BBC、トルコのリビア政策批判を報道「180度の方向転換」
2011年03月26日付 Radikal 紙

BBCはトルコのリビア政策を「Uターン、180度転換、寝返り」と報道した。

トルコはリビア地上戦に反対し続けており、このため、将来的には、カダフィ大佐の軍に対するフランス、イギリス、アメリカによる軍事攻撃は、「NATOとは無関係に行われる」ものとされる可能性があると述べられた。BBCは、トルコのリビア政策に関する分析において、「Uターン、180度転換、寝返り」などの言葉で表現した。

ジョナサン・ヘッド氏はBBCニュースに掲載された「リビアの指導者は『傭兵を雇っている』」という見出しのコラムの中で、3月上旬にレジェプ・タイイプ・エルドアン首相がリビアに対するNATO主導の介入に関する見解として、「これは馬鹿馬鹿しく、考えられないことだ」と発言していたことに触れた。コラムでは、「その2週間後にも(エルドアン首相は)同様の見解を繰り返した。NATO介入は意味がなく、危険な結果を招くと言っていた。しかし今週になって、リビアに対するトルコの政策は完全にUターンをしたようである。トルコは、フランス政府がカダフィ大佐の軍に対する空爆において主導権を握っていることを非難し、軍事作戦の指揮権をNATOに委譲し、(作戦が)NATOによって進められるよう主張した。これを行うためには、1952年来NATOに加盟しているトルコの同意が必要となる」と書かれた。

■アンカラで何が起きている?

コラムでは、「ではアンカラで何が起きているのか?」と続き、「アフメト・ダヴトオール・トルコ外相が180度方向転換したことは、国際連合安全保障理事会が3月18日に下した決議1973と、アラブ連盟が飛行禁止空域を支持したことによる。一方的なNATOのやり方には反対であるが、これが実行された以上同じ立場のままではいられないと、トルコは表明したのだ」と述べられた。

■寝返り

「しかし、トルコが明らかに寝返ったことについては、これ以外にたくさんの理由がある」とコラムは続き、次の分析がなされた:

「トルコはエルドアン政権において、周辺国と一体となることを目的とした新たな野心的外交政策を進めてきた。この政策は2つの戦略に依拠している。まず一つめは、隣国間との問題を解決することだ。トルコは20年前、国境を接する全ての隣国と武力衝突を行った。しかし今日、アルメニアを除いた全ての隣国とは友好関係を築いている。二つめは、外交政策を展開するために、ビジネス関係を築くことである。トルコ企業は、トルコの周辺地域で最も競争力のある企業のなかに入り、このため、イラン、イラク、シリア、旧ソ連、バルカン半島などには多数のトルコ人がいる。エルドアン首相が外遊に出るときはいつも、ビジネスマンの大集団が同行する。リビア、シリア、ヨルダン、レバノンとの間には、査証免除協定が結ばれ、自由貿易地域についても協議がなされた。これは、ムアンマル=カダフィ大佐、バッシャール=アサド・シリア大統領、ホスニー・ムバラク・エジプト大統領、それにマフムード・アフマディネジャード・イラン大統領などの指導者たちを安心させることにつながる。そして前述の国々で重要となるトルコからの投資や、これらの国々で何万人ものトルコ人に雇用機会を与える結果を生みだしている。そのため、アラブ諸国で蜂起が始まったとき、エルドアン首相はあるジレンマに直面した。トルコにおける政治的成功は、ある部分は適切なポピュリスト的感覚に由る。イスラエルに反対の声を高め立ち上がった政治家(エルドアン)は、自国の多数のイスラム派有権者や他国のアラブ人にとってある種のヒーローだ。つまり、(彼は)蜂起を支持しながら何か受けの良いことをしたいのである。しかし、こうした場合、蜂起を良く思わない国々と政府の関係は危険にさらされることになる。チュニジアでの事態は、鎮圧行動をさせないほど急速に展開したため、トルコが新体制を喜んで受け入れることも容易くなった。一方エジプトの場合はもっと紛らわしかった。エルドアン首相は、退陣を求めたムバラクが退かなかった場合、何らかの報いを受けることになったかもしれなかったのだ。しかしこのトルコの首相は空気を読んだ。首相は、オバマ大統領よりもずっと前に、エジプト大統領退陣のときが来たと言い、その後の出来事からエルドアン首相は正しかったことが証明されたのだ。」

■新たな問題

BBCは、リビアに関してはまだこの「紛らわしい」状態が続き、同国に3万人のトルコ人労働者がいたと言い、カダフィ大佐の行動が予測を難しくしていたとした。BBCは、「トルコ政府は、トルコ国民や外国人に対し集団退避を手配したが、自身の立場は明らかにしなかった」と述べた。またBBCのコラムは、トルコがリビア問題解決のために、初期にカダフィ大佐や一部の反体制派に対して行った外交政策について説明を行い、以下のように続けられた:

「バーレーンやイエメン、特にシリアは、エルドアン首相に新たな困難を投げかけかねない。トルコはこの3つの国の現政府と明らかに密な関係を築いていたからだ。
総選挙まで3ヶ月という状況の下、トルコの政治が曲がりくねった道を行くなかで、エルドアン首相は保守的ムスリムたちを基盤とする支持を必要としている。中東の全ての国と同様、トルコでもムスリムは、リビアに関して矛盾した感情を抱いている。リビアの反政府勢力を支援するために声を張り上げる者もいれば、西洋諸国の介入やその他あらゆる軍事行動によりリビアのムスリム市民がが亡くなっていることに対し、深い反感を抱いている者もいる。
国連の決定が承認されてなお、常にトルコは何らかの役割を担いたいと思っていた。トルコは国連の、責任ある役割を担い、多国籍軍による治安維持作戦を支持することを誇りとしてきた。事実、アフガニスタンには1600人体制のトルコ部隊がいて、同国における国際部隊をしっかりと指揮している。
フランスが前線に立ったことも、トルコを触発した。トルコとフランスの関係は、フランスがトルコのEU加盟に反対していることから緊張状態にある。先月実現した、サルコジ大統領の6時間だけの、初めての公式訪問は、トルコ国内に同大統領に対する苛立ちを生んだ。サルコジ大統領が国連投票の後行った各国首脳会談に、トルコが招待されなかったことにより、その怒りはさらに高まった。
リビア陸軍に対するフランスの空爆は、国連の定めた制限を越えたため、トルコ外務省によって激しく非難された。フランスが、NATOへの指揮権委譲を拒むと、トルコは直感的に他の案を提示した。NATO主導の作戦が承諾されても、トルコはまだ、地上攻撃を行わないよう、さらにはリビア市民を巻き込まないよう主張している。このため、将来的には、カダフィ大佐の軍に対するフランス、イギリス、アメリカによるいかなる軍事攻撃も、NATOの『管轄外』とされる可能性がある。」

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:21951 )