で、今後どうなる?―行政裁判所の大学入試スカーフ不許可決定の波紋
2011年01月21日付 Milliyet 紙
行政裁判所が、スカーフ着用を許可した大学入試センター(ÖSYM)実施要綱の実施を止めたことは、次の4つの結果を生み出すこととなるだろう。1)対象が世俗主義であれば、各団体が訴訟を起こすことができる。2)スカーフ禁止が全ての試験に普及する。3)大学でスカーフ禁止が始まる。4)個人の申請でスカーフ禁止が完全に解禁となる。
行政裁判所第8法廷は、スカーフ着用での大学院入学試験(ALES)受験を認めるÖSYM実施要綱の実施を停止するという決定を下した。この決定は、今後スカーフに関して起こり得るだろう論争と進展をも示唆している。行政裁判所第8法廷が下した決定は、公の場でのスカーフ着用は改正法にも世俗主義の原則にも反するとした憲法裁判所の判決を根拠にしており、今回のこの決定は次のような結果をもたらすだろう。
■対象が世俗主義なら裁判を起こすことができる
これを決定した裁判は、試験を受ける受験者の内の1人が起こしたのではなく、教育労働組合が起こしたものである。高等教育機構(YÖK)とÖSYMは、教育労働組合の行動を支持しないとして裁判の棄却を求めた。判決では、この(スカーフ)問題について、「公共の利益についての裁判においては、利益や権利の侵害は、必要な条件ではない。憲法裁判所も、個人的権利を侵害された者だけに訴訟を許可する規定は、権利を求める自由を制限していると判断している。憲法に定められた共和国の性質と基本的人権が侵害されているかどうか、裁判の判決が適用されない、または無効にされるなど、法治国家の原則を傷つける状況が問題になっているかどうかが考慮され、利益に関する問題が個別に評価され得る。共和国の独立性と世俗主義体制を守るという条項を規定に設けている組合は、世俗主義の原則を損ねると考える行政行為に関して訴訟を起こすことができる」とされた。
この解釈によれば、世俗主義やそれに準ずる原則に反することについて、規定に(世俗主義についての)関係条項を持つ全ての市民団体が、この種の裁判を起こせることになる。
■スカーフ禁止が全試験に適用
判決で行われた解釈は、スカーフ禁止がALESだけでなく全ての試験で適用され、これに反するあらゆる行為は裁判所に阻まれることを明らかにした。決定では、「試験中の服装に関する規定の適用は判決でも固められてきたし、今回の裁判で問われている実施要綱で定めた規定が出来るまで、施行され続けてきた。別の言い方をすると、この適用は事実としても法的にも固まってきていた。
さらに、現行法では、これに反する法の整備は行われていないため、今度の決定で行なわれた法的評価は、今日も効力を保っている」とされた。この解釈によると、これついて新しい法整備がなされ、それが憲法裁判所に阻まれないという状況においてのみ、スカーフ着用で受験ができることになる。
■スカーフ着用での大学立ち入りが再び禁止に
判決での解釈は、スカーフ着用者に大学への門戸を開いたYÖKの通達について裁判が開かれた場合には、スカーフ着用の学生達にとって、再び禁止の時代が始まるリスクがあることも明らかにした。
判決では、欧州人権裁判所(AİHM)がスカーフ着用の学生レイラ・シャーヒンさんを大学に受け入れないことを正当とみなした決定と併せて、憲法裁判所のスカーフに関する1989年、1991年、2008年の判決が抜粋された。
■個人の申請がすべてを変えうる
政府は以前、憲法裁判所への個人申請(2012年9月)を規定する法案をトルコ大国民議会(TBMM)に提出した。これによると、スカーフ着用の学生は個人申請という手立てを使えるようになる。憲法裁判所は行政裁判所の決定を破棄し、スカーフに関する過去の判例に反する、新たな判例を生み出し得る。この場合、大学内や各試験でのスカーフ禁止が全面的に解除される。一般社会におけるスカーフ着用者の雇用問題も、これにより重要な一線を越えることになるだろう。
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( 翻訳者:猪股玲香 )
( 記事ID:21230 )