Hilmi Yavuz コラム:宗務財団女性研究センター所長アイシェ・スジュの解任について
2011年01月02日付 Zaman 紙

トルコ宗務財団女性研究センターのアイシェ・スジュ所長の解任の余波が続いている。エコノミスト誌はこの処遇が「イスラムの宗教裁判の結果」であるかどうかを検証までしている。

真面目な雑誌「エコノミスト」。しかし我々は真面目な雑誌からは本当に真面目な論評を期待していた。エコノミスト誌は「宗教裁判」が何であるかを知らないのか、事を意図的に反イスラム的に、そしてもちろんオリエンタリズム的に捻じ曲げて取り上げているのだ。

アイシェ・スジュ所長の解任を私は決して認めていない。彼女とそのチームの、まず女性支部として、その後女性研究センターとしての活動を身近な所から知っているからだ。私はアイシェ・スジュ所長の希望で、女性支部センターで何年間も文学について講演を行ってきた。サイム・イェプレム教授やシャーバン・アリ・デュズギュン教授といった非常に権威ある神学の教授たちと、たくさんの聴衆の前で、啓示、理知、運命といったイスラム哲学の基本概念について議論を行った。2009年にはアンカラのコジャテペにある宗務庁の会議場で、私の親愛なる友人であるエトヘム・ルヒー・フーラル教授、ケナン・ギュルソイ教授、アフメト・イナム教授も参加した、「私たちはどこで間違ったのか」という題のパネルディスカッションへ講演者として参加した。つまり私は、アイシェ・スジュ所長が開いたこれらの会議が、イスラムが知的問題として認識されることへ大きな貢献を果たしたということを間近で目撃しているのだ。

スジュ所長の解任には、彼女のスカーフの着用の仕方が影響したと言われる。スジュ所長は、イスラム法学用語で言うならば、スカーフの着用が「ヴァジブ(義務)」ではなく、「メンドゥブ(義務ではないが、推奨される事)」であるという考え方なのだ。「ヴァジブ」は善行、行わなければ罪である行為であり、「メンドゥブ」は行えば善行であるが、行わなくとも罪とはならない行為である。スジュ所長は、コーランに記されたこれと関係する文言をこのように解釈し、頭を「ブット風」と言われる方法で覆っているのだ(訳者注:パキスタンのブット元首相風のモダンなスカーフの被り方)。スジュ所長が「テセッテュル(顔や体を隠し、男性との接触を避ける行為)」についての見解をはっきりと口にしていた事も私たちは知っている。あるインターネットサイトに彼女がずっと書いていた連載の中の、「物事をなんでも一つの型に嵌めようとする事は創造主の法に反する」という言葉で始まる文章の最後でスジュ所長は次のように言っている。「私たちは自分たちとは違うと思う人たちを他者と捉える・・・ある時は服装の違いでさえ、お互いに対して壁を作る原因になり得る。」しかしおそらくスカーフ着用の仕方は、スジュ所長解任の決定的な原因にはならなかったように思われる。宗務財団女性研究センターの所長にスジュ前所長の代わりに就任したハフサ・フィダン・ヴィディンリ氏はスカーフをかぶっていないのだから・・・

スジュ所長がイスラムに対し、言い方が適切ならば、「リベラル」な解釈をしていた事はずっと知られていた。14年間この職を続けたスジュ所長がこの姿勢で女性研究センターの会員数を1万2千人代に増やしたことも!これをある種の「ミュエッレフェト・クルーブ」、つまりムハンマドの時代の「イスラムに関心を持たせる」という使命の続きとして理解することも可能である、と私は考えている。議論と意見の違いは、イスラムに関心を持って初めて問題になり得るのだから・・・

宗務庁はスジュ所長の解任を「行政上の処分」だと説明した。宗務庁の新しい長官、メフメト・ギョルメズ教授が彼自身のチームと働きたいと思っている事を私は理解する。とはいえ、2日前にハベル・テュルク紙に載ったある記事には、ギョルメズ教授が共和人民党のクルチダルオール党首に対し、「我々は、今回の解任に関しては何も関与していない。前長官のしたことだ」と説明したとされる。しかし解任が新しい幹部によってであれ古い幹部によってであれ、スジュ所長のイスラムと女性の関係といった非常にデリケートな問題における専門性と経験の全てを切り捨ててしまうような事があってはならない。

私は、ギョルメズ教授がスンナとハディースの理解と解釈の分野において非常に大きな貢献をした人物であることを知っており、彼がこの点を考慮に入れると確信している。

追伸 親愛なる読者の皆様の新年を祝福し、ユヌス・エムレの言ったように「健康に、平安に」過ごされる事を願っています。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:21106 )