非教育学部学生の教職への道を閉ざす決定に、学生「目玉焼き」で抗議
2010年12月28日付 Radikal 紙


学生たちは、文学部、理学部及び神学部での教職科目群履修(=フォーメーション、注1)の差し止めに対し、目玉焼きを食べながら抗議活動を行った。

イスタンブル大学の文学部、理学部及び神学部の学生らは、教職員組合がおこした「文学部、理学部及び神学部の学部生に対する教職教育実施の停止および廃止」の訴えを承認した行政裁判所に対し、卵を用いた抗議活動を行った。

イスタンブル大学文理学部キャンパスの前に集合した学生らは、プラカードを掲げ、教職になるのを邪魔しているとして、教職員組合と行政裁判所を批判するスローガンを叫び、ベヤズット広場まで行進した。

「卵をどうしても投げないとだめなのか?」とのプラカードを掲げた学生らは、持参した野外用ガスボンベの上でフライパンを載せて目玉焼きをつくった。目玉焼きを食べた学生らは、トルコ大国民議会憲法委員会のブルハン・クズ委員長の発言(注2)を持ち出し、「見てください、私たちは卵を投げないで食べました。いまや我々の頭脳は明晰です。私たちから奪ったフォーメーションの権利を返して下さい」と語った。

イスタンブル大学の文学部歴史学科のディレン・チャクルジュ君は、フォーメーションの権利を奪われた学生たちを代表して共同記者会見を行い、「(フォーメーションは)一定の条件を満たした学生だけが受講する教職課程です。それの権利が、行政裁判所によるたった一つの決定で奪われるということは、明らかに法およびエクイティー(衡平法)の原則に違反するものです」と述べた。

チャクルジュ君は、文学部、理学部及び神学部の学生らは自身に与えられた権利に基づき教職関連の授業を受講していると話し、行政裁判所の決定は平等原則を危うくするものであると懸念しており、この決定は多くの学生たちの既得権利を侵害したと述べた。チャクルジュ君は、自分たちの活動は、純粋に権利を取り戻すためだけに実施されたものだと述べ、学生らの要求を次のように整理した。

「高等教育機構(YÖK)が本来の責任を遂行し、可能な限りの努力をすること、行政裁判所、及び教職員組合は学生らによる権利要求を無視しないこと、さらに政府当局も今回の問題に乗り出し、多くの学生たちを救済すること。」

学生の抗議活動を支持するイスタンブル大学文理学部哲学科のジェンギズ・チャクマック教授は、学生の教職への権利が奪われていると話した。

チャクマック教授は、信仰を理由に自由が制限されることには反対であると述べ(注3)、「理解する限り、いくつかの意見をみてみると、学生たちが教育を受ける権利を、その信仰ゆえに制限しようとしています。もちろん教育学部の学生たちの教育を受ける権利はどのような理由であれ奪われてはいけません。また、教職に就くためのフォーメーションは有料であってはなりません」と述べた。

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訳者注1:これまで非教育学部系の学部生が教員資格をとるには、教育学部の教職関連授業を学部を越えて履修していたが、近年、これが禁止された。これをうけ、非教育学部系の各学部は、フォーメーションと呼ばれる教職科目コースを開講し、学生の教員資格を保証しようとしていたが、本記事にあるように教職員組合などがこれに反対している。

訳者注2:2010年12月7日にアンカラ大学政治学部で実施された「憲法シンポ」で、演壇でスピーチ予定だったブルハン・クズ憲法委員会委員長に学生らが卵を投げた事件後、新聞記者の問いに答えたクズ委員長は、「(学生が投げた)あの卵を食べたらいいのに、そうすれば(学生の)頭がよくなるだろうに」と述べた。

訳者注3:教職員組合の反対が、非教育学部系の学部のうち、とくに神学部で学ぶイスラム色の強い学生の教職資格獲得に向けられたものであることを指している。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:21076 )