トルコのキプロス新経済対策措置に反発の運動広がる―北キプロス
2011年02月18日付 Radikal 紙
北キプロス・トルコ共和国(KKTC)では、トルコが適用した「経済対策措置法案」に対する反発が日増しに高まっている。
北キプロス・トルコ共和国(KKTC)でトルコが適用した「経済対策措置法案」の施行開始とともに始まった抗議活動が、日に日に緊張感を高めている。1月28日に北キプロスで行われた「社会的存在」集会で反トルコのプラカードが掲げられたことを受けて、トルコのタイイプ・エルドアン首相が「養っている」と発言したことを、労働組合や野党、市民社会団体はトルコ系キプロス人に対する侮辱とみなし、AKP政府への反発を強めた。
北キプロス・トルコ共和国のほぼすべてのセクターで行われたとみられるストライキや抗議活動は国を麻痺させた。特に、全土で行われた裁判所でのストライキにより、裁判が行えない状況となり、これにより仕事ができなくなった弁護士たちは、ストライキの実行者に対して反発を表している。ストライキの一環で、キプロスの税関では勤務時間のあと税関職員がいないために、出入国する貨物の検査が行えない状況となっている。いくつかの初等・中等学校で開始されたストライキも約1ヶ月半続いている。土地・住民登録局もこの抗議活動に加わったために、国内ではかなりの危機状況が生まれた。こうした事態が展開するなか、トルコ共和国政府が衝撃的な決定によってトルコ共和国のカヤ・トゥルクメン在レフコシャ大使を解任し、代わりに北キプロスで施行された「経済対策措置法案」の立案者の一人であるハリル・イブラヒム・アクチャイ氏を大使に任命するというニュースが伝えられた。労働組合、野党、いくつかの市民社会団体は、このニュースをトルコによるキプロスへの強要の一つと受け取っている。
■「押しつけに反対する」
18日には、労働組合で構成されたプラットフォームが、北キプロス議会とその向かいにあるトルコ共和国大使館前の戦死者慰霊碑に出向き、民主党(DP)のセルダル・デンクタシュ党首が開始した「自分の家の主人になろう」署名キャンペーンへの支持を表明した。その場で、労働組合プラットフォームを代表して会見を行ったキプロス・トルコ公務員労働組合(Kamu-Sen)のメフメト・オズカルダシュ組合長は、トルコ系キプロス人は今まで決して圧力に屈しなかったとし、「かつての英国人やギリシャ人のように、祖国があれば自身に対するあらゆる圧力に抵抗する」と述べた。
オズカルダシュ組合長は、労働組合プラットフォームの「社会的存在闘争」の枠組みで、一連のストライキ、抗議活動、集会が行われており、プラットフォームの要求とセルダル・デンクタシュ党首の署名キャンペーンの要求は一致していると述べた。またメフメト・オズカルダシュ組合長は、労働組合プラットフォームとトルコ系キプロス人の要求もまた「自分の家の主人になること」だと発言し、闘争は成功に至るまで続くと述べた。
オズカルダシュ組合長は、事実に反して、1月28日の集会で掲げられたプラカードについて、トルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン首相がトルコ系キプロス人に対し「養っている」、「恩知らず」と言ったことを指摘し、このような発言は許容できないと非難した。オズカルダシュ組合長はトルコ系キプロス人が、日に日に増していく自身やアイデンティティに対する攻撃や暴力、危険に抵抗することが、トルコに対する反抗とみなされることは許容しがたく、トルコ系キプロス人はこのように圧力には屈しないということを皆が理解する必要があると述べた。メフメト・オズカルダシュ組合長は、1月28日にイノニュ広場は数万人の人々で埋まったが、この数は3月2日にはさらに増えるだろうと述べ、「トルコ系キプロス人が望まないハリル・イブラヒム氏を「新しい大使に任命する」と言われることは、トルコ系キプロス人を挑発すること、油をがぶって火の中にはいるようなことだ」と発言した。
オズカルダシュ組合長は、トルコ系キプロス人によって選ばれて大統領となっているデルヴィシュ・エロル氏にむけて、国民と労働組合プラットフォームが認めない「新大使の」信任状を受理しないよう求めた。さらにメフメト・オズカルダシュ組合長は、政治的見解がなんであろうと自国主導の統治を求める全国民に3月2日のイノニュ広場での集会参加を呼び掛けた。オズカルダシュ組合長は、国民が立ち上がった際に、国家統一党(UBP)政府が、アンカラへ謝罪に行ったことに触れ、イルセン・キュチュク首相が国民に対して謝罪することを望んだ。
■畜産業者も抗議活動を続けている
一方、昨日17日には、キプロス・トルコ畜産組合が、北キプロス・トルコ共和国農業・天然資源省と政府の畜産政策に抗議する目的で開始した抗議活動も二日目に入った。17日に始まったトラクターを使用した抗議活動は、はじめに北キプロス議会前で、その後農業・天然資源省庁舎前で続いた。しかしトレ大臣と畜産業者の間で行われたすべての話し合いで、合意が得られなかったために、昨日から行われている抗議活動は継続されることになった。
畜産組合は、問題が解決されないため農業・天然資源省庁舎前での抗議活動を続けること、抗議活動はいつでも激化しうることを述べた。3月2日に行われる第二回「社会的存在集会」にむけて、労働組合、野党、そしていくつかの市民社会団体のすべての取り組みが迅速に進められている。
■弁護士はストライキをする組合に反対
北キプロス・トルコ共和国で公共組合が結成した労働組合プラットフォームの決定に基づき開始された無期限のストライキが続く中、裁判所でのストライキに対して弁護士の反発が強まっている。
弁護士連合会と弁護士協議会のハサン・ソンメゼル会長は行った発表で、国民や弁護士が受けている負担は許容範囲を超えていると述べ、「抗議活動への全ての参加者に、頑なな態度を改めるよう望む」と言った。
ソンメゼル会長は裁判所で続くストライキが国民や弁護士たちを苦しめており、日に日にこの負担が増していると述べた。ソンメゼル議長は、ストライキが禁止されている裁判官たちがストライキのせいで働かない、あるいは働けないのだと述べ、「司法機関はストライキについて自身の立場を持たず、またそのためストライキに関して好ましい、満足のいく、または対立する両者を導くようなことを発言できず、ストライキ停止のためのいかなる取り組みも行えないのだ」と主張した。
ソンメゼル会長は、ストライキ権は憲法の基本的権利、自由、義務において保証され、定められているが、しかし憲法は、ストライキ権だけでなく、その他の多くの権利や自由、義務もまた保証しており、「例えば、労働者にストライキの権利を与えている憲法が、就業者へ就業の義務も課している、憲法と法のもとにつくられた裁判所に権利と解決を求める権利と自由ももまた定められているのだ」と述べた。
■「給料をもらえないとしたらストライキをするだろうか?」
ソンメゼル会長は、抗議活動に関わる全ての人は良心に照らして、いくつかの質問への答えを求める必要があると述べ、次のように続けた。
「例えば、ストライキに参加している公務員は、ストライキ期間中、給料が彼らに払われないとしたら、この(ストライキの)権利を行使するだろうか?と言うよりも、行使できただろうか?ストライキのせいで、行政機関、司法機関のように被害を受けていたならば、このストライキの継続を許すだろうか、許せただろうか?裁判官にストライキ期間中給料が支払われなくても、司法機関はこの件について中立の立場を頑なにとりつづけるのか?とりつづけられただろうか?良心に照らして考えてみれば、この質問への答えは決して「はい」であるわけがない。
同様に良心に照らして考えてみれば、雇用者の立場にはない司法の膠着や、ストライキを引き起こした要因が明らかになり、まったく過失や責任がない弁護士そして何より国民が、このストライキによって受けている苦しみは、どんな権利、法と合致するであろうか?神がこれをもたらしたというのか?ストライキは、労働者が社会・経済的状況を改善する目的で、雇用者に対して行われる。裁判所で行われているストライキは、雇用者に対して行われているように見えるとしても、実際は目的を見失い、国民と弁護士と司法を標的にして苦しめている。ストライキによって生じた損害の代償を、ストライキ参加者も、行政機関も払うことはないだろう。」
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:吉岡春菜 )
( 記事ID:21552 )