トルコの最も伝統あるお菓子屋のひとつであるコスカの生産を29年間にわたって2企業として続けてきたネブザト・ディンダル氏とマーヒル・ディンダル氏の関係を、ナザルボンジュク(注)のロゴマークが引き裂いた。
訳者注:邪視よけお守り。目玉をかたどった青い円の形で、しばしばガラスでつくられる。
兄弟のうちネブザト・ディンダル氏が社長をつとめるコスカ社は2週間前に新聞広告をだし、今後、商標マークにナザルボンジュクを加え、この結果、(親族の経営する)別会社とは区別化されたと発表した。これをうけ、マーヒル・ディンダル氏側は別の新聞広告をだし、「共有されているコスカの商標には、虫、花、ボンジュクのような図形はついていない。そうした図形のある商標は、真のコスカ商標ではない」と応戦した。
■目的は「区別」
コスカの商標に勝手にナザル・ボンジュクが付けられたことに反発する同社は、不当競争を理由に告訴の準備をしている。こうしたお家騒動と類似の事件は、(お菓子の)ギュッルオール社やセイトオール社、(伝統飲料ボザの)ヴェファー・ボザ社、(キョフテチェーン店の)スルタン・アフメト・キョフテ社のような、兄弟の多い大家族経営の会社でもみられた。
104年の歴史をもつコスカは1982年にいったん解散し、兄弟のうちネヴザト・ディンダル氏とミュンテズ・ディンダル氏がコスカの商標を使うメルテル製菓を、マーヒル・ディンダル氏はマーヒル食品を創設した。2社ともに生産を継続し、15日前までは、それぞれが店舗をひらいていた。
しかし、コスカ社(メルテル製菓)の側は、ロゴにボンジュクを加えるという形で攻勢にでて2社の分離をはかり、さらに新聞広告でこの争いの激化させた。同社の取り締まり役会役員で故ミュンテズ・ディンダル氏の息子であるエミン・ディンダル氏は、次のように語っている。
「2週間前に新聞広告をだしロゴの変更を広報しました。ロゴにナザル・ボンジュクを加えたのは、消費者が2社の違いをご存じないからです。ロゴの変更により、2社の違いをはっきりさせたいと思いました。しかし、誤解がおこりました。マーヒル・ディンダル氏は29年前に会社を離れ、別の会社で生産をはじめました。彼が特許をもっていたので、彼もコスカの商標を使い続けました。我々の新聞広告に、こういう形で応戦されたので、話はますますこんがらがってしまいました。」
ナザル・ボンジュクのついた方のコスカ社は6つの店舗をもっており、2010年には1億トルコリラを売り上げている。また50カ国に輸出している。
■無許可にロゴが変えられた
一方、マーヒル・ディンダル氏の息子のアーディル・ディンダル氏は、ナザル・ボンジュクつきのロゴについては新聞広告で状況の説明を行ったとし、今後は、裁判の準備にかかると語った。
「我々は2つの点で不快に思っています。ひとつは、我々に何の通知もなくロゴが変えられたこと、2つ目は、うちの父(マーヒル・ディンダル)が、1982年にまるで、当時存在していたある会社から独立して別会社を作ったかのように伝えられたことです。それは事実に反しています。なぜならコスカは1982年に解散し、3人の兄弟は別々になったからです。ロゴの変更の件では、告訴を考えています。願わくば、伝統あるコスカの商標を守りたいものです。」
アーディル・ディンダル氏によると、(彼の経営する)コスカ社は、トルコ国内に21店舗をもち、オーストラリアからサウジアラビア、さらには日本にまで輸出をしているという。
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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:21338 )