リーベルマン:アラブ世界弱体化、中東で力を持つのはイラン・トルコ・イスラエルだ
2011年02月07日付 al-Quds al-Arabi 紙
■リーベルマン:アラブ世界弱体化、中東で力を持つのはイラン、トルコ、イスラエル
2011年02月07日『クドゥス=アラビー』
【テルアビブ】
イスラエル外務大臣アヴィグドール・リーベルマンは、月曜日に開催されたイスラエルを支持するヨーロッパ外交団の会合において「アラブ世界は後退し、3つの国が中東で存在感を示している。そしてその3国はいずれもアラブ諸国ではない」というスピーチを行った。
イスラエルメディアが伝えるところによると、リーベルマンは同会合で「今日アラブ世界は弱体化しているとみなされる。中東地域内不安定の大きな原因は、アラブ諸国内の緊張や諸問題だ」と述べた。
また、「今日3つのプレイヤーが中東にはいるが、いずれもアラブ諸国ではないイラン、トルコ、そしてイスラエルだ。その理由はアラブ諸国の国内問題であり、イスラム社会には数多くの対立関係があるとみられる」と付け加え、「イスラエル・パレスチナ闘争は域内の主要闘争ではない。チュニジアやアルジェリアでの出来事を追っていると、その2国とイスラエル・パレスチナ闘争との間に何の関係があるのかと自問したくなる。パレスチナにかんする我々の問題とレバノンの緊張状態、または現在のエジプト情勢との関係についても同様だ」とまとめた。
更に、「私はパレスチナとの紛争について誤解があると思っている。その問題は中東で起きるあらゆる諸問題の1%にも満たない。我々は物事を相対的にとらえなくてはならない。イラン・イラク戦争では100万人以上の死傷者が出た。レバノン、イエメン、アルジェリア他の内戦ではどうだったか。我々の[イスラエル・パレスチナ]紛争が全ての問題の根幹にあると言う人は、現実から目をそらそうとしている。」と述べた。
リーベルマンは、世界は穏健派と過激派に二分されるとの考えを示し、「この[二派の]衝突は、実際、自由で穏健な世界を形成する文明と、過激な世界を形成する文明との間の衝突なのである。最終的には、アブー・マージン(パレスチナ大統領マフムード・アッバース)とサラーム・ファイヤード首相にも、最大の敵はイスラエルとシオニズムではなく、ハマースやイスラーム聖戦であることが明白になるだろう」、「レバノンでも同様で、サアド・ハリーリー元首相にとっての最大の問題は、イスラエルではなく彼の内閣を倒したヒズブッラーだった」等述べた。
イスラエル外務大臣は、「過激なイスラーム主義が現在の中東を支配しており、今日中東ではそれに対抗できる重要な権力はない」との見方を示した。
リーベルマンはイスラーム国家と自由主義世界には隔たりがあると考えており、それを「価値観における隔たり」として、「イスラーム世界に我々が求めたいのは、何よりもまず異なる価値観を受け入れるということだ。今日の中東ではイスラエルが欧州連合やアメリカにとって唯一の戦略的同盟国であることは明確だが、この同盟は共有された価値観を源としている」と述べた。
しかしリーベルマンは、「価値観に拠るのではなく経済利益に合致した外交政策に従うことを優先する欧米諸国が多数ある」として遺憾の意を示し、「欧米に最も近い友好国家 (サウジアラビアを指す)が、なぜ教会建設を禁じるのかという点や、[サウジにおける]人権についての基本的問題は不問に付されている。アメリカや欧州連合はこれらの問いに答えなくてはならない。そうすることによってのみ、次の脅威を阻止できるだろう」と述べた。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:小島明 )
( 記事ID:21401 )