テヘラン通りをテヘランと間違うと・・・―アメリカのイラン監視体制明るみに
2011年02月03日付 Radikal 紙

ヴァタン紙によると、イスタンブルのある銀行から、アンカラの別の銀行に外貨が送金され、送金先の銀行の住所がテヘラン通りであったことで、話が混乱した。米国財務省は、この送金がテヘラン(イラン)に行われたと勘違いし、SWIFT社を介して行われた送金作業をブロックさせ、銀行経営者を問い質した。

米国財務省が、イランの核ミサイル計画に協力したという理由で、トルコ人2人とトルコ企業3社をブラックリストに載せたことに関する議論が続く一方で、米国がトルコの銀行を監視していることが、アンカラでのこの不可思議な事件を契機に明らかになった。

このスキャンダルは、米国がトルコの2つの銀行間の送金をブロックしたことで明らかになった。イスタンブルのある銀行からアンカラの銀行に大量の外貨が送金されたとされる。外貨の送金先の銀行支店の住所が、アンカラのテヘラン通りであったことで、問題は混乱した。米国財務省は、イランに大量の外貨が送金されたと思い、警戒した。

■我々(の銀行)にテヘラン支店はない・・・

送金の受取人がテヘラン在住であると勘違いした米国は、送金手続きを停止させた。その直後に、その大金が送金された銀行幹部から、情報を要請した。

SWIFTを介して送金が行われた後、送金先の銀行の総裁に架電した米国は、「貴行をとおしてテヘランへ送金されることをなぜ許可するのか。国際社会の制裁に穴を開けようとしていることに気づいているのか」と問い質した。

銀行幹部は、テヘランには自分たちの支店はなく、かかる受取先の所在地がアンカラのテヘラン通りにあると説明すると、自分たちが勘違いしていたことを理解し、ブロックを解除した。

この事件で、米国が、トルコの銀行間の送金を監視していることが明らかになるとともに、国際送金で重要な役割を担っているSWIFTの信頼性も議論の的になった。米国情報機関が、「テロとの闘い」を理由に世界中の送金を監視していることは、2006年に明らかになっていた。

■ビッグブラザーは9月11日以降にシステムに入り込んだ

2001年9月11日のテロ攻撃の後、ブッシュ米国大統領の主導で開始されたプログラムの枠組みの中で、アルカイダ関連の送金を証明する目的で、CIAはSWIFT社から個人情報を要求した。SWIFTはベルギーの会社であるが、会社のデータや銀行が米国内にあることで米国に有利に働き、同社はこの秘情報を米国と共有することを説得させられた。

2006年には、すべての送金履歴が米国関係者から監視されていることが明らかになった。ニューヨーク・タイムズ紙では、米国情報機関とSWIFT社の間で、情報共有の同意がなされたことが取り上げられた。その後、SWIFT社幹部は記者会見を行い、米国関係者に特定の条件の下で限定的に許可したことを認めた。

この問題は、EUでも議論された。ベルギー当局は、米国が送金履歴を監視していることを知っていたことを暗に認める一方で、個人情報保護は政府間の情報共有を含むものであるが、SWIFT社は政府組織ではなく民間企業であり、この点には不満が残ると述べた。議論は、個人生活の秘密を守るという点で炎上した。EUの立場は、この情報の流れ(情報の監視・共有)は継続するが、厳しく管理し、限定的に行うべきとのものであった。

世界の有名な銀行や金融機関の間の送金を仲介するSWIFT社は、200カ国、7,200社にサービスを提供している。

■SWIFTとは何か

SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication、国際銀行間金融通信協会)は、世界中で銀行間の電子的資金送金を行う民間企業によって構築されたシステムである。

銀行間の支払送金を数分内で可能にしたこのシステムは、1973年に構築され、1977年に施行された。6,000近くの会員を有するこのシステムを通し、1日に平均300万回送金が行われる。

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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:21355 )