■ サウジ:エジプトは投資の保護を
2011年02月04日付『アル=ハヤート』紙(イギリス)経済面
【ジェッダ:ファハド・アル=ガーミディー】
サウジアラビアの投資家らは、現在エジプトで起きている一連の騒乱に関して、対エジプト投資への懸念を表明した。サウジからの対エジプト投資額は、300億エジプトポンド(200億リヤルもしくは55億ドル)[約4800億円] に達している。投資家らは、本紙に寄せた声明の中で、これら投資事業の大部分は銀行から出資されており、投資が中断されたり伸び悩むとローン返済に支障が出るとしている。
サウジ・エジプト事業協会のアブドゥッラー・ダフラーン会長は、次のように述べた。
「現在のエジプトの状況は、市民にくわえ、サウジアラビアならびにアラブのあらゆる実業家を悩ましている。エジプトは大国であり、地域全体に影響を及ぼすほどの経済的・政治的役割があるのだ。」
「サウジの実業家は25年以上前からエジプトに投資している。その間に、投資や経済での繋がりができた。それは両国の特別な関係の結果である。」
同氏はさらに、「エジプト市場からサウジ実業家が撤退する」ことはありえないとし、「投資家は事態の推移を注視している。事態が安定すれば、再び活動を始めるだろう」と指摘した。一方で、「今エジプトが経験している事態は、サウジ、湾岸諸国を問わずあらゆる投資家の不安を煽っている」とし、「サウジはエジプトへの最大の投資者とみなされている。サウジ実業家による300億エジプトポンドの投資とその事業により、エジプトの観光、工業、サービス産業、商業など様々な分野で10万人以上の雇用を生み出している。」と付け加えた。
またダフラーン会長は、「サウジアラビアの対エジプト投資は、エジプトのGDPにおいて重要な一部分を形成しており、さらにエジプト人労働者の雇用や、失業率・貧困率低下にも一役買っている」と強調、エジプト国民と同国政府への要請として以下を述べた。
「サウジや海外からの投資を保護してほしい。何らかの障害が起きれば、とりわけ失業率や利率の面で、サウジの投資家らが今後も対エジプト投資を継続するか、引き上げるのか、それとも新投資に踏み切るのかを決定する際、悪い影響が出てしまうからだ。」
「エジプトのサウジ・コミュニティは60万人を超える大きなもので、不動産や農地を所有している。サウジに居住するエジプト人も100万人以上いる。悪影響は即座に双方に伝わる。エジプトのサウジ人たちは大部分が帰国を開始しており、購買力やエジプト市場への影響が懸念される。」
「現在のエジプト情勢は、石油化学製品関連でのサウジからエジプトへの輸出に影響している。またサウジ国内への巡礼の動きにも影響があると思われる。現下の状況では、50万人と目されるエジプト人巡礼者がサウジ国内へ到達することは困難だろう。」
他方で実業家のスウード・アル=アティービー氏は、「エジプトの現状に、どのサウジ投資家も懸念を抱いている。とりわけ、この状況がいつ収まるのかわからない、というのが問題だ」とし、「サウジの投資事業の販売率が低下している。事業のなかにはデモのため中断しているものもある」と話した。
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