モフセン・ハーシェミー、自らの辞任によって、政府が予算割り当て問題で態度を軟化させることに期待
テヘラン市内の交通にとって重要な位置を占めるテヘラン・メトロ(地下鉄)の所有権や〔国からの〕年間予算の割り当て、そしてさらに最近では同地下鉄の来年の運賃をめぐって、〔アフマディーネジャード大統領をトップとする〕政府と〔ガーリーバーフ市長をトップとする〕テヘラン市との間で、5年間にわたって対立と論争が続いてきた。こうしたなか、混乱の沈静化と同社への〔国からの〕補助金の迅速な提供を実現すべく、同社の総裁が辞任を発表した。しかし、総裁辞任によって、テヘラン・メトロの完全国有化の動きが再燃している。
17年間にわたってテヘラン・メトロを率いてきたモフセン・ハーシェミー前総裁が、ついに辞任した。モハンマド・ガーリーバーフ・テヘラン市長に宛てた同氏の辞表は、〔‥‥〕テヘラン・メトロが市民にサービスを提供するにあたり、資金面での問題に直面していることに言及した上で、次のように続けられている。「〔‥‥〕残念ながら、現在車両の不足や欠陥によって、路線の潜在能力が半分しか活用されていません。〔新たに海外から購入した〕車両や設備は、いまだ税関で埃をかぶっている状態です」。
〔※訳註:アフマディーネジャード大統領とガーリーバーフ・テヘラン市長、そしてモフセン・ハーシェミー総裁の父親であるラフサンジャーニー元大統領との間の対立が原因で、国からテヘラン・メトロへの予算の割り当て、及び輸入した新型車両の国内持ち込みが、数年前から国によって妨害された状態が続いている〕
〔‥‥〕
アーヤトッラー・ハーシェミー=ラフサンジャーニーの息子である同総裁は、〔国から〕テヘラン・メトロへの支援がないなどの一部問題は、自らが同社の総裁のイスに座っていることに原因があると指摘した上で、「市民や地下鉄利用者、そして地下鉄の発展・拡大に、これ以上迷惑をかけるわけにはいきません。〔‥‥〕〔政府と〕協調関係を築けるような人物をテヘラン・メトロの社長に据えていただけますよう、お願い申し上げます。なお、私は今後とも、市政ならびにテヘラン・メトロ社への協力を惜しみなく続けていく所存です」と締めくくられている。
「テヘラン・メトロは政府に預けよ」
モフセン・ハーシェミー氏のテヘラン・メトロ総裁辞任の発表と時を同じくして、この問題の政府側代表と考えられる「交通・燃料マネジメント本部」の本部長を務めるモハンマド・ルーヤーニヤーン氏は、「メトロを政府に預けよ」と強調した。同氏のこうした発言は、ここ数ヶ月間で複数回にのぼる。
〔‥‥〕
「交通・燃料マネジメント本部」のルーヤニヤーン本部長は、テヘラン・メトロの国有化が問題解決の早道だとの見方を示すが、その一方で国会議員やテヘラン市議会議員らは以前から、こうした政策には反対する姿勢を見せている。
国会の予算計画委員会の委員を務めるムーサーッレザー・サルヴァティー議員もその一人だ。同氏は「メトロを政府に預けることに、国会は同意していない」と強調した上で、次のように語る。「憲法第44条によれば、政府部門とその権限の縮減、ならびに〔民間部門への〕委譲が目指されている。メトロを政府のもとに返すことは、憲法の規定に反する」。
同氏は、政府は国会の可決したことを施行する義務があると指摘、メトロを支援したい場合でも、政府がそれを直接運営する必要はないと述べる。メトロは国会の議決により、各自治体に委ねられており、もし政府がメトロの経営権を自らの手に戻したいのであれば、国会ならびに市議会の議決を得る必要がある。
〔‥‥〕
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:21824 )