国民図書館(アンカラ)、 欧州デジタル図書館ヨーロピアナ入り
2011年01月24日付 Radikal 紙


(アンカラにある)国民図書館Milli Kütüphaneは、欧州連合(EU)のデジタル図書館「ヨーロピアナ(Europeana)」にトルコで初めて参加した。国民図書館所蔵の電子化された書籍、手書きの写本27,050点と旧文字(アラビア文字)の雑誌1万点余りが、ヨーロッパからも閲覧できるようになる。ヨーロピアナは公開されてからまだ2~3年であり、ヨーロッパ諸国の全データベースをあたかもEUそのもののように一つの共同空間に集めることを目的としている。この方針をもとに、まずヨーロッパ諸国はそれぞれのデータベースを構築し、デジタル図書館を用意、次にそのデータベースを統合し、共同利用できるようにした。こうしてヨーロッパ諸国の文化組織や情報・文書センターが一体化した。

国民図書館のトゥンジェル・アジャル館長は、アナトリア通信(AA)の記者に対し行なった会見で、ヨーロピアナ関係者がハジェッテペ大学にコンタクトをとり、トルコの参加を望んでいると伝えてきたこと、ハジェッテペ大学が国民図書館とこの件に関する協議を行ない、参加のための作業を開始したという経緯を語った。アジャル館長によると、ヨーロピアナは、デジタル化された図書館、博物館・美術館、研究開発センターが所蔵する歴史的価値を持つ作品に関連するプロジェクトである。館長は、「我々の元にある約2万7千点の写本はすでにデジタル化されていましたが、ヨーロピアナには参加していませんでした。これでは不十分でした。数日前ヨーロピアナと協定を結び、国民図書館の所蔵データをシステムに加えました」と述べた。

アジャル館長は、歴史的な作品は売られることもなく、探しても他に見つからないたった一つの物であること、従って研究者にとってたいへん重要であることを強調し、次のように語った。

「これらには著作権がありません。その全てをデジタル化した今、世界中の人々に、つまりアメリカ人やヨーロッパ人に、電子メディア上にあるトルコの非常に貴重な写本を見せないなどということがありましょうか。だからヨーロピアナに参加しました。ヨーロピアナは我々の権威を高めるものでもあります。トルコの威信も高めますが、我々は(トルコで)初めて参加した組織ですから、私たちにとってこれは更に大きな威信なのです。我々の後からも参加する組織もでてくるでしょう。デジタル化される作品は必ずしも手書きの写本でなくてもよいのです。印刷物であっても非常に貴重です。

例えば、我々のところに或る刊本があります。これはメフメト2世がバチカンに宛てて書いた書状を1475年に印刷したものです。この本は600年も前に印刷されたので、手書きの写本と同じくらい重要です。ヨーロッパの研究者たちは、国民図書館の『yazmaeserler.gov.tr』というホームページアドレスを知らなくても、ヨーロピアナのサイトなら知っています。ヨーロピアナを開けば国民図書館の写本を閲覧できます。これは我々にとっても大きな利点になります。インターフェースプログラムが作られ、トルコ語も加えられるでしょう。だから我々はヨーロピアナを重要視しているのです。」

■トルコの宣伝のためにも重要

トゥンジェル・アジャル館長は、ヨーロピアナへの参加はトルコの宣伝のためにもとても重要であると強調し、次のように述べた。「仮にトプカプ宮殿の所蔵品をヨーロピアナに載せたとします。これはとても素晴らしいことです。その実物を見たいと思った人々がトルコにやって来るでしょう。なぜならそのオブジェがどんなにすばらしくても、インターネットで見れるのはつまるところ小さなカラー写真です。三次元ですらありません。短剣、装束、宝石、ダイヤモンド・・・。これを見た女性はトルコに来たいと思うでしょう。私はそう思うのです。いい宣伝材料になるでしょう。」

アジャル館長は、作品のデジタル化の唯一の問題は「著作権」であり、出版会社などが収益の妨げになるとして出版物のデジタル化に反対していると述べ、次のように話を続けた。

「よく売れている作品を電子メディアに載せたら、その途端にこの作品の売り上げは急降下します。このため出版者たちは作品のデジタル化にあたって著作権料を要求しています。しかしトルコでこの制度はまだ定着していません。フィンランドやスウェーデン、ノルウェー、デンマークといった国々では次のような制度があります。図書館にやって来た研究者は、ある本もしくはデジタルコピーを読んだら著作権料を払わなければなりません。ところが研究者の代わりに国家が著作権料を支払いうことになっています。こうして著者の権利は国家によって保護されているのです。」

アジャル館長によると、すでに世界では、どんな出版社でも本を出版したのち、電子書籍会社と契約し、そのデジタルコピーの販売か貸し出しを行なっている。しかしトルコではこの種の電子書籍会社は徐々に現れはじめたばかりだという。

■「ヨーロピアナ」とは何か?

「ヨーロピアナ(Europeana)」は、ヨーロッパの博物館・美術館、図書館、公文書館、視聴覚コレクションを電子メディアの形で閲覧することができる、EUのデジタル図書館である。200万点に近い作品が収容され、利用者はウェブサイトでヨーロッパの豊かな文化的・知的遺産を活用することができる。ウェブサイトには、視覚イメージや絵画、地図やオブジェ、音声記録や新聞など、数多くのコンテンツが存在する。

国民図書館は、電子メディアを活用する研究者に対しパスワードを発行している。今回結ばれた契約では、研究者は「ヨーロピアナ」から国民図書館のシステムにアクセスする場合もパスワードを入手しなければならない。また、資料を印刷したい場合は、国民図書館付属の第3セクターに対し、ページ数に応じて料金を支払わなければならない。「www.europeana.eu」からアクセス可能である。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:21249 )