国際ホロコーストの日、トルコで初めての公式記念行事
2011年01月28日付 Hurriyet 紙
映画「狼たちの谷―パレスチナ編」がドイツのホロコースト犠牲者追悼記念日に公開される。このことに対する波紋が世界中に広がっているいっぽう、トルコで初めての追悼式が開催されることが海外メディアで大きく報じられた。
■NEW YORK TIMES:「『狼たちの谷』は、トルコ初のホロコースト犠牲者追悼式に影を落とした」
イスタンブルのシナゴーグで初めて公式にホロコースト犠牲者の追悼式が開催されるが、このことは、イスラエルとの関係が次第に緊張するなかで、トルコのマイノリティーであるユダヤ人の気持ちを和らげようと努めている証拠だ。ただ、イスラエルに関して否定的なイメージを描く映画シリーズ最新作の試写会が、木曜日(1月27日)に行われ、こうした努力に影を落とした。
追悼式を主催したネヴェ・シャローム・シナゴーグは、2003年にアル・カイダがイスタンブルで起こしたテロの標的の一つであったことから、特別な意味をもつ。イスタンブルで行われる式典は、親イスラム的な現トルコ政府と、トルコに居住するユダヤ人和解のためのプロセスの転換点として注目されている。
その一方、5月にガザ支援船への襲撃事件をヒントに制作された「狼たちの谷」シリーズの中で、イスラエル人は乳児殺人者、臓器の密売人として描かれている。イスラエルは、この作品を「最悪なユダヤ人差別の空想」とみなしている。
*この記事は “New Film Disrupts Turkey’s Holocaust Day” という論説をまとめたものです。
■JEWISH TELEGRAPHIC AGENCY:「トルコで初のホロコースト追悼式開催」
トルコは木曜日、国際ホロコーストの日の一環として、初めて公式の式典を開催した。ネヴェ・シャローム・シナゴーグでの追悼式には、トルコ外務省関係者や、トルコで暮らすユダヤ教徒らが参加した。トルコ政府は木曜に記者発表を行い、トルコはホロコースト犠牲者追悼記念日を今後も心に刻み込んでいくと述べた。また人種差別や外国人への敵意とともにユダヤ人差別に対抗するため、教訓としていくことを明らかにした。会見では「ホロコーストを忘れず、歴史が人間に突き付けた最も重い罪の一つとしてそれを教訓とし、よりよい未来と平和の中に生きる世界のために、ともに協力していく重要性を認識している」との発言があった。
*この記事は “Turkey holds first state rite marking Holocaust Day”という論説をまとめたものです。
■JERSALEM POST:「トルコはホロコーストの犠牲者を悼んだ」
トルコは国際ホロコーストの日に、ナチスによって殺された600万人のユダヤ人のため、初めて政府レベルの追悼式を開催した。トルコは毎年この日に、ユダヤ人やジプシー、その他の人々がナチスによって殺害されたことに関して、これを非難する立場を表明していた。しかし公式に追悼式を主催したのは今年が初めてだ。2005年アブドゥッラー・ギュル大統領は、有名なナチスのアウシュヴィッツ収容所捕虜解放60周年の式典に参加している。トルコのユダヤ教徒は「ホロコーストを非難すること、将来ジェノサイドが起きるのを防ぐこと、新しい世代の教育を保証することは人道上の義務だ」との声明を発表した。
*この記事は “Turkey holds 1st ceremony for Holocaust Remembrance”という論説をまとめたものです。
■ASSOCIATED PRESS:「ホロコーストの犠牲者たちがトルコで追悼された」
ホロコースト犠牲者の日の66周年記念日に、アウシュヴィッツ収容所のバラック、監視塔、火葬場に一堂に会したユダヤ教ラビらは、死者のために祈りの言葉を読み上げた。約110万人のユダヤ人、ジプシー、その他の人々が殺された収容所での式典には、ポーランドとドイツの閣僚、外交官、ホロコーストから生還した人々が参加した。他方、トルコはホロコーストの犠牲者追悼の日に、初めて公式の式典を行った。イスタンブル知事、外務省関係者そしてトルコで暮らすユダヤ人たちがこれに参加し、ナチスのキャンプで亡くなった人々を悼んだ。イスタンブルのヒュセイン・アヴニ・ムトゥル知事は、「ユダヤ人は我々と500年以上平和に暮らしています。彼らの痛みを分かち合いたかった」と語った。
*この記事は “German, Polish leaders honor Holocaust victims”という論説をまとめたものです。
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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:21289 )