「大統領公選制導入は慎重に」、ギュル大統領発言に波紋広がる
2011年01月26日付 Radikal 紙
アブドゥッラー・ギュル大統領は、大統領公選制に関して「ためらいがあるのは間違いないが、公選制には利点も欠点もある」と発言し、アンカラで波紋が広がっている。
■シャーヒン議長「大統領に同感だ」
トルコ大国民議会(TBMM)のメフメト・アリ・シャーヒン議長は、亡くなったヒュセイン・アトマジャ元議員のために議会で開催された式典に参加。式典のあとにインタビューを受けた際、記者の「大統領が『公選制はもっと議論を尽くすべき』と言っているが」という問いに対して以下のように答えた。「大統領が公選制について言った『利点も欠点もある』という表現を、私もずいぶん前に同じように使っている。つまり、この件について我々の考え方、見方は大統領と一致している。もちろん新憲法は広い合意のもとで制定されるべきで、誰もがそれを願っている。しかし、もしそれができなければ、新憲法を断念するのか?もちろんそれも無理だろう。憲法制定にあたっては、可能な限り広い合意を求めたい。憲法は、もちろん詳しいものとなるが、それは具体的な規則を定めるというのではなく、真に(個々の法の)上位にある法の精神を表すものとなる、という考えも、大統領と共通している。」
■アルンチ大臣「議会制がより良い結果をもたらす」
一方、ビュレント・アルンチ国務相兼副首相は、報道出版情報総局で記者会見の質問に答えた。これは、取材許可証をもつ記者たちに特別パスポート(グレーパスポート)が発行されることを記念して開催されたものである。アルンチ大臣は、公選制および部分公選制に関する議論について、この問題は体制の問題ではないと指摘した。公選制、部分公選制、議会制を議論することは、国をどのようにより良くしていくかを議論することとして捉える必要があると述べ、以下のように話した。
「公選制を支持する人がいる。それは敬意をもって受け止める。部分公選制がトルコにとって最適だと主張する人がいる。それにも理解を示し、敬意をもつ必要がある。また、もっと別の意見をもつ人もいる。これを体制の問題に持ち込み、ある一つを支持する者を他と異なるとみなしたり、排除したりするのは間違っていると思う。この問題について、誰しも個々の考えをもつだろう。明確に公選制を支持する人による適切な議論も有り得るし、部分公選制がトルコのもつ条件では最善の結果を生むと言われるかもしれない。結果としてこれらは受け入れられるかもしれない。しかし現在実施されているのは議会制である。これにより政府があり、議会があり、基盤を整備された憲法制度がある。とはいえ、結果的に大統領公選制がより適切とされ、何らかの合意がなされるならば、憲法をはじめ他の法律もこれに合わせた整備が必要になるのは間違いない。この制度が最近議論されるのは何も新しいことではないし、それほど注目されることでもないのだ。
もはや誰でもこの問題について自由に意見を言えるべきだ。5年間TBMM議長を務めた経験や15年間議員であることから、私が見る限り、議会制はいくつかのマイナス面を含めてもトルコにとってより良い結果をもたらすものだと考えている。これは私の非常に正直な意見だ。他の人がこれと異なることを言うのも、同じように正直な気持ちからであろう。これを議論の対象とするのは適切ではない。今はその時ではない。もし将来、憲法改正が議題に上り、それに沿ったシステムが求められる時きて、議会の内外で市民社会、企業、国民などに共通の場で、この問題が真剣かつ争いなく、ただトルコをより良くするために議論されれば有意義だろう。」
■クルチダルオール党首「大統領の発言は喜ばしい」
共和民主党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首は、記者から大統領の発言について問われ「大統領が公選制に慎重な発言をしたことは、率直に言って私には喜ばしい。また大統領は憲法改正が広い合意のもとで実現すべきだと発言した。これも我々は歓迎した。ただし最近の法改正以前にこの発言があれば、さらに良かったのだが」と話した。
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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:21274 )