イエメンでデモと衝突がつづくなか、湾岸諸国の調停努力を国連安保理も支持
2011年04月20日付 al-Hayat 紙
■ 国連安保理、イエメン情勢を協議
■ 湾岸諸国外相はイエメン政府代表団と会談
2011年04月20日付『アル=ハヤート』紙
【サヌア:ファイサル・ムカッラム、ニューヨーク:ラーギダ・ドゥルガーム】
イエメンの首都サヌアでは昨日、アリー・アブドゥラー・サーリフ大統領の即時退任を要求するデモ隊がメインストリートに到達するのを防ぐために治安部隊と警察が実弾と催涙ガス弾を使用し、2人の死者と数百人の負傷者が出た。同じころイエメン問題が初めて国連安全保障理事会で取り上げられ、危機の政治的解決を働きかける湾岸諸国のイニシアティブを支持する方向で同国の状況について議論がなされた。また湾岸協力会議(GCC)諸国の外相らはアブダビでイエメン政府代表団との会合を開いた。その2日前にはリヤドで野党代表団とも会談を行っている。
複数の目撃者が本紙に語ったところでは、サヌア中心部のズバイリー通りとスィッティーン通り の間で治安部隊と抗議デモ参加者ら数千人の間で激しい衝突があり、警察は高圧放水器、ガス弾、実弾を使用し、デモ隊は警官らに対して投石を行った。また、私服を着た武装集団 がデモ隊を攻撃したという。
イエメン南部の都市タイズでは、治安部隊が平和的なデモ行進に発砲し1人が死亡、複数の負傷者が出た。デモ隊は体制に敵対的なスローガンを繰り返し、大統領との交渉拒否を表明、政権からの即時退陣を要求した。
同じくイエメン南東部のシャブワ県でもデモ行進があり、多くの人々が参加した。県都アタクの地元情報筋の話によれば、シャブワの「平和的革命同盟」が呼びかけたデモには数千人が参加し、「同盟」のテント村から行進を始めて市内を練り歩き、サーリフ体制を非難し、サーリフ大統領が最近の演説で集会参加者たちを侮辱したことや、治安部隊のデモ隊弾圧を非難するフレーズを繰り返し、大統領に早急に退任するよう要求した。イエメン南部アデン県のシャイフ・ウスマーン地区およびダール・サアド地区でも同様のデモ行進が行われた。
ニューヨークでは昨夜、国連安保理の非公開会合が開かれ、イエメン情勢について消息筋の所謂「予防外交」の枠組みで議論を行い、現地情勢の悪化を「懸念をもって見守っていること」を関係各方面に伝えた。UAEのアフマド・アブドゥッラフマーン・アル=ジャルマン国連大使は本紙に対し、安保理はイエメン問題の「解決策を創出するためのGCCイニシアティブを強力に支持する立場」を表明するだろうと語った。
イエメン情勢に関する事務局ブリーフィングの開催について安保理の全理事国が合意したことは、湾岸諸国の努力を国際社会がカバーするという目的に向けた注目すべき進展だと国連関係者らは見ている。
レバノンのナウワーフ・サラーム国連大使は、事務総長がイエメンに派遣した調査団長の事情説明というかたちで安保理がイエメン問題 を取り上げたことと、リビア問題のように「訴え」ないし公式の要求によって会合が開催されたこととを区別する見方を示している。差ラーム大使は「我々は湾岸諸国のイニシアティブを支持した」と述べ、安保理による支持が発表されるとの見通しを示した。
西欧のある外交官は「安保理はイエメン国内の緊張状態やそれが周辺地域の安定に影響を与える可能性を特に重大視しており、政治的解決への到達に向けた湾岸諸国の仲介を支持している」と述べ、「海賊やテロ活動との強い連関性をもつこの地域にとって、この国の安定は死活問題になっている」ことを強調した。
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( 翻訳者:片山満祐子 )
( 記事ID:22196 )