ての条項は序文の原則に従うべき』とある。これは一つの民族、一つの集団の利益を前面に出した、トルコ人であることをあらゆる事柄の中心に据えようとするロジックである。憲法は特定の民族のものでも、特定の個人や集団の利益のためにあるものではなく、法的基準の上に築かれるものである。第42条には、母語(クルド語)での教育が禁止されている。母語での教育が禁止されているということは、その国に存在する異なる帰属や異なる母語を存在しないものとみなすことである。特定の言語は存在しないとみなした瞬間から、その言語を話す人々の生存もなきものとみなすことになるのだ。第66条には、『この国で暮らす人は皆トルコ人である』とされている。しかし実際は別の帰属も存在する。これに類する、さまざまな変更が必要になってくるだろう。」

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( 翻訳者:有田 潤 )
( 記事ID:21037 )