宝くじ高額当選者の今-「幸運」が必ずしも「幸せ」を運ぶわけではない
2010年12月30日付 Zaman 紙


宝くじで高額を当て、幸運であるはずの人々の顔に笑顔はない。数年前に億万長者となった宝くじ当選者には今では靴磨きをする人、食料雑貨屋を営む人、中には苦しい年金生活を送っている人もいる。

 国立宝くじ運営局が発表した新年最初の当選金額3,500万リラ(約19億円)は、手っ取り早く金持ちになりたい人たちの夢を駆り立てている。すでに数日前に宝くじが完売したのもこうしたことの表れである。しかし現実には必ずしもお金が幸せを運ぶ訳ではない。数年前に高額を当てた当選者らの中には、今では靴磨きをしている人もいれば、厳しい年金生活を送っている人もいる。幸運の鳥が幸せをもたらさなかった高額当選者らは、宝くじを購入する人たちに呼びかけている、「希望を宝くじに託さないように」と。

 デニズリ県チェヴリル郡の刑務所から出所した後に、ナンバー・ロトで34万5千リラ(約1900万円)をあてたオスマン・カプランさんは、幸運の鳥が幸せを運ばなかった一人。大工仕事をしていたが仕事が上手く行かなくなった結果、まず妻と離婚し、その後仕事場が差押えとなったカプランさんは、自らが振り出した小切手を期日通りに決済できず600億リラ(訳注:2005年に行われたデノミ以前の通貨単位と思われる。ちなみにこのとき100万トルコリラが1新リラとなった)の小切手に対し65年の禁固刑が科された。機械を売って差し押さえを解除して刑務所から出所したカプランさんは、出所の二日後に購入した宝くじで34万5千リラを当てた。多くの友人に家を買ってあげたり、その子供たちのために割礼式や結婚式を開いてあげたカプランさんは、彼の言葉によると、夢のような日々を過ごしていたと述べる。しかしながら、他の宝くじ当選者のように享楽に溺れていったカプランさんは全財産を失ったそうだ。今では、年金と賃貸収入とでやり繰りしている。
サムスンで17年前に宝くじで高額を当てたスレイマン・オルハンさん(52)は、宝くじの賞金だけでなく、仕事で稼いできたお金をも失ってしまったという。宝くじで高額を引き当ててからというもの、不運が訪れ始めたと話すオルハンさんは、賞金を貿易関係の仕事に投資したが、手を出した全ての仕事で失敗をしたと話す。当選金は戒律上合法ではないと考えるオルハンさんは、「賞金から5クルシュも得られなかった人々の望みや興奮を全て奪い取った形となった。だから賞金が当たっても何もいいことはなかったのだと思う」と話す。現在は食堂を営み、宝くじはもう買わないと強く主張するオルハンさんは、年明けに宝くじを買う人に、「全ての希望を宝くじに託さないように」と助言した。

 オルドゥで2003年にナンバー・ロトで8440億リラ(訳注:2005年のデノミ以前の通貨単位。ちなみに2003年時点で1ドル=141万リラ)を当てたペルシェンベリの喫茶店員、ハイリ・カヤさんは賞金を使い果たすと、再度喫茶店で働き始めた。カヤさんは2003年に6桁の番号を当て、高額賞金を当てたが、賞金は自分に幸運をもたらさずに、むしろ不運をもたらしたと言う。「7年前に億万長者だった私は、今では小銭を地道に貯めている」と話すカヤさんは、「こうなった今、私は運試しをする人たち、高額を当てた人たちに言いたい。私を反面教師に良いお金の使い方をして欲しい。さもなければ私のような運命が待っています」と話す。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:永井ひとみ )
( 記事ID:21094 )