「トルコの中東での存在感」―レバノン問題でニューヨークタイムズ紙論評
2011年01月19日付 Zaman 紙
The New York Times紙に掲載された論説で、レバノンでの政治危機を解決の模索が、中東の力関係を変え、トルコの発言力を徐々に高めていると論じられた。
アンソニー・シャディド氏が書いた「レバノンが示す権力者の変遷」という論説では、レバノンで近年では最大規模の危機が起きており、この危機の解決においてはサウジアラビアもアメリカも無力であると書かれている。
同論説で、中東で長年力を持っていたサウジアラビアとエジプトの影響力が低下していると述べ、「トルコやイラン、カタールのような国が力を付け始めているが、その一方でアメリカはチュニジアやイラクの例からも分かるように、レバノン危機においても解決策がないまま傍観している」と論じた。
シャディド氏は、「アラブ世界で、アラブ-イスラエル問題からレバノン問題に至るまでの一連の騒動の中で、トルコは最も積極的に行動し、発言している国であり、独自の外交を展開している」と述べた。また、この政治的成功が「敵を孤立させ、排除しようとする努力の上に成り立ったアメリカの長期に亘る中東政策に対する、潜在的な批判である」とした。
シャディド氏は、ベイルートの主要なコラムニストの一人であるサルキス・ナオウム氏の「トルコは、反証されるまでは地域再生において不可欠な国である」という言葉を載せ、以下のように語っている。:
「トルコや他国が、『勝利もなければ敗北もない』という方程式に則った非常に複雑な政情の中で、レバノン危機に対して行った介入は、現在まで象徴的な局面に留まっている。しかし、トルコが実質的にはほとんど無関心であった以前の危機に比べ、同国が地域において力を持ち、興隆していることがこの新たな状況から読み取れる。」
シャディド氏の論説で、レジェプ・タイプ・エルドアン首相が月曜日(17日)にカタールとシリアの指導者と会談を行うためにシリアへと旅立つのに先立ち、「我々の地域は、レバノンが新たな不透明な状況を迎えることで立ち行かなくなる。この危機を乗り越えるために、我々は何が出来るか、そして他国は何を行わなければならないのか協議する」と語ったことも書かれている。
ダマスカスでのサミットにつづいて、トルコとカタールの外務大臣が火曜日(18日)ベイルートを訪問したことに言及したシャディド氏は、彼らが問題の全般について話し合ったとした。同氏は、「訪問自体は、数名の関係者が認めているように『首尾一貫していないサウジアラビア政治と焦点の合わないアメリカ政治』によって出来た隙間を埋めるような、より密接な地域による努力の現れに見える」と書いた。
シャディド氏は、ハリリ氏の外交顧問の一人であるムハンメド・チェッタ氏の「レバノンでのアメリカの役割を、積極的試みとは言えない。主役だとも言えない。地域の俳優の方がより活躍しているように見える」という言葉によせて、「対立へのトルコの介入がアメリカの要望のために地域で常に対立していた主導者たちの許可を受けて行われていること、2008年5月にトルコの仲介によってシリアとイスラエル間で間接的な話し合いが行われるとの発表はアメリカの外交官を驚かせたこと」を記している。
■アンソニー・シャディド氏は論説で以下のように述べた。:
「アフメト・ダヴトオール外務大臣は、火曜日(18日)にレバノンを訪れ、珍しい状況を味わった。両者ともトルコの存在に満足しており、ハリリ氏の外交顧問チェッタ氏は、トルコが『地域の他国と比較すれば最高のポジションにいる』と語った。」
ネビフ・ベッリ議長の協力者であるアリ・ハムダン氏も、トルコが『支援者』であると語ったことに言及するシャディド氏は、ハムダン氏の『彼らがもっている国際関係は、あらゆる問題の解決の際の駆け引きで有効なものとなる』という言葉を載せた。
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( 翻訳者:智原幸穂 )
( 記事ID:21214 )